相続税の節税のためのマンション購入のメリットとデメリット
相続税は、マンションやアパートを購入することで、節税できる場合があります。
土地や建物を相続した場合、現金や預金、株式などの有価証券などと異なり、購入した時点よりも少ない評価額となるためです。
土地の場合は、およそ70%から80%の評価額となりますし、建物の場合は、30%から70%の評価額となるためです。
つまり、土地の場合なら20%から30%の節税になりますし、建物の場合なら30%から70%の節税になるということです。
相続税の節税となる理由(メリット)
例えば、5千万円の土地付きの建物を購入した場合で、仮に相続税の評価額が3千万円となったとします。
この場合、3千万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=400万円の相続税額となります。
これが現金で5千万円の場合なら、5千万円×20%(相続税率)-200万円(控除額)=800万円の相続税額になるため、800万円-400万円=「400万円の節税効果」があったことになります。
※相続税率は、1千万1円から3千万円までが15%(控除額50万円)、3千万1円から5千万円までが20%(控除額200万円)、5千万1円から1億円までが30%(控除額700万円)です。
(2015年1月1日以降の税率です)
小規模宅地の特例
相続が発生する前にマンションやアパートを購入した場合、「小規模宅地の特例」制度が適用され、相続税が減額されることもあります。
小規模宅地の特例は、3つの条件をクリアすることが必要です。
1.被相続人や、ともに暮らす家族の居住用もしくは事業用の宅地であること
2.相続税の申告期限(相続から10ヶ月)まで宅地を継続して利用していること
3.事業用の用地が400平方メートル以内、居住用の用地が330平方メートル以内
例えば居住用の宅地の相続税評価額が5千万円で、地積が300平方メートルだった場合、
5000万円×80%=4000万円が減額されるため、実際の相続税額は、5000万円-4000万円=1千万円となります。
相続税の節税のためにマンションを購入するデメリット
ここまで、マンションやアパートを購入することが、相続税の節税につながるメリットがあることを解説してきましたが、同時にデメリットも存在します。
空室の問題
購入したマンションやアパートを、賃貸物件としていた場合、毎月店子から家賃収入があります。とはいえ、空室があると、その間の家賃収入が途絶えてしまいます。
現金で購入しているのであれば、大きな問題にはなりませんが、金融機関からのローンで購入した場合、家賃収入よりも返済額が上回ってしまいますと、他から補填することになります。金額によっては、生活の負担になるケースもあるようです。
ローン契約(変動金利)
マンションやアパートを、金融機関からのローン契約で購入した際に、「変動金利タイプ」を選択していた場合、金利が上がった時に返済額も増えることになります。
所得税・住民税の増額
マンションやアパートからの家賃収入から必要経費を差し引いた金額が、年間で1800万円を超えた場合、所得税と住民税の割合が50%になります。
もしも2千万円の所得となった場合、単純に計算して1千万円の税金の増加となります。
現金での購入でなく、ローン契約で購入した場合、残りの1千万円からローンを返済することになるため、ローンの返済額によっては、預貯金や他からの収入で補填することになるため、生活が圧迫されることも考えられます。
管理の問題
賃貸用のマンションやアパートは、管理の手間が発生します。
管理会社に任せてしまえば、そうした手間も少なくなりますが、毎月管理費用を支払うことになるため、家賃収入によっては、支払いが厳しくなることもあるかもしれません。
修繕費用
マンションやアパートは、築年数10年がボーダーラインとなっています。
10年以内であれば、修繕費用もまだ少なく済むかもしれませんが、10年を超えますと、設備の交換などが増えてくるため、それに比例して修繕費用もかかるようになります。
相続人が複数いる
子どもの多い家庭など、相続人が複数いる場合、マンションやアパートのような不動産は、分割が難しくなる点があります。
資産価値の下落
マンションやアパートは、時間の経過とともに、購入金額よりも低い市場価格となります。将来の開発などで価格が上昇することもありますが、反面、大幅に市場価格が下落することもあるようです。
まとめ
相続税は、マンションやアパートを購入することで、節税できるメリットがあります。
その一方で、空室による家賃収入の減少や、収入が増えることによる所得税や住民税の増額や、管理の問題や経年劣化による修繕費用の増額というデメリットも存在します。
人気のエリアの物件であったり、生活に困らないほどの資産を所有しているのであれば、相続税の節税のメリットの方が上回りますが、不人気エリアの物件や土地を新たに購入するのは、あまりおすすめできません。
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