不動産売却で不動産会社が行う3つの査定評価方法とは?

不動産売却で不動産会社が行う3つの査定評価方法とは?

 

不動産売却で不動産会社が行う3つの査定評価方法とは、「取引事例比較法」と「原価法」と「収益還元法」です。

ここでは、それぞれの評価方法について解説していきます。

 

取引事例比較法(比準価格)

 

取引事例比較法は、売却する物件に近い、過去の取引データを基にして、市場の動きや取引のタイミングなどを考慮した上で、査定価格を算定していく評価方法です。

マンションなどの不動産の売却において、最も多く使われています。

 

どのような取引事例を選択するのか?

 

基本的には、対象となるマンションなどの不動産と同じもしくは、近隣のエリアの取引事例を参考にします。ただし、そのエリアの取引事例が少ない場合は、似たようなエリアの取引事例を参考にすることもあります。

 

とはいえすべての取引事例が当てはまるわけではないので、いくつか補正をする必要があります。

 

1.事情による補正

 

不動産の売買は、必ずしも正常な取引ばかりではないため、特殊な事情を考慮し、もしくは排除していきます。

 

特殊な事情には、売主が破産をしたため、実際の市場価格よりも安価で売却された場合や、競売物件や投棄目的で高値で取引された場合などが該当します。

 

2.時点における修正

 

不動産の価格は、経済や社会の状況で変化していきます。

そのため、10年前のデータがそのまま使えるわけではなく、できるだけ近い時期のデータを選択する必要があります。

 

3.地域ごとの比較

 

近隣地域の取引データを参考にする場合には、地域ごとの比較を考慮する必要があります。交通量や道路の整備状況、道路幅や騒音、居住環境などが該当します。

 

4.物件ごとの比較

 

地域に関わらず、物件の状況による比較も行われます。

土地の広さや形状、日照の具合、地盤の強度、私道や国道や市道、法令などの規制が該当します。

 

原価法(積算価格)

 

原価法は、対象となる不動産を、もう一度建て直した場合にかかる原価を算出した後に、築年数の経過による劣化具合を差し引いて、査定金額を出す方法です。

主に一戸建て住宅の建物の部分を査定する時に使用されています。

 

原価法の計算式は、積算価格(査定金額)=再調達原価-原価額(減価修正)です。

 

再調達原価とは?

 

再調達原価とは、もう一度その建物を建て直した場合にかかる原価のことです。

土地であれば、土地の購入価格や造成工事の費用などが再調達原価に該当しますし、建物の場合なら、建築費用などが当てはまります。

 

土地付きの建物に関しては、土地と建物の再調達原価の合計金額となります。

 

収益還元法(収益価格)

 

収益還元法は、投資用のマンションやアパートの売買の際に利用されている査定評価です。対象となる不動産が、将来的に生み出す収益(家賃収入-諸経費)を基準にして、査定金額を算出する方法です。

 

収益還元法は、直接還元法とDCF法の2種類の計算法があります。

 

直接還元法

 

対象となる不動産によって生み出された1年間の収益を、還元利回りで割ることで、収益価格を算出する方法です。

直接還元法の計算式は、1年間の収益(家賃収入-諸経費)÷還元利回り=収益価格です。

還元利回りは、近隣にある似たような物件の利回りを参考にして決定されています。

 

例えば、1年間の家賃収入が200万円として、諸経費が50万円、還元利回りが5%の物件の場合、1年間の収益(200万円-50万円)÷5%(還元利回り)=3000万円となります。

 

DCF法

 

DCF法は、「Discounted Cash Flow…ディスカウント・キャッシュ・フロー」の頭文字が由来となっている収益価格の算定法です。

 

将来に得られると予測される収益と、物件を売却した場合の予想金額を、現時点における価値(現在価値)と置き換えた後、その合計金額を不動産価格と算定する方法です。

 

現在価値

 

DCF法の基準のひとつに、「現在価値」があります。

例えば、「すぐに300万円がもらえる」場合と、「10年後に300万円がもらえる」場合では、同じ300万円でも価値が異なります。

 

「すぐに300万円がもらえる」場合であれば、その300万円を預貯金したり、投資などで運用することで、10年後には1千万円になっているかもしれません。

 

それ以前に、「10年後に300万円がもらえる」というのは、果たして本当にもらえるのか?ということも考えられます。

そのため、DCF法の考え方では、将来の収益から現在価値を割引する計算式となるのです。

 

DCF法の計算例

 

例えば、1年目から5年目までの収益が150万円で、5年目の売却価格が2000万円で、割引率が5%の物件があったとします。

 

1年目の収益は、150万円-(150万円×5%)=1425000円となります。この時点の物件の売却価格の現在価値は、2000万円-(2000万円×5%)=1900万円になります。

2年目の収益は、1425000円-(1425000円×5%)=1353750円になります。この時点での物件の現在価値は、1900万円-(1900万円×5%)=1805万円となります。

 

3年目の収益は、1353750円-(1353750円×5%)=1286062円となります。この時点の物件の現在価値は、1805万円-(1805万円×5%)=17147500円になります。

4年目の収益は、1286062円-(1285062円×5%)=1221758円となります。この時点での物件の現在価値は、17147500円-(17147500円×5%)=16290125円になります。

 

そして5年目の収益は、1221758円-(1221758円×5%)=1160670円になります。この時点での物件の現在価値は、16290125円-(16290125円×5%)=15475619円になります。

 

最後に、1年目から5年目までの収益、1425000円+1353750円+1286062円+1221758円+1160670円=6447240円と、5年目の物件の現在価値である16290125円を足した「22737365円」が、DCFでの不動産価格(収益価格)ということになります。

 

まとめ

 

不動産会社の査定評価方法には、取引事例比較法と原価法と収益還元法の3種類がありますが、実際の売却の前には、一括査定を利用した簡易査定の後、訪問査定によって査定金額が決定します。

 

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