土地区画整理事業の対象となる土地を上手に売買する方法
土地区画整理事業とは道路や公園などが未整備な区域において、地権者からその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらったり、その一部を売却したりして土地の区画を整え宅地利用の増進を図ることです。
土地区画整理事業は市町村単位にて、5年から10年、もしくは20年という長いスパンで行われます。
土地区画整理事業の対象となる土地になると起こる3つの変化
土地区画整理事業の対象となる土地に指定されることで、3つの変化が起こります。
建築の制限
土地区画整理事業の対象となる土地になると、その土地への新築や増改築が制限されることになります。
敷地の位置や住所の変更
すでにある建物は、土地区画整理事業が開始後は移動することになるため、敷地の位置や住所がそれまでと変更されることになります。家屋の場所によっては解体されたり、新築や移動を強いられることもあります。
土地面積の減少
土地区画整理事業後に、土地の面積が元の面積より減少することもあります。
土地の資産価値が変動するため、精算金を支払うケースも考えられます。
この3つの変化があることから、土地区画整理事業の対象となる土地に指定されたことをきっかけとして、土地の売却を検討する人も存在します。
土地区画整理事業の対象となる土地を理解するための3つの名称
土地区画整理事業の対象となる土地は、保留地と従前地と仮換地という3つの名称を理解することがカギとなります。
保留地
土地区画整理事業が進められると、元の土地から面積を減らされます。その減らされた分の土地は「保留地」と公園や道路といった公共設備の建設に使用されます。
その後、保留地は、組合もしくは土地区画整理事業者等の手によって売却され、土地区画整理事業の費用の一部となります。
費用の内訳は、家屋の移転費用、それに伴う保障費、宅地や公園や道路の整備費用となっています。
とりあえず土地の面積は減少しますが、環境の整備によって、将来的に土地の評価額が上がるというロジックのもと、事業は進行していきます。
従前地・仮換地
従前地は、土地区画整理事業が開始される前の、移転をする前の土地のことです。
仮換地は、土地区画整理事業が完了した後に、移転予定の土地です。
売買可能な従前地と仮換地
従前地は、売却することができます。といっても実際には、従前地ではあるものの、移転後の仮換地の売買ということになります。
仮換地の売買取引では、従前地の住所および面積を基準として、売買契約が結ばれます。それから売買契約時の所有権移転登記に関しても、従前地にて行われることになります。
売買契約の時に売主は、「仮換地指定証明書」(仮換地の形状や状態や場所が記載されています)を買主に確認してもらうことで、引き渡し後のトラブルを防ぎます。
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従前地と仮換地の売買に関する3つの注意点
従前地および仮換地の売買には、3つの注意点があります。
1つは精算金、もうひとつは賦課金、3つ目は土地の査定です。
精算金
従前地と仮換地の評価額は、同じ金額になることはありません。
そのため、組合と土地の所有者で精算金のやり取りをすることで、差額を調整することになります。
例えば、従前地の時点では、3000万円の評価額だった土地が、仮換地となったことで2800万円に値下がりした場合、組合より所有者に対して差額の200万円が支払われることになります。
一方で、従前地の時点で3000万円の土地が、仮換地になることで3200万円に値上がりした場合は、所有者から組合に対して差額の200万円を支払うことになります。
従前地および仮換地の売買では、あらかじめ精算金の受け取りや支払いを、売主と買主のどちらかに担当させることを決めておきます。
賦課金
賦課金とは、保留地となった土地が当初の価格で売却することができなくなり、土地区画整理事業そのものが頓挫してしまった際に、組合員は賦課金を支払うことになります。
この場合の組合員は、土地区画整理事業の区域に居住している全員が該当します。そのため、従前地を購入して所有者となった買主は、必然的に組合員となることから、賦課金を支払うリスクが発生します。
土地区画整理事業は、自治体が主導する計画なので、そうそう頓挫することはありませんが、万が一のことを想定して、売主は買主に賦課金のことを説明しておくことが求められます。
土地の査定
土地区画整理事業後には、周囲の土地よりも高い金額で売却できる可能性があります。
とはいえ、土地の査定は、不動産会社によって差があるため、一括査定を利用して、複数の不動産会社の中から、最も高い金額で査定してくれる不動産会社に、売却の仲介を依頼すると良いかもしれません。
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まとめ
土地区画整理事業に指定された土地は、保留地と従前地および仮換地に分けられ、保留地は組合や土地区画整理事業社によって売却され、土地区画整理事業の費用の一部になります。
従前地および仮換地に関しては、売却が可能であり、従前地から仮換地に変化することで、土地の評価額が上昇するケースが多いようです。
売買契約の際には、精算金の担当を定めておいたり、賦課金についての説明をしておくことが取引をスムーズにするコツと言えるでしょう。
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