マンションや土地の価値を算定する不動産鑑定士の仕事内容とは?

マンションや土地の価値を算定する不動産鑑定士の仕事内容とは?

 

不動産鑑定士とは、文字通り不動産の鑑定をする職業ですが、仕事内容はおおまかに分けて2種類があります。

 

ひとつは、建物や土地などの不動産を鑑定する業務で、もうひとつは、コンサルタントとしての業務です。

 

不動産鑑定士の国家試験に合格し、実務過程を経てから、国土交通省が管理する不動産鑑定士名簿に登録されることで、不動産鑑定士としての仕事ができるようになります。

 

建物や土地の鑑定

 

不動産鑑定士が行う、土地や建物などの不動産の鑑定は、不動産がいくらくらいで売却できるのか?といった「市場価格」を決めるような査定ではなく、不動産が持つ経済効果がどのくらいの金額になるのか?という、「鑑定評価」です。

 

鑑定評価が完了した証明として、不動産鑑定評価書を作成し、依頼者に渡します。

鑑定評価は、公的鑑定評価と民間鑑定評価の2種類があります。

 

公的鑑定評価

 

公的鑑定評価には、地価公示や都道府県の地価調査、固定資産税の評価や相続税の評価、相続税の路線価評価などが該当します。

 

民間鑑定評価

 

民間鑑定評価には、不動産の売買や賃貸に関する鑑定評価や、資産評価や不動産を証券化する際の資料作成などがあります。

 

コンサルタントとしての業務

 

コンサルタントとしての業務には、企業の事業や資金の計画についてのアドバイスや、マンションの建て替えや、土地の活用法に関しての相談に乗ったり、指導を行うことがあります。

 

不動産鑑定士の職場

 

不動産鑑定士の職場は、不動産鑑定事務所の勤務または独立開業が最も多く、続いて不動産会社の鑑定部門や、銀行の信託部門や担保の評価部門があります。

その他、コンサルティング会社や会計事務所、鉄道会社の用地管理部署といったところも職場となっています。

 

現地調査

 

不動産鑑定士の仕事は、現地調査から始まります。

まずは法務局に行き、不動産の登記に関する情報の調査をします。登記簿謄本から登記事項証明書の変更によって、インターネットからの情報のチェックも可能となりましたが、登記簿謄本からの情報も集まることから、法務局に行くことが最初の仕事となります。

 

法務局の次は、市区町村役場に向かいます。市区町村役場には、物件の地域ごとの都市計画法や建築基準法などの法令の調査や、ガスや上下水道といったライフラインの状況を確認します。

 

市区町村役場の次は、物件を直に調査します。物件を直に見ることで、登記簿謄本(登記事項証明書)との相違点や、現地でしか得られない情報を確認するためです。

 

特に建物がどんな用途で使用されてきたのか?という点では、土地の土壌汚染の可能性を探るために有効な資料となりますので、場合によっては近隣の人に話を聞いたり、土地の関係者に会うことも現地調査の一環となります。

 

書類作成

 

現地調査にて集めた資料から、鑑定評価の書類を作成します。

鑑定評価のデータとして、過去の取引事例や市場の動向、建設物価や物件の賃料や金利などがあります。

それらのデータを整理し、活用することで、不動産鑑定評価書が完成します。

 

その他の不動産鑑定士の業務

 

不動産鑑定士の仕事は、不動産の鑑定業務とコンサルタントとしての業務の他にも存在します。

 

信託に関する業務

 

信託とは、委託者の所有する不動産や有価証券などの財産を、受託者である銀行などに運用をしてもらい、その運用で得た収益を規定の手数料を差し引いてから、委託者に渡すことをいいます。

 

この信託に関する業務には、不動産鑑定士の持つ鑑定のための知識やスキルが必要となるため、不動産鑑定士の仕事のひとつとなっています。

 

デューデリジェンスに関する業務

 

デューデリジェンス(Due diligence)とは、企業の買収や不動産投資の際に使われる資産の適正価格を評価することをいいます。不動産や企業の収益性やそれに伴うリスクなどを踏まえた上での、総合的な判断が求められます。

 

主に資産運用を専門とする会社が担当しますが、その会社を通して、不動産鑑定士へ仕事が発注されることもあります。

 

国際財務報告基準(IFRS)に関する業務

 

国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)は、IASB(国際会計基準審議会)によって定められた、文字通り国際的な会計の規準のことをいいます。

この国際財務報告基準において、公正な不動産の時価評価を行うことが必要なため、不動産鑑定士の業務のひとつにもなっています。

 

グローバルに活躍する企業や、会計事務所経由で、不動産鑑定士に依頼されることが多いようです。

 

まとめ

 

不動産鑑定士の仕事内容は、不動産の鑑定業務とコンサルタントとしての業務の2つに分かれます。不動産の鑑定業務には、地価公示や都道府県の地価調査などの公的評価と、不動産の売買や賃貸に関する民間評価があります。

 

コンサルタント業務には、企業における事業や資金の計画に関することや、土地の活用法についての相談や指導があります。

 

その他にも国際財務報告基準に関する業務や、信託業務、デューデリジェンスに関する業務も不動産鑑定士の仕事となっています。

お手持ちの不動産を査定してみてはいかがですか?

 

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