民法大改正で家を売る時にどう変わる?トラブルを未然に防ぐ秘訣

令和2年4月1日に改正民法が施行されました。

2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」から3年が経ち、関係業種の方々の準備期間を経て、ようやく施行となったのです。

 

不動産の売買に関する見直しも多いので、ぜひ覚えて下さい。

今回の民法改正のうち、不動産を売るときに大きく関係する次の事柄について説明いたします。

 

民法改正の内容「契約不適合責任」

以前は、「瑕疵担保責任」といわれていたのですが、改正民法では「契約不適合責任」という言い方に変わりました。

 

元々は、「隠れた瑕疵」(きず)という意味で、シロアリや雨漏りなど契約の段階では分からないが、あとで判明したものに対する責任。

売り主が個人の場合は、特約に「瑕疵担保を追わない」と記載して責任を追わない場合も多かったのですが、改正民法では

 

「契約の内容に適合しないもの」

 

すなわち

 

「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合していない場合」

 

などのように、新民法の契約不適合責任では、「隠れていたかどうか」は問われません。
争点になるのは「隠れていたかどうか」という問題ではなく、契約書に「書かれていたかどうか」が問題となるのです。

 

もちろん、宅建業者でない売主が事実を知らなかった場合は「免責特約」をすることは可能ですが、今までと少し異なります。

 

契約不適合責任の免責について

宅建業者でない売り主の場合は、免責特約を付けることは可能ですが、以前の瑕疵担保責任の免責特約と同じように考えてはいけないのです。

 

漠然とした免責条項では、免責特約の対象外とされる恐れもあるので、可能な限り細かく容認事項として記載する必要があります。

  • 物件の構造
  • 建築時期
  • 物件の所在地

 

上記以外にも、取引対象となる物件の特性を可能な限り容認事項として記載し、契約内容に織り込む必要があります。

 

買主が、それらの容認事項を了承した上で、この金額で購入することに同意をした。

 

逆にいうと、記載されていないことは、後々買主から責任追及を求められます。

 

契約不適合責任による買主からの責任追及

以前の瑕疵担保責任などで買主がとる責任追及の手段は、解除・損害賠償だけでした。

 

しかし、改正民法では、以前の手段に合わせて「追完請求」・「代金減額請求」もできるようになったのです。

 

もちろん、売り主に帰責事由が有った(売り主に責任が有った)場合に限ります。

買主は、契約不適合を知ってから1年以内に通知をする必要があります。この段階では、通知だけで大丈夫です。

 

追完請求権

修理や補修を行う。

どのように補修するのか?費用が高額になる場合もあるので、話し合いが必要

 

代金減額請求権

追完請求をおこなっても、売り主が何もしない場合は、代金減額請求を行います。

減額請求の考え方は、契約の一部解除となるので、後日損害賠償請求や全部解除は出来ません。

 

解除権

以前の瑕疵担保責任の場合の解除権は、「契約の目的を達成出来ない場合」に限られていましたが、

改正民法では、契約目的の達成に至らない場合でも解除することができます。

ただ、軽微なものは契約解除出来ない

 

損害賠償請求権

損害賠償は、以前は主に信頼利益だけだったものが、履行利益まで範囲が拡がりました。

 

信頼利益とは、契約の成立を信じたことによって生じた損害。銀行借入れの利息であったり、契約時の手数料等

履行利益とは、履行していれば得られずはずであった利益。貸家として家賃収入が有ったはず等

 

 

一生に一度行うかどうかの不動産売買ですが、いざ売却しようと思っても、法律や難しい用語もあります。

 

一般的には、家を売るときは不動産会社に仲介を依頼して、買主が現れるのを待つだけでした。

契約書や重要事項説明書は不動産会社が作成するものですが、

 

もし依頼した不動産会社が頼りなかったら?

 

契約不適合責任など、作成内容を売り主にもきちんと説明して記載していなかったら?

後々追完請求や損害賠償など多額なお金を支払わないといけなくなる恐れがあります。

 

家を売るときには不動産業者にお願いするのが一般的ですが、良い業者かどうかを見極めるためにも知識が必要になってきます。



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