過剰な宣伝広告は危険?「錯誤」が原因で売買契約が無効になるケース
「錯誤」(さくご)とは、民法95条に登場する言葉です。
わかりやすく言うと、「勘違い」や「間違い」ということになります。
そして、錯誤が原因の場合は、原則的に「無効」となります。
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表示上の錯誤とは?
「錯誤」(さくご)は、予め考えていたり、思っていたことと、実際の内容が食い違っていることに、本人が気づいていない、理解していないことと認識されています。
例えば不動産の売買契約書に、売買価格を「1千万円」と記載するつもりだったのに、間違えて「1万円」と記載してしまうようなことをいいます。
こうした場合の錯誤は、「表示上の錯誤」と呼ばれます。
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動機の錯誤とは?
動機の錯誤とは、「動機に対しての誤解」という認識で良いかもしれません。
例えば、とある地方都市に住むNさんが、家族と住むための一戸建て住宅を建てることになり、そのための土地を探していたとします。
その土地を気に入ったので、念のために契約前に地盤調査をしたところ、有害な産業廃棄物が埋まっていたことが発覚しました。その産業廃棄物の処理のためには、200万円ほどかかることから、購入することを諦めることになりました。
この場合、土地を買うという意思があったことで地盤調査をしているため、事前に産業廃棄物が埋まっていることを知っていれば、土地を買う動機にはならなかったことから、動機の部分では、「産業廃棄物はなかった」という「思い違い」「勘違い」をしていたことになります。これが「動機の錯誤」です。
動機の錯誤が原因で、売買契約が無効になるケース
Xさんは不動産会社Zの物件広告を見て、とあるマンションの903号室を購入することを検討するために、不動産会社Zに行って、物件の説明を受けることになりました。
Xさんの希望は、「日当たりの良い部屋」ということなので、そのことをZ社の営業担当者に伝えたところ、「903号室は日当たり良好です」という答えをもらいました。
次に、購入を検討しているマンション(903号室)の隣に、新たにオフィスビルが建設される予定であることを事前に聞いていたことから、Z社の営業担当者に「そのオフィスビルの建設は、日当たりに影響がありますか?」と聞いたところ、「隣のオフィスビルの高さは8階建てなので、903号室の日当たりには影響はありません」という答えを受けました。
この質疑応答の結果、Xさんはとあるマンションの903号室を、不動産会社Zから購入することを決め、売買契約を結び、銀行で住宅ローンの申込みをして、承認された後、売買代金を支払いました。
ここまでならよくある話なのですが、実際に建設されたオフィスビルの高さは、8階建てとはいっても、マンションの12階建てに相当する高さだったため、901号室は一日中、日の当たらない状態となってしまいました。結果的に、Z社の説明は間違っていたことになります。
果たしてこの場合、XさんはZ社に対して、売買契約を無効にすることはできるのでしょうか?
動機の錯誤に当てはまるのか?
この件に関しては、XさんはZ社からの「隣のオフィスビルの高さは8階建てなので、903号室の日当たりには影響はありません」という言葉を受けて、「903号室の日当たりは良好である」と誤解をしてしまったことが、契約の動機となっています。
事前に903号室の日当たりが良好でないことを知っていたら、この物件を購入する動機にはならなかったことから、この件は、動機の錯誤に該当するケースと言えます。
動機の錯誤が民法95条で認められるためには?
動機の錯誤が民法95条で認められるためには、2つの条件があります。
1.重要な錯誤である
「その錯誤がなければ、購入しなかった」というような、客観的に見て重要性を感じるような錯誤であることが必要となります。
2.重大な過失がない
事前に説明を受けているにも関わらず、不注意によって契約を結んでしまった場合は、重大な過失に該当します。
Xさんの売買契約は無効になるのか?
「重要な錯誤」という点では、Z社からの「隣のオフィスビルの高さは8階建てなので、903号室の日当たりには影響はありません」という言葉がXさんの購入の動機となっています。
Xさんは、隣のオフィスビルの高さが903号室の日当たりに影響することを、事前に知っていたら、購入をしなかったことを踏まえると、「重要な錯誤」に該当することになります。一方で「重大な過失」についても、該当しないことがわかります。
そのため、Xさんは民法95条に基いて、Z社に対して売買契約の無効と、売買代金の返還を求めることが可能となります。
まとめ
錯誤(さくご)は、民法95条に出てくる言葉であり、「勘違い」や「間違い」という意味と認識しておくと良いかもしれません。
不動産売買で錯誤が認められた場合には、売買契約は無効となります。
売買契約時には、不動産会社と「言った言わない」というトラブルを回避するためにも、できるだけメールなどの文書で残すようにすることが大切です。
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