引き渡し前のトラブル予防策!「まもりすまい既存住宅保険」とは?

引き渡し前のトラブル予防策!「まもりすまい既存住宅保険」とは?

 

仲介物件の売買契約では、売主の瑕疵担保責任を半年間に設定するケースが多いです。ただし、売主が宅地建物取引業者(不動産会社など)の場合は2年間となります。

 

・仲介して売却した物件=売主が個人・・・6ヶ月以内

・売主が宅地建物取引業の取得業者・・・24ヶ月

 

瑕疵担保責任とは、売却した物件に欠陥(瑕疵)や不具合が見つかったとき、その原因が売主にある場合は修繕費や修復の責任を売主が負わなければなりません。

 

内覧時に購入者は物件を確認しますが、隅々までチェックするのは難しいです。購入後、もし瑕疵担保責任の保証期間を過ぎて瑕疵が発覚した場合は自己解決する必要があります。

 

自分が売った物件ですから、「ざまあみろ」なんて思う人はいないはずです。購入した人の気持ちを考えると、なんだか不憫になりますよね。

 

今回ご紹介する「まもりすまい既存住宅保険」は、そうした売却後のトラブルを防ぐ効果が期待できます。ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

まもりすまい既存住宅保険とは?

 

まもりすまい既存住宅保険とは、中古住宅を買主に引き渡したあとに欠陥が見つかった場合、その補修費を「住宅保証機構(株)」が負担してくれる制度です。

 

建物の構造に不可欠な所要部分の欠陥や雨漏りに関する修繕などが対象で、1年と5年の保証期間を選択することが可能です。

 

欠陥の補修は高額な費用が伴うため、瑕疵担保責任のなかでも物質的な欠陥の賠償は売主にとって負担が大きくなる問題。瑕疵が原因で、トラブルに発展する場合もあるので要注意です。

 

もし売却後に欠陥の修復が必要になった場合、大部分を住宅保証機構が補ってくれるので買主・売主ともにメリットがあります。

 

不動産を売買するにあたり、安心して取引できる一つの要素と言えるでしょう。

 

加入の条件

 

まもりすまい既存住宅保険は、無条件で加入できません。住宅保証機構が定める条件をクリアした中古住宅が加入の対象となります。

 

<木造一戸建て住宅の加入条件>

次の条件すべてを満たしていること。

 

・宅地建物取引業者ではない売主が売買契約を締結している住宅

(売主本人が宅地建物取引業者の場合は適用外)

 

・対象の住宅が居住用であること

(住まいとして利用する家でなければならない)

 

・新耐震基準に適合している住宅

(新耐震基準の検査を合格し、耐震改修工事が実施される住宅)

 

・住宅保証機構が定める検査に合格しなくてはならない

 

・住宅保証機構が現場検査を実施したあと、1年以内に引き渡される住宅

(木造住宅は1年、RC構造・SRC構造の共同住宅は2年以内)

 

<共同住宅(RC構造・SRC構造)の加入条件>

上記5点に加え、次のいずれかを満たしていること。

 

・昭和56年6月1日以降に建築確認を受け、完了検査済証を取得している住宅

・住宅性能保証制度の認定を受けている住宅

・建設住宅性能評価を取得している住宅

・建築物の耐震改修の計画の認定を受け、検査済証を取得している住宅

 

申込方法と加入までの流れ

 

Step1 専用の検査機関に加入申込する

・住宅保証機構に登録している検査機関に申し込む必要があります。また、該当するエリアの検査機関で手続きしなければなりません。

 

各調査機関については住宅保証機構のホームページで検索できるので、不明な点や疑問点は問い合わせて事前に説明を受けておくと手続きがスムーズです。

 

参考:登録検査機関一覧(住宅保証機構HP)

 

Step2 以下は本人ではなく検査機関が処理する内容です

・1 保険契約申込書、設計図書一式など必要な書類を保険申込窓口まで提出する

・2 対象の住宅を検査し、保証可能であるかを判断する

・3 基準を満たしていれば買主に保証書(瑕疵保証の約定)が発行される

 

Step3 住宅保証機構の検査を受ける

引き渡し前に住宅保証機構が現場検査を実施する

 

Step4 以下は本人ではなく検査機関が処理する内容です

・1 現場検査に合格し、買主への引き渡し日が決まったら保険証券発行の手続きを行う

※引き渡し日とは、所有権移転の登記が完了する日です

・2 住宅保証機構より買主へ保険証券を発行される

・3 保険付保証明書が買主に発行される

 

保険の適用範囲

 

ただし、全ての瑕疵(欠陥や不具合)には対応していません。適用外の瑕疵については保証されていないので予め確認しておきたいところです。

 

<基本的な適用>

  • 建物の構造に不可欠な所要部分の耐力性に欠陥が生じた場合
  • 雨水の浸入を防ぐ部分の防水性に欠陥が生じた場合

 

<オプション(給排水管路・設備等など特約)>

  • 給水管や給湯管、排水管や汚水管に欠陥が生じた場合
  • 受水槽や揚水ポンプ、高置水槽や電気温水器、雑排水ポンプや湧水排水ポンプ、汚水ポンプなど、給排水設備に欠陥が生じた場合
  • 変圧器や受配電盤、制御・監視盤や継電器盤、継電器や計器用変成器、開閉器や碍子、碍管や保護装置、支持フレームや配線に欠陥が生じた場合
  • ガス管に欠陥が生じた場合(ガスメーターの故障などは対象外)

 

支払われる保険金

 

保証期間は引き渡し後、通算で1年間、または5年間です。欠陥が見つかったときに補償される金額は500万円以内、条件によって最大で1,000万円が限度額となっています。

 

本来なら全額を負担しなければならないのに、大幅な費用を補ってくれるので非常に有効性の高い保険と言えそうですね。

 

まもりすまい既存住宅保険の加入費用は、それぞれ検査機関によって異なります。

 

たとえば、30坪~40坪の戸建なら10万円~15万円」といったように、加入する建物の状況に応じて異なりますので申し込む検査機関に確認しましょう。

 

つまり、まもりすまい既存住宅保険は住宅保証機構が提供している制度ですが、物件の持ち主が手続きしたり加入したりする相手は登録検査機関というわけです。

 

この仕組みを知らずに住宅保証機構に問い合わせると「登録検査機関に確認してください」と言われるので、覚えておくと二度手間にならずスムーズに確認できますよ。

 

また、売買を仲介する不動産会社に聞いてみるのも一つの手段です。一般的に知られている制度なので、引き渡し前に確かめておくといいかもしれませんね。今後の参考に、ぜひ役立ててみてはいかがでしょうか。

 

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