住宅ローンの審査が理由で売買契約が解除されるケースのポイント
売買契約書を締結したら安心か、答えはNOです。売主も買い手も予期せぬ事態で売買契約が白紙に戻るケースがあります。
それは、買い手が住宅ローンの審査に落ちたとき。不動産の購入は大きな金額が動きますから、ほとんどの人は売買契約書を金融機関に持って行き住宅ローンを組むでしょう。
しかし、もし住宅ローンを申し込んで融資が受けられなかった場合、つまり購入できないということを意味しています。当然、売買契約は白紙に戻ってしまうわけです。
住宅ローンの特約
住宅ローンの特約とは、マンションや一戸建に限らず、住宅用の不動産物件の売買において、その購入費用の一部か全部を金融機関からの融資によって賄うことを前提とした約束です。
大事なのは、もしローンの審査が通らずに住宅費用が入手できない場合には、売買契約の解除をすることができるということです。
さらに、手付金に関しても、買主に無条件で返金されるということです。また、住宅ローンの審査期間ですが、通常1ヶ月となっています。
この期間は買い手にとってヒヤヒヤが続く期間であり、売主にとってはせっかくの契約がダメにならないか、不安な時期です。
住宅ローンの特約を結ぶ目的は、買主のリスクを軽減するという面があります。審査が通る前に契約を結んでしまったら、際には融資が下りないとなった時、多大な金額を背負うことになりかねないからです。
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売主の注意点
まず指摘しておくべき点は、住宅ローン特約を結んでいて、買主に融資が下りなかった場合、住宅ローン特約が適用されるのは買主側であるという点です。
上に触れたように、住宅ローン特約は買主を保護するのが目的ですから、売主側が解約したら、違約金が発生してしまいますので、注意をしてください。
また、これ以外で注意すべき点としては、売買契約が成立したからと言って、すぐに引っ越し業者を決めたり、引渡しの日時などの段取りを決めたり、住み替え先の家の購入手続きを進めてしまったりしないことです。
これらは住宅ローンの本審査が正式に通った後に行うようにしましょう。そうでないと、もし本審査に通らなかった場合、引っ越し業者へのキャンセル料だったり、住み替え先の手続きに伴う費用が無駄になったりと、諸々の損失を被ることになります。
このような勇み足が起きることの理由には、事前審査の結果を鵜呑みにしてしまうこと、言い換えれば、それを楽観的な解釈で受け取ってしまうことにあるようです。
しかし、事前審査はあくまで内定であり「仮」の状態。事前審査とは、売買契約書を必要とせずに審査の申し込みができるようになっています。この審査が通れば、大よそ本審査も通るとされています。
しかし、万が一の可能性があり、実際に事前審査を鵜呑みにして失敗しているケースもありますので、絶対はないということを理解しておきたいところですね。
住宅ローンにおける売買契約書の意味
この事前審査を受け、本審査では売買契約書が必須となります。本審査には契約書が必須ですが、その契約書は本審査に通ることを前提に作成されています。
この順番になりますから、売買契約書の記載や交わし方には失敗や注意すべき点が増えるのです。それほど重要な意味をもっていることを、あらためて理解しておきましょう。
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売買契約の解除に伴う手付金の返還
一般的に、売買契約をした時点で売主は買い手から手付金を受け取ります。この手付金を支払ったことで、ほかにその物件の購入希望者がいたとしても、自分が独占的に購入する権利を持っていることの証となります。
売主からすれば、より良い条件の購入希望があったとしても、手付金を受け取った以上、ほかの人には売ることができないという縛りの意味があります。
基本的に、手付金は返金しません。キャンセルされた場合でも、返金しなくてもよいことになっています。ただし、返金が必要なケースもあります。
買い手が住宅ローンの審査に落ちた場合、住宅ローンの特約を結んでいると売主は手付金を無条件に買い手へと返金しなくてはいけません。
これは、あらかじめ契約自体を白紙にするという「停止条件付条項」を売買契約書に定めるのが一般的で、ほとんどの契約書に記載されています。
売買契約書の「住宅ローン条項」や「ローン特約による解除」といった項目を確認すると、売買契約の解除に関する記載があると思いますのでチェックしておきましょう。
買い手にとっては手付金が戻ってきて良いかもしれませんが、売主は手付金をもらっていた期間は売却のための宣伝はできませんし、仮に良い条件での申し込みがあったとしても断ってきたという状況です。
さらに、また新たな購入希望者を探すために、広告を出さなくてはいけないですし、その他手続きをしている間に物件の価値が目減りしてしまう可能性もあります。
住宅ローンの特約が理由で売買契約が白紙になるケースは見逃されがちですが、売主の被るリスクとして頭に入れておく必要があるでしょう。
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