不動産売却時の譲渡所得税の計算に使われる減価償却費とは?

不動産売却時の譲渡所得税の計算に使われる減価償却費とは?

 

自らが所有していた不動産を売却すると、それは譲渡所得となります。所得は何をしたことで受け取ったかによって分類されています。たとえば会社に所属していて働いた分のお金は、給与所得となります。それらとは別で、不動産を売却して得た譲渡所得は住民税と所得税は課税されることになっています。売却によって売却損が出たら、他の所得と相殺ということもできます。

 

不動産売却をしたときの譲渡所得税の計算、そしてそれに使われる減価償却費についてご紹介します。

 

譲渡所得税って何?

 

譲渡所得税は、不動産を売却したときに発生した利益、所得に対してかかっている税金です。計算は課税となる譲渡所得に、譲渡所得税の税率をかけた金額で計算することができます。

 

課税譲渡所得をまずは計算する必要があり、売却価格から購入価格と購入にかかった経費、そして売却にかかった経費を足した分を引きます。それが課税譲渡所得となっています。この金額がマイナスとなっていれば譲渡によって発生したお金はなかったということになるので、譲渡所得はゼロとなり、譲渡所得税は発生しないことになっています。

 

譲渡所得税は安くなる?

 

譲渡所得税が発生する場合でも、特例などによって安く抑えることもできます。特例は3つあり、3000万円の特別控除、所有期間が10年以上の軽減税率、買い換えです。

 

○3000万円の特別控除とは?

自分が住んでいた不動産で、買主と売主に特別な間柄がないこと、そして売却した年からさかのぼって2年、特例や譲渡損失の特例を受けていない、ということが条件です。

 

○所有期間が10年以上の軽減税率とは?

売却をした不動産を所有していた期間が10年以上であることが条件です。

 

○買い換えとは?

不動産を売却した際、代わりに住居とする不動産を購入することが条件です。

 

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減価償却費って?

 

不動産売買による譲渡所得税の計算で、必要となる減価償却についても知っておかなくてはいけません。不動産の場合は建物だけにしかできず、土地は劣化していかないものなので減価償却ができないことをまず知りましょう。

 

減価償却費はどう計算する?

 

不動産における減価償却費の計算方式は、定額法と定率法でわかれています。届け出がない場合や、平成10年4月1日以降に取得した建物に関しては、定額法で減価償却費を算出することになっています。

 

減価償却費は、建物の購入額×0.9×償却率×経過年数で算出ができます。償却法として定額法で耐用年数を確認してみると、非事業用不動産、いわゆる住居として使う不動産の場合、木造だと耐用年数は33年とされており、償却率は0.031です。耐用年数は軽量鉄骨か鉄筋コンクリート造かによっても違います。

 

・建物の購入額(取得価格)

土地は減価償却ができないので、建物の購入額だけで考えます。売買契約書に土地はいくら、建物がいくらとなっている場合は、建物の金額だけを取得価格として計算式にあてはめます。もしも土地と建物の金額が明記されていないときは、固定資産税評価額という物を使って按分して取得額を決定します。

 

・耐用年数

耐用年数は構造で変わるのですが、法定耐用年数は定められています。木造だと33年とお話ししましたが、軽量鉄骨では40年、鉄筋コンクリートでは70年となります。

 

・償却率

償却率も国税庁が発表する減価償却資産の償却率表というものがあるので、それで調べることができます。木造は0.031ですが、軽量鉄骨だと0.025、鉄筋コンクリートは0.015です。これはいずれも非事業用不動産の話です。

 

・中古物件の耐用年数について

中古物件の耐用年数による償却率は、建築年数で簡便法という方法を使います。耐用年数をすべて経過してしまった場合、法定耐用年数×0.2で計算されることになっています。まだ法定耐用年数の一部だけしか経過していない場合は、法定耐用年数から経過年数を引いた年数を、経過年数に足して0.2をかける、「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」という計算式です。

 

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取得費を算出するための減価償却費

 

譲渡所得税は取得費を算出することでいくら必要になるかがわかるのですが、取得費を算出するために必要なのが減価償却費です。減価償却費を算出したら、それを建物を購入した金額から差し引いて、その建物の取得費が算出されます。

 

この所得費をもとに、譲渡所得はさらに計算が必要です。売却価格―(減価償却の累計を引いた分の取得費+譲渡費用)という計算式で、譲渡所得は計算されます。

 

税金の計算はしっかりと理解しよう

 

不動産売却をすると、まずは無事に売れるかどうかばかり考えてしまいがちですが、税金のこともしっかり調べておかないと、どんな税金をどれだけ支払うのか、いつ支払うのかなどがあいまいになってしまって、結局何のために支払った税金なのかもわからくなってしまいます。法が改正されるなど複雑なこともたくさんあり、素人ではわからない…と諦めたくなりますが、不動産売却の時はしっかりと一から学んでおきたいですね。

 

記事執筆者:西 恭平(不動産業歴17年・宅地建物取引士)

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