空き家問題については、色々取り上げられていますが、主な要因として考えられるのが、
「相続時の登記」「家督相続」です。
特定空き家の所有者を見つけるまでの経緯を追ってみたいと思います。
特定空き家の把握
自治体が特定空き家として認定するには、「住民からの連絡があって」というケースもあります。
草木が生い茂り、ゴミの不法投棄や浮浪者が住み着いたり・・・
近所にそんな場所があれば、自治会で問題となり、所有者がわからないと自治体に連絡が行きます。
そして、市が所有者を調べるのです。
ですが、所有者が亡くなった時に、相続された方が移転登記を行っていなくて調べるのが困難なケースがあるのです。
昔の民法にある「家督相続」というのが一因となっているケースもあります。
相続・家督相続とは
「家督相続」というのは、昔の民法に規定があり「遺産は長男が引き継ぐ」というものです。
もちろん、47年の民法改正で相続対象が拡大されて、今は兄弟姉妹も相続人となります。
ですが、民法改正前や改正後でも改正内容を知らなかったら、長男以外の人は何の手続きも行いません。
家督相続で相続した長男が子供もなく亡くなったら、その不動産はどうなるのでしょうか?
今回、相続権が200人以上となった特定空き家のようになってしまうのです。
今回のように所有者がわからない場合は、自治体が所有権をさかのぼって調べるのです。
売買時の移転登記は、転売や詐欺などを防ぐために必ず登記を行いますが、相続の場合は、手続きされないケースもあり、又相続したことを知らないケースもあります。
「個人の財産に関わること」で登記の義務化はないのですが、法務省では、来年中に「相続登記の義務化」の法案をまとめるという方針です。
自治体の特定空き家の調査
自治体が特定空き家に認定するのは「空き家対策特別措置法」に基づいて、倒壊している建物などを認定するのです。
そのままでは倒壊の恐れや危険なものは応急対策を行いますが、費用の請求は所有者に行います。
費用の請求先として所有者探しを行いますが、今回の特定空き家の場合、登記簿に記載の合った人は既に亡くなっているので、家系図の作成も行いました。
そして、その結果200人5世代先にまで広がったのです。
相続権は子→孫→ひ孫→→→来孫(ひ孫の孫)
この家系図作成や所在確認などで、100万円以上の費用をかけたといいます。
しかも、200人中93人が存命という事ですが、今までにかかって費用の負担や今後の事は、何も決まっていないそうです。
もし、今の93人の内誰かが亡くなった場合は、その子供や兄弟などまた相続人が増えるかもしれません。
特定空き家は、「行政代執行」が出来ますが、「所有者が行うもの」という考えが根底にあるので、このように費用を掛けて探し出します。
でも、この調査費用や解体などの工事費用が自治体の予算を圧迫しているところもあります。
空家が増えていき、特定空き家も増えていくと、行政の費用負担も増えていきます。
やはり、相続登記の義務化が必要なのかもしれません。
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