売買契約書の基本用語④「付帯設備の引き渡し」と「付帯設備表」とは?
マンションなどの不動産の売買の際には、付帯設備の引き渡しをするケースが存在します。
付帯設備というのは、物件の受け渡しの際に、「置いていくもの」や「処分しないもの」であり、要するに売主が「新居に持っていかないもの」です。
大抵はまだ使用できるものなのですが、受け渡し前に劣化している箇所を報告しておかないと、経年劣化などの理由によって、置いていったもの(付帯設備)が故障した際に、売主に対してのクレームや、賠償責任に問われることもあります。
そうしたトラブルを避けるために作成されるのが、「付帯設備表」と「物件状況等報告書」です。
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付帯設備表
付帯設備表とは、先述したように、引き渡し後に「新居に持っていかないもの」です。
買主に対して、物件の設備の状態を事前に説明しておき、引き渡し後のトラブルを避けるために作成する表です。
例えば、「主要設備」の項目の「故障・不具合」の欄に、「無」と記載されている主要設備に関しては、きちんと使える状態で引き渡す必要があるとともに、もしも引き渡しが完了してから7日以内に故障したり、不具合があった場合、売主が修繕する義務が課せられます。
ただし、「主要設備」の項目の「故障・不具合」の欄に、「有」と記載された「主要設備」や「その他の設備」に関しては、故障や不具合があったとしても、売主が修繕する義務はありません。
とはいえ、トラブルを避けるためには、「その他の設備」であっても、「備考欄」に故障や不具合を記載しておくほうが良いでしょう。
1.設備の有無
付帯設備票の「設備の有無」の項目には、物件の引き渡しの時点での状態を記載します。
売買契約の時点での状態ではなく、引き渡しの時点ということがポイントです。
そのため、引き渡しの際には撤去したり処分した設備に関しては、「無」とします。
その場合は、撤去や処分後の状態も記しておきましょう。
2.故障・不具合の有無
付帯設備票の「故障・不具合の有無」の項目には、売買契約が成立した時点で、主要設備に故障や不具合がある場合は、「有」にします。故障や不具合の内容は、「故障・不具合の箇所および具体的内容」の欄に記載します。
また、故障や不具合がない場合は、「無」にします。
「その他の設備」に関しましては、事前に報告しておいた方が良さそうな故障や不具合がある場合、備考欄にきちんと記しておきましょう。
3.故障および不具合の箇所
主要設備の故障および不具合があるものに関しては、どのくらいなら使えるのか?や、どのあたりが使いにくいのか?といった内容を記します。その他、使い方のコツなども記しておくと良いかもしれません。
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付帯設備票の記入法
付帯設備票は、主要設備とその他の設備に分けて記入します。
1.主要設備
給湯設備では給湯器やバランス釜が該当します。台所設備では、流し台やレンジフードやグリル、コンロや浄水器、食器洗い機などが当てはまります。
浴室設備では、シャワーや追い焚き機能、保温などが含まれます。洗面設備には鏡やシャワーやコンセント、トイレ設備には洗浄や保温が該当します。洗濯機を室内に設置するための洗濯用防水パンがある場合は、こちらも主要設備となります。
空調関連では、エアコンなどの冷暖房器具や床暖房や換気扇が含まれます。その他、インターフォンやドアチャイムも主要設備の範疇となります。
2.その他の設備
その他の設備としては、照明器具や食器棚や下駄箱、網戸や雨戸、扉や戸やふすまや障子、カーテンやカーテンレール、物干しやテレビの衛星アンテナなどが該当します。
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物件状況等報告書
マンションなどの物件が、売買契約を結んだ時点でどのような状態で、引き渡し時点ではどういう状態になっているのか?をまとめておく書類です。
付帯設備表とともに作成することが多く、物件の引き渡し後のトラブルを防止するために使われます。
例えば物件に何かしらの不具合(瑕疵)などがあった場合、この物件状況等報告書に記載します。
仮に不具合があるのにも関わらず、売主が記載していなかった場合には、瑕疵(かし)担保責任を負わない特約を結んでいたとしても、損害賠償の責任が生じます。
そのため、物件状況等報告書によって、売主が買主に対して「ここは調子悪いですよ」とか「ここは使いにくいですよ」ということを事前に説明しておくことが重要なポイントとなります。
この場合の瑕疵(かし)に関しては、物理的なものはもちろんのこと、「以前に事故があった」などの心理的なものも含まれます。
その他にも、日照権などの問題が発生しそうな建築計画や、近隣からの騒音や嫌な臭いや振動といったものも該当しますので、わかっている範囲のものはすべて報告するようにしましょう。
まとめ
付帯設備の引き渡しの際に作成されるのが、付帯設備表と物件状況等報告書です。
この2つの書類を作成することで、物件引き渡し後の買主とのトラブルを防止することができます。中には損害賠償に発展するようなケースもあるので、きちんと記載しておきましょう。
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