うっかり権利証を紛失してしまったけど、不動産の売却はできますか?
土地や建物などの不動産を売却する際には、所有権移転登記をする必要があります。
この時に「この人がこの不動産の所有者である」ことを証明するための書類が権利証です。
実際には権利証という書類ではなく、登記済証または登記識別情報です。
もともとは登記済証が使われていましたが、2008年以降は、登記識別情報と呼ばれる、12桁の英数字の組み合わせによるパスワードが記載された書類に変更されています。
この権利証(登記済証もしくは登記識別情報)を紛失した場合、再発行はできません。
では、権利証(登記済証もしくは登記識別情報)を紛失したら、不動産の売却はできないのでしょうか?答えは「売却できる」です。
権利証の紛失=所有権の喪失ではありません
権利証は紛失しても再発行できませんが、権利証を紛失したからといって、土地や不動産の所有権がなくなることはありません。
あくまでも、権利証は、「きちんと不動産の登記をしましたよ」という証明書にすぎないため、紛失しても所有している不動産を売却することは可能なのです。
権利証を使う機会
権利証を使う機会というのは、限られています。
不動産の売却や贈与、担保とする場合や確定申告のどれかに該当するケースです。
2008年以降は登記事項証明書があれば良いので、法務局で600円支払えば、登記の情報を印刷した書面を受け取ることができます。
※2013年4月1日以降は、法務局のホームページからの、オンライン請求が可能となっています。(料金は窓口交付の場合は480円で、送付の場合は500円です)
この登記事項証明書を受け取るために必要となるのが、先述した登記識別情報となるのです。登記識別情報には、12桁の英数字の組み合わせによるパスワードが記されており、他の人から見えないように、上にシールが貼られています。
事前通知とは?
権利証(登記済証もしくは登記識別情報)を紛失したままで、不動産の売却の際の所有権移転登記の申請後に、法務局からハガキで通知されることを「事前通知」といいます。
事前通知の内容は、「この不動産は売却されますけど、問題ないですよね?」ということであり、この質問に対して、「確かに私が所有権移転登記の申請をしましたので、問題ありません」と記載された欄に署名および押印をしてから、2週間以内に法務局に届き、受理されることで登記のための手続きが進行します。
事前通知を受け取るには、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類を、届けてくれた郵便配達人に提示することが必要となっています。
ただし受取人が2週間以内に法務局に返送できなかった場合、所有権移転登記そのものが無効となってしまうリスクがあるため、親子間の贈与などを除けば、不動産の売却ではあまり使われることはないようです。
本人確認(資格者代理人)
司法書士などと面談をして、「間違いなくこの不動産の所有者です」という内容の書面を作成することで、権利証を紛失しても不動産の売却ができるようになります。
権利証を紛失した際に最も採用される方法でもあり、比較的手間がかからない方法とも言われています。
条件は、所有権移転登記を担当する司法書士などに本人確認をしてもらうことです。司法書士にもよりますが、5万円から15~6万円ほどの料金がかかります。
本人確認(公証人)
公証役場に出向き、公証人に本人確認をしてもらう方法もあります。
所有者本人(売主)の署名および捺印済みの、司法書士などに対しての登記申請の委任状と、印鑑証明書と実印、身分証明書と委任状に添付する認証文を持っていき、公証人からの質問事項に答えた後に、書類が受理されて、登記申請書とともに提出されれば、所有権移転登記ができるようになります。
不正登記防止申出
権利証を紛失した際の対処法のひとつです。この不正登記防止申出を法務局にすることで、本人ではなく、誰かわからない人からの登記申請があった場合に、法務局から連絡が来ることになります。手数料は無料です。
有効期限は3ヶ月のため、よりリスク回避をするためには、同じタイミングで印鑑登録をし直すと効果的です。
登記識別情報の失効申出
登記識別情報を紛失した際に、悪用されないための対処法です。
法務局に書面で提出しても良いですし、インターネット申請も可能です。こちらの手数料も無料です。
ただし、登記識別情報は一度失効してしまいますと、二度と戻らなくなりますので、あくまでも詐欺などの危険性がある場合のみ行ったほうが良いかもしれません。
まとめ
もし権利証を紛失した場合でも、不動産の売却は可能です。
事前通知や司法書士などによる本人確認といった方法を使い、書類が法務局に受理されれば、不動産売却時の所有権移転登記は進むことになります。
とはいえ、できるだけ権利証(登記済証および登記識別情報)を紛失しないように、注意したほうが良いでしょう。時間と労力および余計な出費が増えてしまいますので。
売却を検討している土地やマンションを、不動産査定してみてはいかがですか?
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