「住宅ローンを返済できない」+「マイホームに住み続けたい」場合の対処法
マイホームの住宅ローンを返済できないとき、借入先の金融機関が「抵当権(担保権)」を行使し、マイホームを競売にかけて現金回収するのが一般的な流れです。
つまり、「返済できない=競売で売却される」という手段で、残りの住宅ローンを強制的に支払うことになります。こうなると、マイホームを手放すしかありません。
しかし、住宅ローンの返済が苦しくなってもマイホームに住み続ける救済措置があります。その方法が、任意売却を利用した「リース・バック」です。
リース・バックとは?
まず、住宅ローンを返済できなくなれば督促状が届き、それでも返済できない場合は債権回収の通知が届きます。そして、「差押え通知」が届くと競売にかけられる合図です。
・債権者が裁判所に競売を申し立てる
・競売開始の決定が裁判所から持ち主へ通知される
・差押えの手続きが始まる
・マイホームに調査員が来て査定する
・競売が開始され入札が始まる
・購入者(落札者)が決まる
・所有権移転の登記を手続きし、マイホームを引き渡す
・住宅ローンの返済分として落札金額が回収される
大よそ、このような流れで競売にかけられますが、競売で処分されてしまうとマイホームに住み続けることは不可能です。そのため、競売で処分される前に「リース・バック」する必要があります。
リース・バックとは、簡単に言うと「売ったあともマイホームに住み続ける」方法です。大まかな流れとして、次のようなステップになります。
Step1 任意売却で買い手を探す
Step2 買い手に「賃貸で住ませてほしい」と交渉する
Step3 毎月の家賃を決めて賃貸契約を交わす
Step4 売却後も住み続けられる
専門家の協力が不可欠
通常なら、売却したあとは物件を購入者に引き渡して売主は引っ越しますが、リース・バックでは「売却後も売った物件に住ませてもらえないか」を購入者に交渉します。
売主・・・家賃を支払うので、このまま住み続けたい
購入者・・・私は大家になるということですね
購入者が承諾すればリース・バックは成立しますが、実際のところ簡単にはいきません。リース・バックを実現するには、クリアしなければならない条件が多いからです。
条件1 競売で処分される前に任意売却で購入者を見つける必要がある
競売の最終落札日よりも先に任意売却で購入者を見つける必要があります。間に合わなければ競売で処分されてしまうので任意売却が不可能になればリース・バックも無理です。
条件2 債権者が「任意売却に同意してくれるか」の問題
住宅ローンには抵当権が設定されているので、購入者が見つかれば抵当権を解除してもらう必要があります。売却に同意してくれなければ競売で処分されてしまいます。
条件3 競売の価格よりも高値で売る必要がある
競売よりも安い金額で売ると言えば、金融機関(債権者)は納得しないでしょう。そうなれば、抵当権を解除してくれるわけがありません。競売よりも高値で売却することが条件です。
条件4 購入者が「リース・バックに同意してくれるか」の問題
最終的な条件は、購入者にリース・バックの承諾を得ることです。「自分が住むために買ったから賃貸はできない」と購入者に断られれば交渉は不成立となります。
こうした条件をクリアするためには、「任意売却の成功」と「リース・バックの交渉」がポイントになるでしょう。いずれも、専門家の協力がなければ難しい課題です。
専門家の交渉がカギを握る
抵当権の解除や高値で売るための販売活動、最終的なリース・バックの同意など、すべてにおいて難易度の高い「交渉」が求められます。
債権者との交渉であったり、購入者との交渉であったり、一つでも交渉が上手くいかなければリース・バックは実現しないでしょう。
これらの交渉を本人で行うのは無理がありますよね。経験もないでしょうし、知識やノウハウも備わっていないはず。失敗するのが目に見えています。
競売で処分される前に任意売却を成功させ、リース・バックを実現するには、専門家の交渉と協力が不可欠であることは言うまでもありません。
また、返済が困難になって行き詰まる前に、できるだけ早い段階で専門家に相談することをオススメします。時間に余裕がなくなるほど、選択肢が限られてくるからです。
リース・バックで住み続けながら資金を貯蓄することができれば、将来的に売ったマイホームを「買い戻す」手段も検討できます。
いずれにしろ、まずは競売で処分されてしまう緊急事態を防いで任意売却を成功させることが先決です。その重要なタイミングを逃すと取り返しがつかなくなるでしょう。
任意売却に強い不動産会社やリース・バックをサポートしている司法書士など専門家に状況を相談し、後悔しない最善の方法で住宅ローンの返済を解決しなければなりません。
その際は、くれぐれも悪質な業者と関わらないように要注意。なかには、任意売却を悪用して返済で困っている人をターゲットにする詐欺師もいるので用心してくださいね。
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