不動産投資の鍵?減価償却のあれこれ

不動産投資を始めようと考えているあなたも、すでに始めているあなたも、「減価償却」のこと、きちんと理解していますか?

不動産投資をするのであれば、必ず知っておきたいことの一つですが、意外にもよくわからないまま投資を始めようとする人も少なくありません。

減価償却がどれくらいできるのか、というのは不動産投資の鍵を握っていると言っても過言ではありませんから、投資家として利益を上げたいのならしっかり理解しておきたいところです。

「減価償却」とは、購入した資産を耐用年数に応じて費用とする会計処理のことを言います。

減価償却ができるのは、経年によって価値が下がっていくものだけですので、ここに土地は含まれません。

そして減価償却できるものは年々価値が下がるわけですから、費用として計上できる金額はどんどん減っていきます。

しかし減価償却というものは、そもそも不動産の場合にはどうやって計算することができるのでしょうか。そして減価償却にはメリット以外にデメリットもあるのでしょうか。

今回は不動産投資における減価償却のすべてを、例題を交えて詳しく解説していきます、

減価償却の計算方法

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では早速、減価償却とは一体どのようなものなのか、そして実際の計算方法についてご紹介します。

減価償却の基礎から知ることで、より理解が深まりますのでゆっくりご覧ください、

減価償却とは
減価償却とは、ある程度まとまった額で購入した資産を、耐用年数に応じて費用と考えることができる会計処理のことを言います。

減価償却は何が優れているのかというと、一般的に費用といえば「1度つかえばその場限り」で終わってしまうのに対し、減価償却は購入したその時だけではなく、耐用年数がなくなってしまうまで毎年費用として計上できるという点です。

なぜ減価償却という会計処理ができるのかといえば、そもそも資産は収益を得るために購入したものです。ならば、その費用は購入時だけではなく、収益を得ているは期間ずっと費用とするのが望ましいという「費用収益対応の原則」の考えからきています。

減価償却の必要性

そして不動産投資における減価償却の必要性ですが、減価償却をすることで「収入より費用が高くなる」可能性があり、そうなると所得税を大幅に節税できますよね。

不動産投資によって得られる純利益、つまり課税対象となる利益は「総収入」-「費用」で計算できます。

この計算に使える費用には様々なものがありますが、不動産投資においては減価償却費が大きなウエイトを締めます。

しかも減価償却は、建物の構造によって22年から47年という長い年月の間費用として計上できます。その間は減価償却によって節税できるということです。

不動産投資をする上で、減価償却は長い付き合いとなりますから、やはりよく理解しておく必要がありそうですね。

減価償却の計算方法

ここからは少し難しくなりますが、減価償却の計算方法について解説していきます。

「定額法と定率法」

減価償却には定額法と定率法の2つがあります。

・定額法→毎年同じ額を減価償却する
・定率法→最初に大きく減価償却し、その度は一定の割合で減価償却する

※平成28年4月1日以降に取得した建物に対しては、「定額法」のみが適用となりましたので、ここからは定額法による減価償却についてお話していきます。

定額法による減価償却の計算式は以下の通りです。

・「減価償却費の額=取得価格×耐用年数に応じた償却率」

「取得金額と償却率」

減価償却を計算するために、まずは建物の取得金額と耐用年数に応じた償却率について知る必要があります。

耐用年数と償却率については、建物の構造により異なります。

中古の場合には、次の計算で耐用年数を割り出してください。

・耐用年数以上の築年数→新築時の耐用年数の20%。端数は切り下げ
・耐用年数の途中の物件→(新築時の耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

取得金額には建物部分の購入金額が当てはまります。

取得した不動産の売買契約書に「建物部分」として金額が記載されている場合には、その金額を取得費とすることができます。

もし売買契約書に「建物と土地」それぞれの金額の記載がなかった場合、取得費の計算は複雑になってしまいますので税理士会計士に相談してみましょう。

※減価償却の詳しい計算例については、この記事の最後に掲載しております。

減価償却のメリットとデメリット

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減価償却をすることで、大きな金銭的メリットがあるのはここまでも説明してきました。

しかし減価償却はいいことばかりではなく、少ないながらもデメリットが存在しているようです。

ここからは、減価償却のメリットとデメリットについてご紹介します。

減価償却のメリット

減価償却の最大のメリットは、やはり「大きな費用を長年にわたって計上できる」ところにあります。しかも耐用年数があるうちは毎年費用として計上できるわけですから、その総額を考えると「減価償却なしでは不動産投資は成り立たない」とも言えそうです。

節税としては大きく期待できる減価償却は、個人投資家に更なる利益をもたらす可能性があります。

不動産投資による収入と、会社から得る給与は同じ収入とされ、どちらも収入が多ければ多いほど所得税や住民税は右肩上がりに増えていきます。

しかし不動産を購入し減価償却することで、不動産収入も給与所得もゼロとなる可能性もあり、そうすると所得税や住民税も課税されないことになります。

現実的にはそこまでうまくいかないかもしれませんが、「収入ゼロ」にはならなくとも、給与所得をいくらか減らせる可能性はあります。

その結果、所得税と住民税の負担が減り、毎月の給料の受取額も増額するかもしれません。

減価償却のデメリット

減価償却にはこのように大きなメリットがある中で、意外なデメリットも存在しています。

それは「会計処理が難しい」こと。

会計の素人にとって減価償却はハードルが高く、もしかすると会計士に依頼しなければいけなくなるかもしれません。

そうすると会計士に依頼する費用も必要となりますから、「思ったように減価償却ができなかった」未来についてもよく考えておく必要があるでしょう。

減価償却のポイント

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ここからはさらに、減価償却費を正しく計上するためのポイントについてまとめていきます。

減価償却費を計上し利益を得るためには、現在だけではなく将来のことについてもよく考えることが大切です。

長い期間確実に利益を得るために、次のことを実行してみましょう。

青色申告をしよう!

減価償却をするためには、まず青色申告をしなければいけません。

青色申告をするために、まずは管轄の税務署で開業届を提出し「青色申告者」となりましょう。開業届を出すと「個人事業主」となり、確定申告時にはより詳細な帳簿を提出する必要がありますが、税制面でもとてもお得になるという特徴があります。

開業届を出して青色申告をするだけでも65万円の控除が受けられますので、投資物件を購入したらまずは開業届を出しに税務署へ行きましょう。

開業届は開業から1~2か月以内に提出する必要があります。提出時には、本人を確認できる免許証などの書類と、マイナンバーカード及びマイナンバー通知書が必要となりますので忘れず持っていきましょう。

耐用年数が短い方がお得!?

減価償却をするとき、実は新築の物件よりも中古で耐用年数が短い方がお得になることもあります。

<減価償却の計算方法>の項で、中古物件の耐用年数の計算方法について触れましたが、例えば計算の結果、減価償却期間が4年の物件を4000万円で買ったとします。
単純に考えて、このときの減価償却は年間1000万円ですから、大きな節税となりますよね。

投資物件の購入から早い段階で売却までを視野に入れているのなら、このように減価償却を考えあえて中古物件を購入しておくと大きく利益を得ることができる可能性があります。

減価償却とローン

減価償却について、一つ気を付けておかなければいけないことがあります。それは「投資物件を購入した際のローンの支払い」についてです。

物件を購入してはじめのうちには、減価償却の恩恵をうけて簡単に返済することができた物件購入のためのローンも、減価償却ができなくなった途端に返済が厳しくなってしまうことも稀ではありません。

「減価償却はいつかなくなる」ということを視野に入れておかないと、物件購入時のローンによって最悪破産しなければいけないこともあります。

つまり減価償却頼みの返済計画では、そもそもローンを借りるのは無謀ということなのです。

しかも賃貸物件は、築年数が経つごとに賃料も減り、空室も目立ってきます。

減価償却の消失に加えて利益も減り、ローンだけは残ってしまうという事態を避けるために、物件購入のためのローンは減価償却できるうちに返済が終わるように計画しておきましょう。

難しいときには会計士に依頼する

どうしても減価償却に行き詰ってしまったら、すぐに諦めて会計士または税理士に依頼してしまうのも一つの手です。

会計士や税理士に毎月報酬をしはらうのが辛いという方は、確定申告の時だけ依頼するという方法もあります。

会計士や税理士に依頼する金額は決して安くありませんが、それでも気づかぬうちに脱税してしまっていた、なんてことを避けるためにも、わからないときには素直に会計士または税理士を頼ることをおすすめします。

減価償却の計算例

最後に、冒頭で紹介した減価償却の計算式に当てはめ、次の2つの例の減価償却費を計算してみましょう。

減価償却はとても簡単、という訳ではありませんが、やり方さえ解ればそこまで難しくもありません。

それでは実際に例題から減価償却費を求めてみましょう!

例1.木造アパートを新築で取得したAさん

不動産投資を始めたAさんは、新築のアパートを購入しました。

価格は6000万円で、うち2500万円が土地や諸費用、純粋な建物の取得額は3500万円でした。

Aさんが取得したアパートは木造だったので、耐用年数は22年、新築時の償却率は0.046です。

計算式に当てはめると・・・

取得額3500万円×償却率0.046=161万円

となり、取得年度に減価償却できるのは161万円であることが解りました。

例2.鉄筋コンクリートの賃貸物件を中古で取得したBさん

Bさんは、新築の賃貸物件の取得は無理と考え、中古の物件を探していました。

やっと見つけた投資物件、トータルでの取得価格は5000万円、うち1000万円が建物の取得額、購入時点で築50年が経過していました。

建物は鉄筋コンクリートでしたが、鉄筋コンクリートの耐用年数は47年ですので、現時点で耐用年数を超えてしまっています。

耐用年数を超えた物件の場合、新たに耐用年数を出すための計算式は「耐用年数×20%」ですから、この場合は「47年×20%」で9年が新しく設定される耐用年数となります。

耐用年数が9年のとき、償却率は0.112ですので、取得費1000万円×償却率0.112=112万円が取得年度の減価償却費となります。

2つの例からわかること

この2つの例をみただけでも、減価償却による節税効果の高さを感じることかと思います。

減価償却以外で、これほどまでに多額の費用として計上できるものは中々ありません。

サラリーマンの副業としての投資の場合、青色申告が面倒という方もいるかもしれませんが、しっかりと青色申告と減価償却費で節税し、より多くの利益を得られるように努力していきましょう。

*よく似た内容の記事はこちら
不動産売却時の譲渡所得税の計算に使われる減価償却費とは?

まとめ

不動産投資で利益を得たいと考えるのなら、単純に毎月の賃料収入だけではなく、このような税金対策についても理解を深めていくべきです。

なるべく多くの費用を計上することで、その分課税対象となる収入も「税制上は」減っていきますから、費用の最たるものである減価償却を利用しない手はありません。

減価償却は「最初のうちだけ」と勘違いしている方もいますが、耐用年数が過ぎた中古物件にもわずかながら耐用年数はあります。

そして耐用年数が少ないほど償却率は上がりますから、中古物件こそ減価償却費を計上するべきです。

個人投資家の方は忘れずに開業し、青色申告を行い、減価償却費を計上しましょう。

減価償却で賢く節税し、不動産投資を確実に成功へと導いてください。

 

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