おとり広告「高く買います」詐欺!土地の売却を悪用する詐欺師の実態

おとり広告「高く買います」詐欺!土地の売却を悪用する詐欺師の実態

 

大きな金額が動く取引には“詐欺師”が寄ってくると言いますが、物件や土地の売買でも「悪質業者が存在する」ということを忘れてはいけません。

 

不動産の売買を悪用して詐欺をはたらく業者は言葉たくみに人を騙し、あの手この手で手口を変えてお金を詐取しようとするので要注意。

 

不動産の広告で見かける「リゾートの土地、高く買います!」も例外ではないでしょう。すべてが詐欺とは言えませんが、うまい話には裏があると用心したほうが身のためです。

 

詐欺師の手口

 

リゾート地に土地を所有していたAさんは、広告の連絡先に電話をかけて査定を申し込みました。数日後、査定結果の連絡があり、営業マンと名乗る男性は次のように話したそうです。

 

「まだ現時点では一部の関係者しか知らない情報ですが、あのあたりのエリア(Aさんの土地)は将来的に相場が上がるという噂がありまして、上手くいけば今の相場の5倍で買ってくれる人を見つけられるそうですよ」

 

そして、続けて、こう話したとのこと。

 

「そのときまでAさんが土地を寝かせておいて相場が上がったときに売るのも一つの手段ですが、もし相場が上がらなかった場合を考えると売っておいたほうが得だと思います」

 

「あのエリアの土地を買いたがっている人たちは将来を見込んで相場より高い価格でも先行投資するようですが、実際どうなるかわからないのも確かなので高値で売るなら今がチャンスかもしれませんね!」

 

なるほど、と思ったAさん。通常の相場では700万円の土地が、“業界人しか知らない裏の情報”を理由に今なら3,500万円で買い手が見つかるという内容でした。

 

冷静に考えると怪しい気配たっぷりの話ですが魅力的な取引だと思ったAさんは、その仲介業者に土地の売却をお願いすることにしたのです。

 

違法な費用を請求してきた!

 

また数日後、仲介業者の営業マンから連絡があり、指定された喫茶店に出向いたAさん。すると営業マンは、次のような話をAさんに持ちかけました。

 

「あのエリアは土地を探しに視察する人が出入りしていて、Aさんの土地をアピールするために大きな看板を設置したいんです。その費用が45万円ほど必要で、事前に支払っていただけないでしょうか」

 

「看板を設置すれば問い合わせが頻繁にくるでしょうし、いちばん高値をつけてくれた人に売却するという流れになります。相場の5倍で売れるわけですから、初期費用としては安いと思いますが」

 

本当に5倍で売れるなら45万円は価値がある費用です。しかし、この話は法律(宅地建物取引業法)に反する違法な取引にあたります。

 

そもそも土地を売却するうえで、売却前・売却後に関わらず、通常の媒介契約であれば不動産会社や仲介業者は売主に広告費や宣伝費など一切の費用を請求してはいけません。

 

売却が成立し、土地の引き渡し(所有権移転の登記)が終わったあと、売主から仲介手数料をもらうのが法律で定められたルールです。

 

そのため、最初に45万円の費用を請求した時点で詐欺の可能性が高まります。業者がもらっていい仲介手数料の上限も法律で決められていますし、売る前から費用や手数料を請求するのはNGです。

 

また、噂の真意はわかりませんが、相場の5倍で売れる情報を担当レベルの営業マンが知っているなら、ほかの不動産会社にも情報が入っているはず。やっぱり、ブラックな話だったんですね。

 

詐欺に遭ったAさんの結末

 

残念ながらAさんは、仲介業者の営業マンと名乗る男性に土地売却の広告費として45万円を支払ってしまいました。

 

その際、Aさんは媒介契約を交わしたのですが、契約書には先に支払った45万円が業務委託料と明記されており、詳しい説明も受けないまま土地の仲介をお願いしたそうです。

 

その結果、仲介業者の営業マンとは数日後に連絡がとれなくなり、支払った45万円も戻ってきませんでした。当然、土地の販売活動も行われておらず、売却できないまま終了。

 

地域の不動産会社に事情を説明したところ、「この手口、おとり広告の手数料詐欺ですね」と言われ、もちろん、相場の5倍で売れるなんて情報も真っ赤な嘘だったようです。

 

高く買います詐欺 まとめ

 

今回のケースはリゾート地に関する土地の売却でしたが、一般的なエリアの土地でも同じような被害に遭う可能性があります。リゾート地の土地に限った詐欺ではありません。

 

Aさんが詐欺師に騙されてしまったのは、知識不足と正しい情報かを確かめずに決断してしまったことです。冷静に判断すれば、違法な取引であることに気づいていたでしょう。

 

  • 相場の2倍や5倍など、相場よりも高値で売れる話は真意を確かめる!

・複数の不動産会社に相談し、そのような情報が出回っているかをリサーチ

・複数の不動産会社に査定を申し込めば平均的な査定価格がわかるので、情報の怪しさに気づける(その不動産会社だけ、破格な査定価格が出るわけがない)

 

  • 売却前・売却後に関係なく、通常の媒介契約では広告費や手数料など費用は発生しない

・不動産会社に支払うのは売却後の仲介手数料、と法律で定められている

・正しい仲介手数料の上限は法律(宅地建物取引業法)で定められている

 

  • 媒介契約書に業務委託料など事前に支払う費用の項目はない

・金額が記されているのは物件や土地の販売価格のみ

・媒介契約を結ぶにあたり、正しい方法で取引が行われているか冷静に判断する

 

最低でも、この3つの問題点に気づいていればAさんは詐欺を防げたはず。不動産の売買は、数百万円単位という大きな金額が動く取引です。

 

業者の提案や話を丸ごと鵜呑みにせず、売主自身も注意深く考えなければなりません。この方法は正しいのか、正しく取引が行われているのか、しっかり見極めましょう。

 

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