不動産用語大全!今回は、減価償却について深く掘り下げて解説していきます。
「減価償却」とは、事業に必要なものを取得した際の費用を、それの耐用年数がある一定の期間毎年費用として計上できるというものです。購入したときの価値から、毎年下がってしまう価値の分を減価償却費とします。
わかりやすく言うと、「仕事に必要な高額なものを買ったときには、決められた期間だけ毎年費用に計上できる」ということです。
不動産経営においては、この減価償却費は節税に大きな効果をもたらします。
不動産経営では、経営の為に購入した建物に対して減価償却を求め、毎年の経費として計上することができます。
そのため、不動産経営をはじめるのなら、減価償却とはどのようなものなのか、購入する物件はどれだけ減価償却が可能なのかを知らなければ、大きな利益を生むことは難しいと言えるでしょう。
このように不動産経営で重要な意味を持つ減価償却のすべてについて、くまなくご紹介いたします。
減価償却の求め方
まずは減価償却の計算式や求め方についてみていきましょう。
不動産の構造によって変わる減価償却
不動産に対する減価償却費は、所持している不動産の構造によって異なります。
住宅の構造別耐用年数と償却率(新築) | |||
事業用賃貸マンション | |||
耐用年数 | 償却率 | ||
木造 | 22年 | 0.046 | |
軽量鉄骨 | 27年 | 0.038 | |
鉄筋コンクリート | 47年 | 0.022 |
新築の場合、上記の図のように構造ごとに耐用年数と償却率が定められています。
木造であれば22年間減価償却ができ、鉄筋コンクリートでは47年間減価償却できるということです。
中古の不動産の減価償却
取得した不動産が中古だったときには、まず不動産の築年数から耐用年数を算出しなければいけません。
耐用年数が過ぎてしまった中古不動産は、不動産の元々の耐用年数の20%を取得からの耐用年数とすることができます。
例えば木造の場合、22年の20%で4.4年という計算結果になりますが、端数は切り捨てと決められていますので4年が取得から減価償却できる年数です。
つまり築30年の木造事業用賃貸を購入したときには、築34年まで減価償却が可能ということになります。
まだ耐用年数をすべて経過していない中古不動産では、耐用年数から経過した年数を引きそこに「経過年数×20%」を加えたものが耐用年数となります。
減価償却の注意すべきポイント
減価償却には利点ばかりではないことが解りました。ここからは、減価償却費を計上していく上で必ず知っておきたい注意すべきポイントについてご紹介します。
減価償却費を計上しすぎると売却時に損する!?
「減価償却費のチェックポイント」にて少し触れましたが、減価償却費を計上しすぎると、不動産売却時には損をしてしまうことがあります。
短期間で売却と購入を繰り返すような不動産投資をする場合には、特に注意していきたいポイントです。
不動産を売却し大きな利益を得ると、そこには「譲渡所得税」が課せられます。譲渡所得税の計算式は以下の通りです。
課税譲渡所得の計算式・・・譲渡価額-(取得+譲渡費用)
譲渡所得税の計算式・・・課税譲渡所得×税率
この計算式にある「取得費」とは、不動産取得に要した費用です。ここでは単純に「不動産を購入したときの金額」ではなく、「不動産を購入したときの金額から減価償却分を引いた金額」が入ります。
わかりやすく計算して比較してみましょう。
例えば購入時の費用が土地と建物で8000万円の不動産を購入し、そのうち建物の価格が4000万円だったとします。
売却までに計上した減価償却費が仮に2000万円だとすると、取得費は土地と建物を合わせて6000万円です。
もし減価償却がなければ取得費は8000万円です。
ではこれを7000万円で売却すると、譲渡所得税にはどの程度の差が生まれるのでしょうか。わかりやすいように譲渡費用は加味せず計算してみます。
税率参考
・譲渡所得税率
短期譲渡所得税 不動産所有年数5年以下39.63%(所得税30.63% 住民税 9%)
長期譲渡所得税 不動産所有年数5年超20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)
・減価償却ありのとき
譲渡価額7000万円-6000万円=課税所得1000万円
→短期譲渡所得税 1000万円×39.63%=396.3万円が税金となる
→長期譲渡所得税 1000万円×20.315%=203.15万円が税金となる
減価償却なしのとき
譲渡価額7000万円-8000万円=1000万円の売却損となり課税なし
今回はわかりやすいように簡易的に計算していますが、このように減価償却をしていると売却時に税金が大きくかかってしまうことがありますので注意しましょう。
不動産経営を始める前に必ず減価償却費の計算をしよう
ここまでのことを整理すると、「不動産経営を始める前には減価償却の計算が必要」だということが解ります。
特にローンを借りて不動産投資を行う時には、減価償却による節税で「ローンを返済しながら現金も残す」ということが可能ですが、耐用年数を全部経過した後にはそのようなことは難しくなってしまいます。
耐用年数が全部経過した後にもローンが残っているような投資だと、ローンをすべて返済するのが難しいかもしれません。
短期的に購入・売却を繰り返す投資方法もありますが、その場合はことさらに減価償却費の計算が必要になります。
不動産投資は簡単な副業という話もありますが、しっかりお金を計算できなければどのような投資でもうまくいきません。
不動産投資を始めるときには、目先のお金だけではなく必ず長期的なお金の流れを把握・計算することが大切です。
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不動産売却時の譲渡所得税の計算に使われる減価償却費とは?
まとめ
減価償却について、理解が深まりましたでしょうか。
減価償却費のことについてよく知らずに不動産投資に乗り出すと、節税しているつもりが売却時の譲渡所得税に泣かされてしまう可能性もあります。さらに減価償却費を頼りにしたローンは破たんする可能性があることも覚えておきましょう。
しかしその一方で、上手に利用することで経営者に大きな利益を与えてくれるのも減価償却費です。
正しい知識と確かな計算で、儲かる不動産経営をしましょう。もしわからないことがあれば、不動産業者や経理のプロに相談してみることをおすすめします。
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