不動産を売却するときに知っておきたい税金の全て

不動産を売却すると、売却益の額によっては各種税金が発生することをご存知でしょうか。

 

不動産を売却し得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、その他の所得とは区分して支払うべき税金額を計算し、納税する必要があります。

 

譲渡所得に対して発生する税金は譲渡所得税と住民税などがありますが、その他売却時には諸費用も必要です。

 

・売却後に発生する税金→譲渡所得税、住民税、復興特別所得税

・売却時に発生する諸費用→印紙代、登記代、不動産仲介手数料等

 

いくら納税は国民の義務と言っても、不動産を購入するときにも支払った税金を売却する際にも支払わなくてはいけないというのは大変なことですから、少しでも税金対策をして節税していきたいですよね。

 

不動産売却で得た利益に対する税金には、様々な特例が用意されており特にマイホームの譲渡に関しては正しく確定申告することで大きな節税効果が期待できます。

 

今回は、不動産売却で発生する各種税金の内容と計算方法、さらに具体例付きで解りやすい税金シミュレーション、そしてやっておきたい税金対策について解説していきます。

 

 

不動産の売却に関する税金の種類

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不動産売却後に発生する売却益に関する税金の種類は、「譲渡所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つです。

 

まずはそれぞれがどのような税金なのか、どういった方法で納税するのか等詳しくみていきましょう。

 

譲渡所得税

土地や建物を売却したときに得た利益は「譲渡所得」と呼ばれています。

 

譲渡所得は給与所得や事業所得とは別の所得として計算され、「分離課税」として国に治めなくてはいけません。

 

譲渡所得は「売却した価格」から「売却した不動産の購入価格」と「売却に必要だった諸費用」を差し引き算出され、その譲渡所得の15%~30%の額が「譲渡所得税」となります。

 

※不動産の購入価格には購入時に発生した諸費用も含みます。また、購入時の費用は減価償却し計算されます。

 

※取得費が解らない場合は、売買代金の5%を概算取得費とすることもできます。

 

譲渡取得があり課税対象となる場合には、売却翌年の2月16日から3月15日までの間に忘れず確定申告を行いましょう。確定申告後、速やかに納税してください。

 

住民税

毎月給与から住民税を都道府県・市町村に納めていると思いますが、譲渡所得が発生したときにはそれとは別途に住民税を納める必要があります。

 

税額は不動産の所有期間によって異なり、5年以下の短期所有では9%、5年超の長期所有では5%が住民税の納付額として計算されます。

 

住民税は譲渡取得税の確定申告によって課税されるため、特別住民税についての手続きは必要ありません。

 

確定申告をした年、つまり売却翌年の5月に各地方自治体から納付書が送付され、納付書によって4回に分けて住民税を納めます。

 

復興特別所得税

復興特別所得税とは、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域の復興に充てる財源として平成25年1月から徴収されるようになった税金です。

 

復興特別所得税は所得に対してかかる税金ですので、実は毎月の給与からも自動的に引かれています。

 

給与所得や事業所得と分離課税となる譲渡取得税にも復興特別所得税が加算され、その税率は2.1%です。

 

・復興特別所得税額=譲渡取得税額×2.1%

 

復興特別所得税は譲渡所得税とあわせて確定申告後、速やかに納税してください。

 

復興特別所得税が加算されるのは平成25年1月より25年間と期間が定められており、平成24年以前の古い情報では復興特別所得税についての記載がないので注意しましょう。

 

 

不動産売却時の税金にかかる費用

ここからは不動産売却で発生する税金の計算式と、納税額の具体例とシミュレーションをご紹介します。

 

税金の計算は難しいイメージがありますが、計算式に数字を当てはめるだけで簡単に算出できます。

 

不動産の所有期間で変わる税率

まず、譲渡所得税と住民税はそれぞれ「不動産の所有期間で税率が変わる」と覚えておきましょう。

 

・短期所有(5年以下)→所得税30,63%(うち復興所得税0.63%)、住民税9%

 

・長期所有(5年超)→所得税15.315%(うち復興所得税0.315%)、住民税5%

 

ここで注意したいのが、不動産の所有年数の数え方です。所有年数は売却時点ではなく、売却した年の1月1日が基準となります。

 

例)平成24年10月から所有した不動産を、平成29年12月に売却した→平成29年12月時点では5年を超えているが、売却年の1月1日を基準とするため所有期間は4年となる。

 

この期間の数え方を間違えると税額も大きく変わるのでよく確認しましょう。

 

譲渡所得税の計算式

譲渡所得税の計算式は以下の通りです。

 

・短期所有・・・税額=課税短期譲渡所得金額×30.63%

・長期所有・・・税額=課税長期譲渡所得金額×15.315%

 

住民税の計算式

住民税の計算式は以下の通りです。

 

・短期所有・・・税額=課税短期譲渡所得金額×9%

・長期所有・・・税額=課税長期譲渡所得金額×5%

 

具体例で解る税金シミュレーション

計算式が解ったところで、実際に譲渡所得によって税金がどれだけかかるのか、計算式に当てはめてシミュレーションしてみましょう。

 

・短期所有の不動産の譲渡所得が5000万円であったとき

→譲渡所得税・復興特別所得税合計で1531.5万円

→住民税は450万円

計1981.5万円

 

・長期所有の不動産の譲渡所得が3000万円であったとき

→譲渡所得税・復興特別所得税合計で459.45万円

→住民税は150万円

計609.45万円

 

計算式だけではピンとこなかった税額も、実際に計算してみるとかなり大きな金額であることが解りました。

 

税金対策せずに納税するとなると、不動産を売却した利益はほとんど税金に消えてしまうことになりますね。

 

*よく似た内容の記事はこちら
通常の売却と何が違う?相続した不動産を売るときの費用や税金

不動産売却税を節税する方法

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納めるべき税額が解ったところで、次は節税する方法についてご紹介します。

 

不動産売却、とりわけマイホームの売却時には税金に対し特例が設けられており、次の3つの特例を利用することで確実に税金対策になります。

 

特例1-マイホーム売却の特例

まず1つ目の特例ですが、売却する不動産が個人の自宅(マイホーム)であれば譲渡所得から最高3000万円が控除されるという「3,000万円特別控除の特例」というものがあります。

 

一般的な住宅であればこの特例によって税額はかなり抑えられるはずです。

 

「特例適用要件」

・居住用の住宅すべて

・この特例は、所有期間の長短には関りがない

・最高3000万円が譲渡所得より控除される

 

「特例の有無で変わる税金の差」

譲渡所得が5000万円あったとき、特例の有無で次のような税金の差が生まれます。

 

短期所有の税率では・・・

・特例あり→(5000万円(譲渡所得)-3000万円(特例による控除))×39.63%=792.6万円

・特例なし→5000万円(譲渡所得)×39.63%=1981.5万円

 

特例ありでは約1200万円の節税になります!

 

長期所有の税率では・・・

・特例あり→(5000万円(譲渡所得)-3000万円(特例による控除))×20.315%=406.3万円

・特例なし→5000万円(譲渡所得)×20.315%=1015.75万円

 

特例ありでは約600万円の節税になります!

 

特例2-所有年数による軽減税率

2つ目の特例が、所有年数による軽減税率です。対象不動産の所有が10年を超えていればこの特例が適用され、譲渡所得税が軽減されます。

 

「適用要件」

・日本国内にある自宅家屋を売却すること

・売却年の1月1日に所有が10年を超えていること

・売却年の前年・前々年にこの特例を受けていないこと

・マイホーム売却の特例(3000万円の控除)とは重ねて受けることができる

 

「軽減税率」

軽減される税率および計算式は以下の通りです。

 

課税長期譲渡所得金額(=A)

・6,000万円以下・・・A×14.21%(譲渡所得税・復興特別所得税10.21%、住民税4%)

・6,000万円を超えた部分・・・(A-6,000万円)×20.315%(譲渡所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)+600万円

 

特例が適用されない場合長期所有の譲渡取得税は20.315%ですから、譲渡所得金額が6,000万円以下であれば5%以上税率が軽減されることになります。

 

但し、6,000万円を超えた部分については税率が変わります。

 

そして軽減税率はマイホームの特例による控除とあわせて適用可能ですので、実際には譲渡所得が3,000万円を超えた部分からが軽減税率の適用部分です。

 

例えば・・・

・譲渡所得が1,000万円だった場合→マイホームの特例で課税なし、よって軽減税率もなし。

・譲渡所得が5,000万円だった場合→マイホームの特例を適用しても2000万円は課税対象、軽減税率も適用できる。

・譲渡所得が1億円だった場合→マイホームの特例を適用しても7,000万円が課税対象、軽減税率は6,000万円まで適用され、6,000万円を超えた部分の税率は20.315%となる。

 

このように、売却によって得た利益額が大きくてもマイホームの特例が適用されることで税の負担はとても軽くなります。

 

特例3-不動産買い替えの特例

3つ目の特例は、マイホームの買い替えによる特例です。居住用の不動産を売却し同時に新しく住宅を取得したときには、税金が免除または軽減されるという特例です。

 

「適用要件」

・マイホームの買い替えであること

・売却するのは現在居住中か、空き家になって3年以内の自宅

・売却する住居は1月1日時点で10年超の所有、売却時点で10年以上居住していること

・売却金額は1億円以下

・売却は平成29年12月31日まで、買い替えは売却翌年の12月31日までであること

・住宅ローン控除との併用不可、前年、前々年にマイホームの特例や軽減税率の特例をうけていないこと

・親族間の譲渡ではないこと

 

「特例概要」

・売却金額より買い替え価格が上回った場合には、売却時の課税はありません。但し、新しく取得した住宅を売却するときは「買い替え前の住宅を売却時に払うはずだった」譲渡所得税が課税されます。

・売却金額が買い替え価格よりも上回った場合には、以下の計算式によって譲渡所得が算出されます。

 

①不動産売却による収入金額 = 売却価額 − 買換価額

②譲渡所得 = ① − (売ったマイホームの取得費 + 譲渡費用)×(① ÷ 売却価額)

 

その他の特例

不動産売却によって損失が出たときには利益がないため確定申告も必要ありませんが、場合によっては確定申告をすることで給与所得などにかかる税金を節税することができます。

 

・買い替えによる損失では

マイホームの買い替えによって損失が生じた際には、給与所得や事業所得と損益通算し、所得税を軽減することができます。この時に控除しきれなかった額は翌年以降3年以内に繰り越しが可能です。

 

詳しくはこちら→国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3370.htm)

 

・住宅ローンの残債がある中で住宅ローン残額よりも売却額が下回ったときにも、損益通算による節税が可能です。こちらも控除しきれない額は抑年以降3年以内に繰り越しができます。この特例はマイホームを買い替えなくとも適用されます。

 

 

不動産売却時にかかる税金以外の諸経費

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最後に、不動産売却時に必要な税金以外の3つの諸経費について解説していきます。

 

諸経費を用意できないと不動産売却は難しくなってしまいますので、売却を考えている方は以下の諸費用を準備しておいてください。

 

印紙代

売買契約時、売買契約書に貼付する印紙代が必要となります。不動産の売却額で印紙代が異なりますので注意しましょう。

 

・売却金額で異なる印紙代一覧

100万円超~500万円以下・・・2,000円

500万円超~1,000万円以下・・・1万円

1,000万円超~5,000万円以下・・・2万円

 

不動産仲介手数料

不動産業者に仲介を依頼した際には、不動産仲介手数料も必要です。不動産手数料の上限は「物件価格(税抜き)×3%+6万円と消費税」ですが、対象不動産の価格により仲介手数料が異なることもあります。

 

・不動産価格で変わる不動産仲介手数料

不動産価格(税抜)200万円以下・・・価格(税抜)×5%+消費税

不動産価格(税抜)200万円~400万円以下・・・価格(税抜)×4%+2万円+消費税

不動産価格(税抜)400万円超・・・価格(税抜)×3%+6万円+消費税

 

仲介手数料の金額は、仲介を依頼した不動産業者に確認しておきましょう。

 

抵当権抹消等の登記費用

不動産は売却完了とともに住宅ローンも完済しなければいけません。住宅ローンを完済すると、借入時に不動産に設定した「抵当権」を抹消する必要があります。

 

抵当権の抹消は司法書士へ依頼すると確実です。司法書士への依頼料や登記内容の変更手数料など合計して3~5万円ほどが相場となっていますので、売却の諸費用として用意しておきましょう。

 

まとめ

不動産の売却はその利益の額によって課税対象となりますが、マイホームの場合には税に対する特例が適用されることで大きく節税することが可能です。

 

また売却損が出てしまった際にも特例が適用できる場合がありますので、「住宅ローンが不安で売却できない」と考えている方は不動産業者にその旨を正直に伝え、改めて資金計画を立ててみてください。

 

そしていくら節税しても、売却時には各種諸経費も必要です。売却で得た金額がすべて収益となるわけではないことを十分に理解し、納得のいく売却を進めていきましょう。

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