売主になるなら覚えておきたい「売買契約書」15のポイント(前編)
買い手が見つかり土地や建物など不動産を引き渡すときは、売却後のトラブルを防ぐために「売買契約書」を交わしておく必要があります。
しかし、売買契約書を交わすことに気をとられ、契約書の中身をチェックしない売主も意外と多いんです。不動産の売買は大きな取引ですし、しっかり目を通すのが基本。
そこで今回は、覚えておきたい「売買契約書」のポイント15項目をご紹介しますので、売主になったときのことを考えて必ずチェックしていきましょう。
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ポイント1 売買契約書を交わす理由
不動産会社など仲介業者は宅地建物取引業の資格を取得していなければなりません。そのため、不動産の売買を仲介するにあたり、宅地建物取引業法のルールに従って手続きします。
宅地建物取引業法37条には「書面の交付義務」が定められており、仲介業者は契約に関する事項を記載した書面を売主と買い手に交付することとなっています。
これを「37条書面」と言い、本来なら交付されるべき書面です。ところが、ほとんどの場合、仲介業者は37条書面を交付しません。
なぜなら、売買契約書が37条書面の代用として認められるからです。
もちろん本当は、売買契約書と37条書面がセットになっていると好ましいのですが、ほぼ同じ内容が書いてあるので売買契約書だけで完結するケースが多いのです。
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ポイント2 売買の目的に関する項目
売買契約書には、まず「売買の目的」と「代金の支払い」に関する事項が記されています。次のような形式で書かれているので、覚えておくと便利です。
第○条 売買目的および売買代金 売主は表記の不動産(以下、本物件という)を金○○円で売り渡し、これを買主は買い受けた。 |
売買の事実を明確にするための記述となり、「表記」というのは「契約書に書かれている」という意味。契約書の様式によっては、「標記」の場合もありますが一緒です。
ポイント3 売買の手付金に関する項目
第○条 手付金について 本契約の締結後、買主は売主に表記の手付金を支払う。この手付金は売買代金の一部であり、売買代金から差し引かれるものとする。 |
手付金を支払う理由は売買契約の証拠として預ける担保のような役割になります。
売買代金の全額が支払われる際、売主は買主に手付金を返金し、そのあとで代金の全額を受け取るのが一般的な流れです。
しかし売買契約書には、そのような詳しい説明は書いておらず要点だけを記述していますが、これはトラブルを避けるための記述なので問題ありません。
<手付金の目安>
- 建築中(改築中)で未完成の物件・・・売買代金の5%、
もしくは1,000万円を超える手付金
- 完成している物件(中古も含む)・・・ 売買代金の10%、
もしくは1,000万円を超える手付金
ただし、1,000万円を超える手付金の場合は「保全措置」が必要になります。保全措置の内容を正しく確認し、売主自身も把握しておくことが大切です。
そして、たとえ保全措置がとられていても、手付金として受け取ることができる上限は売買代金の20%までなので、この点も忘れずに覚えておきたいポイントですね。
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ポイント4 売買の支払いに関する項目
第○条 売買代金の支払い期日 買主は売主に売上代金○○円を表記の期日に支払う。 |
ほとんどの場合、支払い期日は「平成○年○月○日まで」のような記述になっています。支払い期日のタイムリミットは、記述されている日の15:00と17:00まで。
民法では支払い期日の24:00(よる12:00)までが認められていますが、商法では支払い場所の営業時間内となっており、不動産の売買では商法を優先します。
代金の支払いは買主に対する重要事項ですが、ねんのため売主も覚えておきましょう。
- 金融機関で売買代金を支払う場合・・・15:00(夕方3:00)まで
- 法務局で売買代金を支払う場合・・・17:00(夕方5:00)まで
ポイント5 実測売買で契約する場合
実測売買とは、実際に土地を実測し、面積を算出してから売買代金を決める契約方式です。
マンションや一戸建てなどの不動産は登記簿をもとにした売買(登記簿売買)が一般的ですが、一戸建てなど土地つきの建物は実測売買を適用する場合もあるので予め仲介業者に確認しておいたほうがいいです。
たとえば、
・「確定測量」で割り出すのか、それとも「現況測量」を適用するのか?
・売買代金の単価は「1平方メートル」なのか「1坪」なのか?
・実測(測量)の費用は売主と買主どちらが負担するのか?
・実測売買に関する売買代金の精算方法は契約書に明記してあるか?
など、実測売買は難しい条件ばかり。仲介業者から詳しく説明を受け、しっかりと把握しておきましょう。
第○条 境界の明示および実測図の作成(実測売買) 売主は買主に対し、本物件を引き渡すまでに隣地との境界を明示する。また、測量士もしくは土地家屋調査士に表記の土地における実測図を作成してもらい、買主へ交付するものとする。 |
第○条 地積更正登記 実測の結果、登記簿に記されている面積と実測面積に差異が生じた場合、売主は地積更正登記の義務は負わないものとする。 |
地積更正登記とは、簡単に言うと登記簿の修正です。ほとんどのケースで地積更正登記は行いませんが、まれに生じる事態もあるので仲介業者に確認しておきましょう。
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