売主になるなら覚えておきたい「売買契約書」15のポイント(中編)

売主になるなら覚えておきたい「売買契約書」15のポイント(中編)

 

前編に引き続き、売買契約書で重要になるポイントをチェックしていきましょう。

 

ポイント6 物件の引き渡しに関する項目

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売買代金の全額が支払われたと同時に売主は買い手に土地を引き渡しますが、このとき法務局で「所有権の移転登記」の申請も同時に行うのがルールです。

 

そうした要件が契約書に記述されていなければトラブルの原因となり、もし問題が発生した場合には売買契約そのものが取り消されるおそれもあるので注意が必要です。

 

第○条 所有権の移転および物件の引き渡し

本物件の所有権(土地や建物が借地の場合は借地権も含む)は、買主が売買代金の全額を売主に支払った時点で移転する。

これに従い、所有権の移転と同時に売主は買主に本物件を引き渡すものとする。

 

第○条 所有権の移転登記

売主は売上代金を全額受領すると同時に、買主の名義または買主が指定した人物の名義に所有権の移転登記を申請する。登記の費用は買主が負担するものとする。

 

ここでのポイントは、「売買代金の全額支払いと同時に所有権の移転登記を申請しなければならない」という点が契約書に記述されているかを確認することです。

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ポイント7 不可抗力が発生した場合の取り決め

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不可抗力とは、自然災害など予期せぬ緊急事態です。たとえば、地震や火事などの災害で建物が焼失したり倒壊してしまったりした場合が不可抗力に該当します。

 

つまり、売主にも買主にも、どちらにも責任がない場合に起こった損害です。

 

民法では、たとえ不可抗力により建物が失われても売買代金の全額を請求できると認めていますが、不動産売買の取引では民法のルールを適用せず、売主は買主に売買代金を請求できない決まりを契約書で取り決めるのが一般的です。

 

その際は、契約が無効(白紙解除)となり売買は成立しません。不可抗力に関して不動産の売買契約では、民法のルールが適用されないことを覚えておきましょう。

 

第○条 引き渡し前の減失または毀損(不可抗力)

本物件の引き渡し前に天災地変など不可抗力により本物件が減失または毀損した場合、売主または買主は本契約を解除できるものとする。

(1)修復可能な場合、売主は自己負担で本物件を修復し、買主に引き渡すものとする。これに伴い引き渡しの期日が延期したとしても、買主は売主に対して遅延金など損害賠償を請求することはできません。

(2)修復可能な状態でも、修復が多い場合や過分の費用を要すると認められた場合、売主は本契約を解除できるものとする。

(3)本条項により本契約が解除された場合、売主は手付金など受領済みの代金を無利息で買主に返金するものとする。

 

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ポイント8 瑕疵担保責任に関する項目

 

瑕疵(かし)とは、「欠陥」のことを表します。契約後に何らかの欠陥が見つかり、その場合に備えた対処を取り決める項目が「瑕疵担保責任」となります。

 

<不動産売買の取引で「瑕疵」に該当する主な要件>

  • 建物の雨漏りや土地の沈下など物理的な欠陥
  • 法律の規制(公法上の制限)を違反する欠陥
  • 暴力団事務所や騒音など近隣に問題が発覚した場合
  • 近隣施設や周辺の環境など生活に悪影響を与える危険が発覚した場合

 

もちろん、これらは契約後に発覚した瑕疵や欠陥が対象ですから、事前に説明を受けていた場合には対象外となります。こうした契約後に発覚する欠陥を、民法では「隠れた瑕疵」と言います。

 

もし契約後に瑕疵に該当する事由が見つかった場合は、売主が責任をもって対応しなければなりません。ただし、物件の引き渡し後に生じた後発的な瑕疵については、売主が責任を負う義務はありません。

 

第○条 瑕疵担保責任

本物件に隠れた瑕疵があった場合、買主は売主に対して損害賠償を請求できる。明らかに本契約の締結に障害を及ぼすと判断される場合、買主は損害賠償を請求するとともに本契約を解除できるものとする。

(1)損害賠償に加え、本物件の修復や修繕費用も請求できる。

(2)ただし、隠れた瑕疵による損害賠償の請求や修復費用の請求、本契約の解除は引き渡し後2年までを有効とする。

(3)本条項により本契約が解除された場合、売主は手付金など受領済みの代金を無利息で買主に返金するものとする。

 

上記の例では瑕疵担保責任の有効期間を「2年」と記述していますが、これは売主が不動産会社の場合です。売主が不動産会社の場合、最低でも2年以上を設定しなければなりません。

 

売主が個人の場合は、数ヶ月や半年など2年以下でも設定することができます。隠れた瑕疵(瑕疵担保責任)について、契約書に内容が記述されているかチェックしましょう。

 

ポイント9 公租公課に関する項目

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公租公課とは、「固定資産税」と「都市計画税」のこと。

 

いつからいつまでの税金を“どちらが支払う”のか、または売却する建物や土地が収益物件なら、いつからいつまでの収益を“どちらが得る”のかを定めるための内容です。

 

そのほかにも収益物件の場合は水道光熱費も発生するので、ガス・水道・電気料金などの負担を区分するためにも大切な取り決めとなります。

 

第○条 公租公課

本物件から生じる収益または公租公課、ならびにガス・水道・電気料金など生じる場合の負担については、第○条の引き渡し日を基準に区分する。引き渡し前日までは売主に権利と義務が生じ、引き渡し日以降については買主に権利と義務が生じ、これを引渡し日に精算する。なお、公租公課の起算日は1月1日とする。

 

公租公課の清算は「1月1日を起算日にする暦年方式」と、「4月1日を起算日にする年度方式」があります。どちらの方式を採用するかは地域によって異なるようです。

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ポイント10 印紙代に関する項目

 

売買契約書には収入印紙の貼付が必要となります。印紙代は各自それぞれが負担するのが一般的で、国税庁の規定では連帯責任(連帯納税義務者)として定められています。

 

第○条 印紙代

本契約書に貼付する収入印紙の費用は、売主および買主が各自で負担するものとする。

 

国税庁の規定では連帯責任となっていますが、実際は、どちらが負担しても問題ありません。税務署の形式上、契約書にも「各自で負担」と記述しなければならないのです。

 

些細なことですが、売主になるなら覚えておきたいポイント。どちらが印紙代を負担するのか、あらかじめ仲介業者に聞いておくといいかもしれませんね。

 

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