不動産を売るときも買う時も、最も緊張する瞬間、それが売買契約です。
売買契約を結んだ後は売主も買主も簡単に契約を破棄することができないため、売買契約までに「物件を売る・買う」為の覚悟を決めておく必要があります。
査定、内覧が完了し、売買契約に進む中、実際に契約する前に知識として蓄えておきたい注意点やポイントが多々あります。
売買契約書でチェックすべきポイントはどこなのか、契約時に必要なものはあるのか、不動産売買を初めて行う人にとって「疑問の中で進める契約」ほど不安なことはありません。
今回は、売る側と買う側で異なる気を付けるべきポイントについてや、不動産売買契約について気になる疑問点をすべてお教えします。
契約書でチェックすべきポイント
まず初めに、売買契約とは何なのか、売買契約書を作るうえで知っておくべきこと、さらに売買契約書でチェックすべきポイントについてご紹介します。
売買契約の基本的な考え方
不動産の売買契約は、基本的に「どんな人でも自由にできる」ことになっています。
不動産の売買には必ず不動産業者が必要であると考えがちですが、実際には素人同士が個人間の合意の元契約を結んでも何ら問題はありません。
一方、不動産売買で売主側が不動産業者の場合には、瑕疵担保責任を2年付帯するなど、売買時に一定の制限が設けられます。
そして不動産の売買契約は、一度契約が締結すると解約はよほどのことがない限り受け付けられません。
但し、売買契約時に契約解除に関する項目がある場合、その条件に沿っていればいれば契約解除を行うことができます。
売買契約書でチェックしておくべきこと
実際に売買契約に進んでいく中で、売買契約書の内容についてはよくチェックしておく必要があります。
不動産業者のつくる売買契約書に記載されている以下の項目に疑問点がないかよく確認しましょう。
・物件についての表示
・売買代金・手付金の支払日
・土地に関する情報
・所有権に関する情報
・付帯設備について
・税金類の清算について
・瑕疵担保責任の有効範囲と期限
物件の所在地や所有者の情報、土地の所有権移転についての詳しい日時、物件の付帯設備の詳細など、物件に関する情報が売買契約書には記載されています。
それぞれ間違いがないか確認してください。
また、手付金や売買代金の支払い、固定資産税や都市計画税の清算についても記載されます。支払日や金額についても再度チェックしましょう。
そして瑕疵担保責任の有効範囲と期限の確認はしつこいぐらいに行ってください。瑕疵担保責任についてきちんと理解できていないなかでの売買契約はお勧めできません。
売買契約書に記載されている項目に疑問がなく、確実に間違いがないことを確認してから売買契約を結んでください。
契約解除の方法を知る
売買契約時チェックしておきたいこと、その最重要項目は「契約解除について」です。
「手付による契約解除を認めるか」
買主側が契約破棄を決めた時、支払った手付金の返還を求めないことで契約解除できるのが「手付による解除」です。
一般的な不動産売買では手付による解除が認められています。
「ローン特約の有無」
ローン特約とは、売買契約後に住宅ローンの本審査に通過できなかった場合、売買契約を解除できるという特約です。
この特約での解除には、手付の放棄は含まれていません。
「売主の都合による解約はどうなるか」
売主の都合による解約は、買主側の都合による解約よりも厳しい条件となるのが一般的です。
多くの場合は手付金の倍額を買主に支払う「手付倍返し」で契約解除を可能としていますが、売主の過失による契約解除には「損害賠償責任」が伴うこともあります。
「危険負担による解除」
地震などの天災が原因で物件自体が消失したとき、契約を解除できるという特約です。
「クーリングオフ」
売主が不動産業者の場合、一定の条件が揃えば特に損失なく契約を解除することができます。
「瑕疵担保責任に基づく解除」
売買契約後、住宅に重大な瑕疵が発見された場合には契約が解除されます。
「その他」
売買契約を結んだ当事者同士の合意があれば、特に条件を付けずに売買契約を解除することができます。
売買契約時に必要なもの
売買契約書に関する知識をインプットしたら、実際に売買契約に進みましょう。
売買契約時に必要なものを売主側・買主側ごとにまとめましたのでご覧ください。
売主側に必要なもの
売主側に必要なものはとても多くなりますので、ひとつひとつゆっくりチェックしていきいましょう。
「土地・建物登記済証」
土地と建物の登記について記されている書類です。所有者の変更や抵当権の抹消の為に必要な書類となります。
「実印・印鑑証明書」
実印と印鑑証明書が契約時に必要となります。実印登録がない方は自治体窓口にて申請しましょう。
「固定資産税等納税通知書」
固定資産税や都市計画税の納税通知書も、その後の税金清算の計算の為に必要となります。
「建築確認通知書・検査済証」
建築確認通知書や、検査済証はあれば用意します。紛失している場合には、各自治体の窓口にてそれに代わる検査済証交付証明などが用意できないか問い合わせましょう。
「前面道路の登記簿謄本実測図・建築図面・建築協定書等」
いずれも物件に関する正しい情報を知るために必要な書類です。
「付帯設備表」
不動産売買の中に付帯設備も含まれる場合、不動産業者から売主側に付帯設備表の記入を求められます。
付帯設備に関する内容を嘘偽りなく記入し、売買契約書に添付しましょう。
「物件状況等報告書」
部件状況等報告書は、売主側が買主側に物件の現況について正しく伝えるための書類となります。
物件の経年劣化についてや、通常使用による摩耗等、現在の物件の状況を記入してください。
「売買契約書貼付印紙」
売買契約書に貼付けする印紙は、売買契約時までに郵便局で購入しておきましょう。
売買契約契約書貼付け印紙代一覧
契約金額 | 本則税率 | 軽減後の税率 | |
500万円超1000万円以下 | 1万円 | 5000円 | |
1000万円超5000万円以下 | 2万円 | 1万円 | |
5000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
このように貼付けする印紙代は、売買契約時の契約金額によって異なります。物件価格に沿った金額の印紙を用意してください。
「権利書」
売買契約時には、物件の権利書も必要となりますので用意しておきましょう。
「身分証明」
物件の権利者全員の身分証明書が必要となります。取得から3か月以内の住民票も用意しましょう。
買主側に必要なもの
買主側に必要なものは、売主よりも少ないですが「手付金」が必要となるのが特徴です。
「印鑑・印鑑証明・身分証明」
取得から3か月以内の印鑑証明と住民票、身分証明書が必要です。
「売買契約書貼付印紙代」
売主側と同じく、売買契約書に貼付けする印紙代が必要となります。
「手付金」
売買契約時には手付金が必要です。手付金は契約金額の20%が上限とされていますが実際の金額は売主によって異なります。
「源泉徴収票または確定申告書の写し」
買主側の収入が確認できる書類も必要です。源泉徴収票は会社から渡されたものを用意しておきましょう。
個人事業主の方は、確定申告書の写しを用意しておきます。
「住民税決定通知書または納税証明書」
収入に則した納税がなされているか、確かな収入があるのか確認するため納税証明書や住民税の通知書も必要となります。
不動産業者による仲介を依頼している場合には
不動産の売買に業者による仲介を依頼している場合、売買契約時には一般的に仲介手数料の50%を仲介業者に支払うこととなります。
買い主側が気をつけるポイント
売買契約後にうっかり契約解除にならないために、買主側が気をつけたい不動産売買の注意ポイントも見ていきましょう。
土地に関すること
不動産売買において、土地についてのトラブルは度々あります。
売買契約前、又は売買契約時には、土地の権利について、土地の境界線や境界合意について再度確認しておきましょう。
また、給排水管等が他人の敷地を通っているかの確認も重要です。
そしてこの物件では再建築が可能が、増改築が可能かということも大切な確認ポイントとなります。
都市計画法による建ぺい率・容積率をオーバーしていないか、セットバック等法改正による土地の不利を抱えていないかもう一度調べてみましょう。
特に建ぺい率や容積率をオーバーしている物件では、多くの銀行で住宅ローンを組むことができないことになっています。そういった物件はそもそも購入することができない危険性を孕んでいますので、軽視せず必ずチェックしましょう。
建物に関すること
建物に関することでは、契約までに必ず床下や天井裏の隅々まで目視で確認することをおすすめします。
また、可能であれば住宅診断士によるホームインスペクションの実施をおすすめします。
とにかく物件を見る上で妥協は禁物です。住宅内部に劣化している部分があっても仕方ないにせよ、それが欠陥によるものなのか、ただの経年劣化によるものなのか、プロの確かな目で確認してもらうのが一番いいでしょう。
お金に関すること
お金に関することについて、まずは仲介を依頼する不動産業者に、具体的な仲介手数料の金額と支払いのタイミングを確認してください。
そして売買契約時に支払う手付金がいくらになるのか、改めて聞いておきましょう。
更に契約解除したい場合にはどれだけのお金が必要になるのかもチェックしておくと安心です。
売り主が気をつけるポイント
売主側が売買契約までに気をつけたいポイントもいくつかかります。引き渡し完了まで売主側は気を抜けませんから、しっかり気を引き締めて売買契約に臨みましょう。
嘘偽りのない取引を
売却を決めてから実際に引き渡しを完了するまで、どのタイミングでも売主側は嘘偽りのない取引を心がけなければいけません。
不動産の取引はとても高額となることから、後にトラブルが発生した場合には訴訟問題に発展することもあります。
更に売主側に過失があり万が一契約解除となれば、損害賠償を買主側に支払うことになるでしょう。
物件にまつわる情報はすべて正しく伝え、瑕疵担保責任についても免責としない場合には買主からの要望には適正に応える必要があります。
不動産の権利について
不動産の権利について、もう一度確認しておきましょう。
ローンが残っている不動産の売却時には、売却後に抵当権を抹消する必要があります。
また、土地や建物の共有名義人がいる場合、共有しているすべての人の承諾と本人確認書類等を用意しておかなければいけません。
相続で得た不動産や夫婦共有名義の不動産を売却する際には、独断で売却を決めてしまっても不動産の売買はできませんので注意しましょう。
お金に関すること
売主側がお金に関することで気をつけたいのが、まず手付金に関することです。
手付金は買主側から受け取るものですが、いくらにするのか、どのように受け取るのかあらかじめ決めておきましょう。
現金で受け取るほかにも銀行振り込みも可能です。
そして不動産業者に支払う仲介手数料についても、契約の前に確認しておきましょう。いつ、いくら支払うのかきちんと知っておく必要がありまあす。
最後に売買契約の解除に伴う金銭についてもよく話し合っておいてください。
基本的に売主側からの契約解除はよっぽどのことがなければ認められません。売主側の都合による契約の解除には、それなりの金銭が伴うことを覚えておきましょう。
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まとめ
不動産の売買では、業者に査定を依頼する最初の段階から様々なことに気をつけなければいけませんが、売買の要である売買契約は更に気が抜けません。
売主側も買主側も、契約の解除にはリスクがあることは承知した上で契約をかわしましょう。
また、売主側は自分の過失とならぬように、物件にとって不利な情報でも必ず買主側に伝えなければいけません。
そして買主側は、契約までに疑問点をすべて解消し、一切の不安もない状態で契約するべきです。
売主側も買主側も、困ったことや解らないことがあればすぐさま不動産業者に相談し、お互いにとって有益な取引となるよう努力して行きましょう。
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