不動産、これは立派な財産です。当たり前のことかもしれませんが、現在の日本では多く財産を持つ人には多くの税金が課せられます。
現金だけではなく、不動産という財産を持つことでも様々な税金の負担が出てきてしまうことをご存知でしょうか。
不動産は取得したときも、保有している間も、手放すときでさえ税金が発生します。
不動産を取得したときに必要な税金は、売買契約時に貼付けする印紙税、不動産登記内容の変更の為に必要な登録免許税、相続や贈与によって不動産を取得したのであれば、相続税や贈与税も発生します。
また、不動産を取得した年に1度だけ支払いしなければいけない「不動産取得税」という税もあり、これが意外に大きな額ですので、事前に知っておかないと後々資金繰りが大変になってしまうこともあります。
不動産を保有していることでも、毎年固定資産税や都市計画税として税金が課せられます。
更には不動産を譲渡したときには、売却によって大きな利益を得ることで課税対象となってしまうこともあるのです。
このように不動産を所持しているだけで多くの税負担を強いられますが、それらの税金を「節税」する方法を知っているだけで、不動産にかかわる税金をもっとお得にできる可能性があります。
不動産にそれぞれかかる税金はどのようにして安くしていけるのか、今回は不動産にかかる税金とその節税方法をご紹介します。
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不動産を売却するときに知っておきたい税金の全て
不動産取得に関わる税金
不動産を保有していることで必要になる税金については広く認知されていますが、取得時にも税金がかかることはあまり知られていません。
自宅にせよ投資物件にせよ、不動産の取得を考えている方は、不動産取得時にかかる税金についてしっかり知識を深めていきましょう。
印紙税
不動産取得時、まず一番最初に必要となるのが「印紙税」です。
売買契約書に貼付する印紙税額は、売買契約書に記載された取引価格によって異なります。
売買契約書に貼付する印紙税額一覧
記載金額 | 不動産売買契約書 |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
50万円以下 | 200円 |
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
また、不動産購入時に住宅ローン借り入れがある際には、「金銭消費貸借契約書」にも印紙を貼付します。
金銭消費貸借契約書に貼付する印紙税額
記載金額 | 金銭消費貸借契約書 |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
50万円以下 | 400円 |
100万円以下 | 1,000円 |
500万円以下 | 2,000円 |
1,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円以下 | 20,000円 |
1億円以下 | 60,000円 |
※この2つの印紙税は金額による印紙税額が異なるので注意しましょう。
印紙は郵便局にて販売されていますので、売買契約時と金銭消費貸借契約を結ぶときには事前に購入しておいてください。
登録免許税
次に、不動産を登記するときの「登録免許税」が必要となります。
不動産を購入したときに変更しなければいけない登記内容は、以下の通りです。
・建物の表示登記
・所有権移転登記
・抵当権の設定登記(住宅ローン借り入れがある場合)
不動産購入時の登記については、計算や手続きが複雑なことから司法書士に依頼するのが一般的です。
不動産の登記を変更する際には、登録免許税と合わせて司法書士報酬も必要となります。
登録免許税一覧
登記内容 | 課税の基準 | 税率 |
所有権移転(建物) | 固定資産税評価額 | 1000分の20 |
所有権移転(建物)※新築または築20年以内で50㎡以上の家屋 | 固定資産税評価額 | 1000分の3 |
所有権移転(土地) | 固定資産税評価額 | 1000分の15 |
抵当権設定 | 債権額 | 1000分の4 |
抵当権設定※新築または築20年以内で50㎡以上の家屋 | 債権額 | 1000分の1 |
根抵当権設定 | 極度額 | 1000分の4 |
所有権登記名義人氏名や住所の変更 | 不動産1個当たり | 1000円 |
不動産取得税
不動産を取得した後には「不動産取得税」も納めなければいけません。
不動産取得税は不動産を取得した年に一度だけ支払う税金で、不動産の購入からおおよそ3か月以内に支払通知書が各地方自治体から発送されます。
・不動産取得税=不動産の取得日における不動産の価格(課税標準額)× 税率
不動産取得税は、取得した不動産の価値により異なり、さらに「耐震基準を満たす中古住宅」は税が軽減される等の特例もありますので一概にいくらかかるとはいえません。
相続税・贈与税
不動産を取得した理由が相続や贈与にあるとき、不動産の価値により相続税や贈与税といった税金が課せられます。
相続税も贈与税も、不動産の価値を調べ、その価格を元に課税される金額を算出します。相続税や贈与税はとても税率が高いのですが、故人と住んでいたマイホームであれば大幅に控除され殆ど税金はかからないので安心してください。
しかし、資産価値の高い投資物件等を相続・贈与された場合には多額の税金が課せられる可能性もあるので注意しましょう。
不動産保有に関する税金
このようにして得た不動産を保有していることで、毎年かかる税金もあることを覚えておきましょう。
固定資産税
不動産を保有していてかかる税金といえば、固定資産税ですね。
毎年1月1日に、その不動産を所有しているものに対し、不動産の価値から計算された税金を自治体に納めなければいけません。
課税基準となる不動産の価値は、市町村で定めた「固定資産税評価額」によりますが、この固定資産税評価額は3年に一度見直されます。
よって、固定資産税額は土地の価値や建物の価値の変化に伴い都度変更されていきます。取得から未来まで同じ税額ではありませんので注意しましょう。固定資産税額の計算式は以下の通りです。
・固定資産税額=課税標準 ×1.4%(標準税率)
固定資産税の納税通知書は5~6月ごろ、各自治体より郵送で届きます。
都市計画税
市街化区域内の不動産を所有している方には、固定資産税と更に都市計画税か課せられます。
都市計画税は地方自治体の条例によって定められており、集められた税金は都市計画事業に充てられる仕組みです。都市計画税の計算式は以下の通りです。
・都市計画税額=課税標準 ×0.3%(上限)
但し、都市計画税の税率は自治体によって異なりますので、詳しく知りたい方はお住まいの自治体へ直接お問い合わせください。
都市計画税の納税通知書は5~6月ごろ、各自治体より郵送で届きます。
所得税
投資物件を所有し、賃料収入等を得ている方はその収入によって所得税もかかります。
賃料による所得は給与所得等と合算し所得税と住民税が算出されます。不動産による収入が多ければ多いほど所得税も上がっていきますので、税金対策がより必要となっていくでしょう。
課税所得による所得税率と控除額
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
不動産譲渡に関わる税金
次に「不動産を譲渡したとき」に発生する税金についてご紹介します。
譲渡所得税
不動産を売却によって譲渡した場合には、「譲渡所得税」が発生することがあります。他の所得と譲渡による所得は別々に課税され、譲渡所得がマイナスとなった場合には他の収入があっても課税されません。
譲渡所得税額は、譲渡所得に税率をかけた額となります。この譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた年数によって変わります。
「売却時期の見極め」を失敗すると、多額の税負担を強いられることもありますので注意しましょう。
譲渡所得税の税額の計算は、3つのステップで行います。
ステップ1.譲渡所得を求める
譲渡所得=売却で得た金額-(不動産取得費≪減価償却費を差し引く≫+譲渡費用)
ステップ2.課税譲渡所得を求める
課税譲渡所得=譲渡所得-(特別控除)※1
ステップ3.譲渡所得税を算出する
譲渡所得税=課税譲渡所得×税率(所得税・住民税)
※1マイホームの売却では3000万円、公共事業の収容による譲渡は5000万円までの特別控除が認められ、譲渡所得から差し引くことができます。
「短期保有と長期保有」
譲渡所得税は、売却した不動産を保有していた年数によって税率が異なります。
所有期間 | |||
短期(5年以下) | 長期(5年超) | 長期(10年超) | |
居住用不動産 | 所得税30.63% | 所得税15.315% | 課税所得6000万円以下で10.21% |
住民税9% | 住民税5% | 課税所得6000万円以上の部分 住民税4% | |
非居住用不動産 | 所得税30.63% | 所得税15.315% | |
住民税9% | 住民税5% |
※この表は復興特別所得税2.1%を上乗せした税率となっています。
印紙税
不動産購入時と同じく、売却時にも売買契約書に貼付ける印紙を購入する必要があります。印紙税額については、「売買契約書に貼付する印紙税額一覧」をご覧下さい。
こちらも購入時と同じように、売買契約前に郵便局で必要な額の印紙を購入しておきましょう。
登録免許税
不動産を売却しローンを完済すると、不動産に付けられていた「抵当権」を抹消しなければいけません。
抵当権抹消時には、登録免許税として不動産1個当たり1,000円が必要となります。土地と建物で最低でも2,000円、さらに司法書士に依頼すると司法書士報酬として1~2万円ほどかかります。
不動産にかかる税金を安く抑える節税方法
ここまで不動産にかかるいくつもの税金について解説してきましたが、最後に不動産にかかる税金を少しでも安く抑えたい方の為に「節税方法」についてお話したいと思います。
不動産にかかる税金を安くするためには、「不動産購入前」から節税の知識を持っていることが大切ですので、購入前にもう一度節税方法について確認していきましょう。
住宅ローンによる節税
購入する不動産の目的が「自宅」なら、住宅ローン控除による節税が可能です。
「住宅ローン控除について」
住宅ローン控除とは、住宅ローンの残額の1%を毎年所得税から控除するというものです。
住宅ローン控除は開始から10年間有効なのですが、中古住宅の場合には住宅ローン控除の対象とならないものもあります。
・中古住宅における住宅ローン控除の要件
木造住宅は築20年以下のものであるか、築20年以上の木造住宅では耐震基準を満たしている、または既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば受けられる。
また、住宅ローンは最低でも10年以上で組んでいるものが減税対象です。さらに住宅ローン控除の恩恵を受けるためには、税務署にて確定申告を行う必要があります。
投資物件の節税方法について
投資物件の税金を少しでも安くしたいのであれば、できるだけ経費を上げていくことが大切です。
家事按分しなければいけないものまで100%経費にしてしまうのは脱税となりますが、正しく税を納めていく範囲内での経費は節税の一環となります。
また、サラリーマン投資家の方は「開業して青色申告を導入する」だけでも65万円分の控除が受けられますので是非実施してください。
そして青色申告事業者は、配偶者へ渡すお金を専従者給与にしましょう。専従者給与は経費として認められ、収入から控除することが可能です。
専従者となれるのは、青色申告事業者と生計を同じくしている15歳以上のものです。原則として、年間半分は青色事業者の事業に専念している必要がありますので、年間の半分以上パートをしている配偶者等は専従者になることができません。
配偶者に渡す専従者給与の額を130万円以内に抑えておけば、各種税金もかからず面倒もありません。
さらなる節税方法として、「小規模企業共済」に加入するという方法があります。
小規模企業共済とは、事業主用の退職金制度です。掛け金は全額所得控除となり、税金対策の一環として加入しておきたい制度です。
しかも小規模企業共済は廃業時の退職金だけではなく、事業資金の貸付まで行ってくれますので、もしもの時の為に加入しておくことをおすすめします。
将来掛かる相続税を節税する方法
不動産を多く持つ方は、将来相続によってかかる相続税を節税することも必要でしょう。
相続税を節税するためのポイントは以下の4つです。
「小規模宅地の特例を使用」
相続する不動産の種類によっては、大きく節税できることがあります。その代表的なものとして「小規模宅地等の特例」が挙げられます。
小規模宅地等の特例とは、「故人が使用していた住居や事業用宅地を、一定の要件を満たす相続人が相続したときに最大で80%不動産評価額を減額する」という物です。
小規模宅地等の特例に当てはまれば、5000万円の価値がある不動産も1000万円の価値まで減額されるということになり、大きく節税することができます。
「ローンで投資物件を持つ」
相続の際、負債は債務控除として相続財産から差し引くことができます。
もし1億円の投資物件をローンで購入したとして、相続時に負債がまだ4000万円残っていればその額をそのまま相続財産から控除することができるのです。
ローンによる投資物件の購入は、生前も大きな節税効果を発揮します。ローンの利息分を経費として計上できますし、購入したばかりの物件は減価償却額による所得税の節税も大きくなるからです。
投資物件を現金で買う余力があっても、ローンを組むことができるのであればあえてローンで購入するほうが、ローンを背負うというデメリットはあるものの、税金対策という面では優れているということになりますね。
「生前贈与」
生前贈与の対象は現金だけではありません。不動産も生前贈与することで、相続税を節税することが可能です。
生前贈与には節税だけではなく、「生きているうちに相続する人を決めておける」というメリットがあります。
同じ住宅に住む子供に家を残してあげたいのに、相続争いで住宅を売却する羽目になった、という不測の事態も防ぐことができるのです。
生前贈与での節税は、贈与する親・祖父母が60歳以上で贈与を受ける子や孫が20歳以上の場合、2500万円までの生前贈与を非課税とする「相続時精算課税制度」を利用することで可能となります。
「養子縁組」
生前、できるだけ多く「養子縁組」をして、法定相続人を増やしておくことで相続税対策とすることができます。
相続税には基礎控除があり、「基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)」を相続する財産から差し引くことができます。
このため、単純に法定相続人の数を増やすことで一人当たり600万円の控除を生み出すことができ、結果相続税を大きく減らすことができるのです。
但し、養子縁組による相続は度々トラブルの元となりますので、事前に法定相続人には「養子がいること」と、「養子には相続の権利があること」を伝えておくことをおすすめします。
まとめ
不動産にかかる税金と節税方法について、理解は深まりましたでしょうか。
不動産という財産は、保有している期間だけではなく、取得時や売却時にも税金がかかります。
更に相続時には相続税が大きな負担となってなってしまうことも多々あります。不動産にかかる税金は決して少額ではありませんので、事前知識を持って賢く不動産売買していきましょう。
節税できる不動産を購入したり、経費をなるべく計上するなど、様々な工夫で不動産にかかる税金を減らしていきましょう!
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