日本は「新築至上主義」と言われ、中古物件というと眉をひそめる方も少なくありません。
しかし現在、「リノベーション」という言葉の広がりとともに、「新築は手が出せない」層でも夢のマイホームが持てる、中古物件はそんな夢を実現するアイテムとして年代を問わず人気が出てきています。
定年退職後の終の棲家に、子供が増えて手狭になった団地を抜け出す為に、皆さん理由は様々ですが、実際に中古物件を購入し活用する人はどんどん増えてきているのが現状です。
中古物件、中古住宅とは、「築2年以上経った物件」又は「一度人が居住したことのある住宅」を指す言葉です。
中古物件・中古住宅市場拡大の背景には、「中古住宅の住宅ローンが以前よりも通りやすくなった」こと、「政府も中古物件の購入を後押ししている」ことが大きな要因として挙げられるでしょう。
日本の住宅はおおよそ築30年で建て替えられてしまいます。まだまだ住める状態なのにも関わらず、「間取りが古臭い」ことや「設備がダメになったから」などの理由で安易に建て替えや住み替えを進めてしまう現状には無駄が多いことも確かです。
新しく住宅を建設するための資材、立て壊し ←? 建て壊し ですか? た古い住宅から出る様々なゴミ。どちらも今の世の中には到底そぐわない、エコという観点からは大きく外れた行動ですよね。
現存する住宅を上手に利用し暮らしていく、これからは今よりもっと中古住宅の活用は増え市場も拡大していくでしょう。
しかし、中古住宅は新築住宅と異なり、メリットだけではなく様々なデメリットが存在していることを忘れてはいけません。
本記事では、中古物件購入に潜むメリットとデメリット、購入時に気をつけたい注意ポイント、そして中古物件の上手な活用法についてご紹介します。
中古物件のメリット・デメリットについて
中古物件の購入を真剣に検討しているのであれば、中古物件のメリットとデメリットをよく理解しておく必要があります。
得する中古物件購入になるように、メリットだけではなくデメリットについても詳しくみていきましょう。
中古物件のメリット
中古物件には新築にはないメリットと、中古物件ならではの魅力が沢山あります。
なぜ中古物件を選ぶ人が増えているのか、中古物件のメリットを探るとその理由が見えてきました。
「中古物件は割安」
中古物件の最大の魅力ともいえるのが、「物件の割安感」です。
新築ではないのだから当たり前と思うかもしれませんが、住宅自体の価値は25年で無くなってしまうことをご存知でしょうか。
新築を建てて住んでいる人からすると、たった25年で価値が消滅するなんておかしいと感じますよね。しかしいくら立派な住宅であっても、減価償却により築20年を過ぎた住宅には価値はなく、住宅自体の価格はほぼゼロに近くなります。
中古物件が高く売れるボーダーラインは築10年と言われています。新築住宅の保証が10年で切れてしまうこと、10年を超えると住宅設備や外壁・屋根などのメンテナンス時期が近くなることでグンと価値が下がってしまうのです。
逆に中古物件の購入を希望しているのであれば、築10年を過ぎた物件が最もコストに優れているということになりますね。
「個性的な住まいづくりができる」
注文住宅は資金的に無理だけれど、建売住宅は没個性すぎると感じる方にとって、中古物件はとても魅力的です。
安く仕入れた中古物件を元に、自分好みに住宅をカスタマイズしていくことができます。
マンションであれば、居室内の間取りの変更を含め、マンション規約に触れなければ大掛かりなリノベーションを行うことが可能です。
「立地が魅力的な物件が多くある」
物件ではなく土地に魅力を感じた時、土地の価格が高すぎて住宅の購入・建設を諦めてしまう人もいます。
しかし「新築住宅建設用」に用意された整地は高くとも、既に物件のある土地ならば意外と手の届く価格であったりします。
「古屋付き土地」として販売されているものでも、住宅自体の痛みが少なく「まだまだ住める」物件であることも珍しくありません。
「その物件での生活を想像しやすい」
中古物件は既に建物があるため、購入後の生活が想像しやすいというメリットもあります。
注文住宅などは完成まで図面だけのやり取りとなることから、「建ってみたらイメージが違った」こともあるのですが、現物を見て確認してから購入する中古物件ではそんなことはありません。
中古物件のデメリット
このようなメリットがある一方で、中古物件にはデメリットもいくつかありますのでみていきましょう。
「物件に保証がない」
新築住宅の場合、住宅の主要構造部分において「住宅品質確保促進法」により10年間の保証がついています。
しかし、中古物件の場合には保証があっても3か月~2年程度、物件によっては保証がないものもあります。
中古物件には、売主側が住宅の見えない瑕疵について責任を負う「瑕疵担保責任」がついているのですが、売主が個人の時には瑕疵担保責任の期間は短めです。
売主が不動産業者のときには、瑕疵担保責任の期間は2年と定められています。
「中古物件は維持費が高い」
新築であれば、入居から10~15年はメンテナンスの必要がありません。
しかし、中古物件では築年数が多いほど修復箇所が多くなり維持費も大きくなります。
また、中古物件では購入時には気が付かなった不具合が、生活とともに露見し思わぬ出費となることありますので、空き家となって数年経過しているような物件には注意が必要です。
「住宅ローンが厳しい」
中古物件でも住宅ローンが借りやすくなってきたとはいえ、やはり新築住宅のようには借入することができません。
新築であれば35年という長期間ローンを組むこともできますが、中古物件の場合、希望借入期間通りに借り入れができない可能性もあります。例えば25年ローンを希望しても、築年数の関係で20年に短縮されてしまう、といった風です。
借入金額も希望通り通らないこともありますし、物件によってはそもそも住宅ローンを組むことができないものもあります。建ぺい率がオーバーしているなどの問題があると、殆どの金融機関はローンを認めることができません。
「建て替えや増改築ができない物件もある」
物件によっては増改築や建て替えができない物件もあります。
その物件が建築された年代では法にのっとった建築物であっても、現行の法規にはそぐわない建物になってしまっている、これを「既存不適格建築物」といいます。
現行の建築基準法では、建物に対して道路の幅は4メートル必要と定められており、しかも道路の中心から2メートル後退した場所にしか建物を建てられません。
これは「セットバック」という物なのですが、セットバックが定められる以前に建てられた中古物件には適用されておらず、こういった物件を建て替えをしようとしても、セットバックの関係で「現在の家より小さな家しか建てることができない」場合もあるということです。
そして全く建て替えができない「再建築不可」の物件もあります。住宅には接道義務がありますが、住宅の周りに道路がない、あっても間口が2メートル以下であると法律的に建て替えができません。
「耐震性能への不安」
1981年6月、耐震基準に関する建築基準法の法改正が行われました。
これ以前に建てられた物は「旧耐震基準」とれされ、以降に建てられたものは「新耐震基準」となっており、耐震性能に大きな違いがあります。
旧耐震基準の物件は購入しないか、購入した後、耐震リフォームをするようにしましょう。
中古物件を購入する時の注意点
中古物件のデメリットも踏まえた上で購入を決意したら、購入前と購入後に気をつけたいポイントがいくつかありますので見ていきましょう。
中古物件購入前の注意点
まずは購入前に押さえておきたい5つの注意点についてご紹介します。
「中古物件の内覧は何度も行う」
気に入った中古物件を見つけたら、内覧は何度も行ってください。
晴れの日、雨の日、風の強い日など天候の違う日に内覧し、どの程度天候が住宅内に影響を及ぼすのか確認しておきましょう。
また、内覧時には床下や天井裏も詳しく確認してください。シロアリのいた形跡がないか、天井裏に雨漏り跡はないかよく見ておきましょう。
「近隣トラブルや境界トラブルがないか」
土地に関する境界トラブル、給排水管・ガス等の配管が他人の敷地を通っていないか、近隣住民とのトラブルはなかったのかはっきり調べる必要があります。
物件を購入したとたん、隣人から土地についての苦情が来るというのは意外に多い話です。しっかり測量が行われ、上記について問題のない物件を購入することをおすすめします。
「中古物件購入による助成金の確認」
中古物件でも住宅ローン控除や助成金などを受けられる可能性がありますが、それぞれには耐震基準適合の証明書やリフォームの証明書等が必要です。
購入希望の物件が住宅ローン控除を受けられるのか、受け取れる助成金はあるのかよく調べておきましょう。自治体によっても独自の助成金を設けていることもあるので、自治体の建築課に問い合わせてみてください。
仲介している不動産業者にも確認してみましょう。
「保証内容の確認」
瑕疵担保責任の期間や内容についても詳細をしっかり理解しておきましょう。瑕疵担保責任がついているからなんでも保証される、というものではありません。瑕疵担保責任では、雨漏りなどの構造上重大な欠陥があった場合にのみ適用されます。
期間についても物件によってまちまちですので、契約前に必ず詳細を確認しましょう。
「補修履歴の確認」
購入対象の物件に、補修履歴等があれば詳しく聞いておくことも大切です。どの部分をどのぐらいの規模でリフォームしているのか売主に聞いておきましょう。
水廻りや屋根・外壁のリフォームが適切に行われている住宅は、一般的に長持ちすると言われています。
中古物件購入後の注意点
次に、物件購入後に起こりやすいトラブルや注意点についてみていきましょう。
「引き渡後すぐにリフォームが必要になることもある」
いくら契約前に物件を確認しても、引き渡しからすぐに補修が必要になってしまうことがあります。
そのようなときは、安易に自分で補修せず瑕疵担保責任についてチェックし売主に確認しましょう。
「物件購入後にかかる費用について」
物件購入後には、1度だけ「不動産取得税」がかかります。
不動産取得税は取得から3か月程で各自治体から振り込みの案内が届きますので、忘れず支払いましょう。
「中古物件を売却する時の注意点」
中古物件を売却する側になった際には、以下の点に注意が必要です。
不都合なことも正直に伝える
物件に関する不都合なことも、包み隠さず正直に伝えてください。
不動産業者には査定時と仲介依頼時に、買主側には内覧時に伝えておくと後のトラブルを回避することができます。
住宅ローンについて
売却時に住宅ローンの残債がある時には、売却完了までにローンを完済しなければいけません。
土地が高値の地域でない限り、売却額は住宅ローン残高を下回ってしまうことが多く、この場合には不足分と売却にかかる諸費用を現金で用意する必要があります。
中古物件の査定は複数社に依頼
物件を査定に出すときには、必ず複数の業者に依頼しましょう。その中から信頼できそうな業者を仲介に選ぶことは、売却する上で大切なポイントとなります。
査定額と売却額は必ずしも同じではない
査定額と売却額は必ずしも同じではありません。物件が何か月も売れなければ値下げの対象となりますし、売り出し後に物件に問題が発覚して値下げの要素となってしまうこともあります。
物件の価格交渉について
中古物件の売買には価格交渉が一般的に行われています。価格交渉が苦手な方は、不動産業者に交渉を任せてしまいましょう。
自分で交渉に応じる場合には、相手の交渉ペースに載せられないことが大切です。
中古物件を上手に活用する方法
最後に、理想の暮らしを実現するために中古物件を上手に活用する方法についてご紹介します。
安い中古物件をリフォームする
築30年以上経過した安い中古物件を、リフォームやリノベーションで快適な住まいにすることで新築注文住宅と同じような満足感を得ることができます。
DIYで作る自分だけのお城
手先が器用な方、DIYが元々好きという方は、中古物件を購入後コツコツとDIYで家を理想の住まいに作り上げることも可能です。
一からの建設は素人には無理ですが、リフォームなら意外と独学でもDIYでできるものです。完成するまでに時間はかかりますが、住宅への愛着は大きくなります。
古民家・日本家屋で暮らす
古民家や日本家屋の重厚感が好き、という方はそういった物件を購入し憧れの生活を手に入れることも可能です。今の住宅にはない大きな梁や大黒柱、素敵な欄間などはとても魅力的ですよね。
古い物件でも、畳やふすまなどを張替えたり、住宅設備をリフォームすることで快適に過ごせるようになります。
まとめ
中古物件には確かに様々なデメリットがありますが、それ以上にメリットも存在しています。
そして自分が中古物件を売却する立場になった時には、トラブルを避けるために不都合なことでも正直に伝えるように努めなくてはいけません。
中古物件の売買の中で、売主側も買主側も疑問に感じたことがあればすぐに仲介している不動産業者に確認し、不安を解消してから購入・売却するようにしましょう。
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