不動産は売却して終わりではありません!引き渡し後のリスクと費用について
マンションなどの不動産は、売却すればそれで終了というわけではなく、物件を引き渡した後に問題があった場合、不動産を購入した買主ではなく、不動産を売却した売主の負担になるケースもあります。
瑕疵担保責任
不動産の売買契約前の重要事項説明において、物件の故障箇所や不具合の箇所があれば、事前に説明をしておく必要があります。
この重要事項説明の際に、「ドアの建て付けがあまり良くないので、開け方にコツがある」とか、「給湯器が故障しています」といったことを買主に伝えておき、理解していただいた上で、売買契約を結ぶことになります。
こうした物件の故障箇所や不具合のことを瑕疵(かし)といい、売主が気づかなかったり意図的に隠していた瑕疵に関しては、物件の引き渡し後であっても、見つかった場合には、売主の負担で故障箇所の修繕や部品の交換をすることを、瑕疵担保責任といいます。
瑕疵担保責任の期間は、売主が個人であれば引き渡した後の1ヶ月から3ヶ月、もしくは半年となることもあります。中には古民家などのように、瑕疵担保責任を設定していない物件も存在するため、必ず売買契約書にて確認しておきましょう。
ちなみに売主が不動産会社の場合には、瑕疵担保責任の期間は引き渡し後の2年間となっています。
3種類の瑕疵(かし)
瑕疵はおおまかに分けて、物理的瑕疵と心理的瑕疵、そして環境瑕疵の3種類があります。
物理的瑕疵
物理的瑕疵は、給排水設備などの故障や建物の傾斜、雨漏りやシロアリなどの被害が当てはまります。
売買契約前の重要事項説明の際には、重要事項説明書とともに、付帯設備表や物件情報等報告書を提出することになるのですが、事前にわかっている物理的瑕疵については、物件情報等報告書に記載することになっています。
きちんと確認した上で、売買契約を結ぶようにしましょう。
心理的瑕疵
心理的瑕疵には、いわゆる事故物件と呼ばれる、過去に自殺や事件のあった物件が当てはまります。
法的には「告知事項」として記さなければならないのですが、事件があってからどのくらいの期間まで記すことになっているか?ということは、売主の判断に委ねられているようなので、その点は注意をしておいた方が良いかもしれません。
環境瑕疵
環境瑕疵は、近隣からの異臭や悪臭、振動や騒音や日照障害の他、狂信的な宗教団体の本部があるといったことが当てはまります。
物件の購入前に、管理会社に対して過去にそのような問題やクレームの有無を尋ねたり、近隣を見回ることで、ある程度までは対処できる可能性はあります。
土地の瑕疵
土地の場合、引き渡し後に、地中の埋設物などの瑕疵が見つかるケースもあります。
土地の中には、過去に使用していた浄化槽や、解体時の廃材やコンクリートのがら、家庭ごみなどが埋められていることもあり、仮に撤去するとなりますと、瑕疵担保責任が問われることになります。
その他には産業廃棄物などによる土壌汚染や、軟弱地盤も土地の瑕疵に該当します。
地質調査
土地の引き渡し後の瑕疵による問題の解決策として、事前に地質調査をしておく方法があります。
地質調査をすることで、前述した地中の埋設物の有無や土壌汚染の可能性、地盤の強度や将来的な液状化のリスクなどを確認することができます。
地質調査では、主に2階建てもしくは3階建ての一戸建ての建設前に採用される「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれる方式か、ビルや高層マンションなどの建設前に採用される「ボーリング試験」があります。
より深い位置までの調査をすることや、過去に多くのデータを持つことから、ボーリング試験の方が信頼度が高いと言われています。ただしその分料金も高額になることから、木造住宅で採用されるケースは少ないようです。
その他には「表面波探査法」と呼ばれる、振動波の反射時間によって地盤の硬度を確認するやり方もあります。
土壌汚染調査
過去に工場やガソリンスタンド、病院やクリーニング施設や焼却施設などが建てられていた土壌汚染の可能性が考えられる土地に対して行う調査です。
現時点での汚染の度合いや、将来的な汚染のリスク、地下水への汚染具合といったことが調査の結果により判明します。
土地境界確定測量
土地の中には、土地の境界が明確でない土地も存在します。
土地境界確定測量を実施することで、土地の境界に関するトラブルを防ぎます。
境界を確定させるためには、近隣の土地の所有者のすべてに承諾してもらう必要があり、国有地や市有地の場合、市区町村役場の職員に立ち会って確認をしてもらいます。
まとめ
マンションや土地などの不動産を売却して、買主に無事に引き渡した後であっても、瑕疵(かし)が見つかった場合、売主が負担することになります。
中には物件の契約解除や損害賠償請求を受けることもあるため、物件の不具合や故障に関しては、きちんと重要事項説明書や付帯設備表、物件情報等報告書に記載しておくようにしましょう。
ボーリング試験後の土地を、不動産査定してみてはいかがですか?
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