売買契約書の基本用語⑦「手付解除」と「契約解除」の違い
不動産の売買で使われる用語は、一見似ているけれど違いがあるという言葉があります。
「手付解除」と「契約解除」もそのひとつかもしれません。
どちらも一旦結んだ売買契約をキャンセルする時に使われる用語ですが、単純な違いは、契約をキャンセルするタイミングと違約金の支払額です。
ここでは、「手付解除」と「契約解除」の違いについて解説していきます。
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手付解除
不動産の売主と買主が売買契約書を結ぶ時に、買主は売主に対して、不動産価格の5%から10%の金額を「手付金」として支払います。
この際に支払われる手付金を「解約手付」といいます。
手付解除には、何らかの事情で売買契約をキャンセルする場合に、買主が売主に対して「手付金はいらない、返さなくていい」と意思表示することで行われるパターンと、売主が買主からもらった手付金の倍額を買主に支払うことで行われるパターンがあります。
例えば、売主が買主から手付金として150万円を受け取っていた場合、契約をキャンセルするためには、150万円の倍額の300万円を買主に対して支払う必要があります。
手付解除は売買契約書を締結した際に、契約書に記された一定の期間のみ可能なキャンセル方法です。そのため、買主から残りの代金の全額もしくは中間金などが支払われてしまった時点ではできません。(履行の着手)
住宅ローンの審査が通過した後で、手続きが進行してからでは難しくなると認識しておくと良いかもしれません。
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契約解除
不動産売買のような大きな金額が動く取引では、そうそう簡単に契約を解除することはできません。契約解除には、大まかに分けて7種類があります。
1.クーリングオフ
売主が不動産会社などの宅地建物取引業者である場合に、一定の条件をクリアすることで、契約を解除できる方法です。
売買契約後から8日間の間で、建物の引き渡し前か、売買代金を全額支払う前であれば適用されます。
※買主が不動産業者の場合は適用されません。
2.手付解除
先述したように、履行の着手前もしくは、売買契約書に記載された一定期間の間で、買主が「手付金は返さなくていいですよ」となった場合もしくは、売主が買主に手付金の倍額を支払うことで成立する契約解除です。
3.危険負担
地震などの天災が原因で、物件がなくなってしまったことで、売買ができなくなってしまった場合、買主側が無条件で解除できる方法です。
4.瑕疵担保責任
マンションなどの物件に瑕疵(かし)があった際に、その瑕疵が原因で売買が不可能となってしまった場合に買主が契約を解除できる方法です。
瑕疵には、設備などの不具合や故障などの物理的なものから、「心霊スポット」や「暴力団の事務所が近所にある」といった心理的なものや環境的なものまで含まれます。
5.特約
特約の内容次第で解除できる方法です。例えば住宅ローンの審査が通過しなかったために物件の購入ができなくなった際に、買主側が解除できる方法です。
6.契約違反
売主もしくは買主のどちらかが契約違反をした場合、違約金などを支払うことで契約解除ができる方法です。
7.双方の合意
売主と買主がお互いに合意の上で契約を解除する方法です。
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瑕疵担保責任
不動産の売買契約を結び、物件の引き渡しが済んで、実際に買主が住み始めてから、「給湯器が故障した」「シロアリが発生した」「雨漏りがあった」ということが起こるかもしれません。不動産取引では、こうした故障などの欠陥を瑕疵(かし)と呼んでいます。
特に瑕疵の状態によって、物件に居住することができなくなったという場合には、契約の解除や損害賠償に発展することもあります。このような不動産における瑕疵に対する売主の責任のことを、瑕疵担保責任といいます。
瑕疵には大まかに分けて、物理的、心理的、環境、法的の4種類があります。
1.物理的
建物に関しては、雨漏りやシロアリの発生や耐震強度の不足が該当します。土地に関しては、地盤沈下や土壌汚染や地中障害物があった場合が当てはまります。
2.心理的
過去において、物件で殺人などの事件や自殺などが起きていたことや、心霊現象が起こるなどの、心理的に住みづらくなった場合が当てはまります。
3.法的
物件や土地に対して、法令による建築制限や自由な使用ができなくなった場合です。
4.環境
近隣からの騒音や異臭、振動や日照障害といったものや、近所に暴力団の事務所があるといったことが該当します。
まとめ
不動産の売買にて使われる「手付解除」とは、「契約解除」の中のひとつであり、売買契約書にて定められた期間に、買主が売買契約時に支払った「手付金はいらない」となった場合か、売主がもらった手付金の倍の金額を支払うことで成立する方法です。
他の契約解除には、クーリングオフや危険負担、瑕疵担保責任や特約、契約違反や双方の合意によるものがあります。
特に瑕疵担保責任に関しては、売買契約の時点で付帯設備表や物件状況等報告書を作成し、買主に対してきちんと説明して納得してもらうことで、防ぐことが可能です。
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