不動産の売却時には、手付解除や住宅ローン特約などの「契約解除」に注意しよう
マンションや戸建てなどの不動産の売却が決まると、売り主と買い主は双方が売買契約を結び、正式な引き渡しと料金の支払いに向けて動くことになります。しかし中には諸事情によって、どうしても契約を解除しなければならないケースもあります。
自己都合から金銭に関する問題まで、何らかの事情によって契約が途中でとん挫してしまう可能性は十分にあります。
そこで今回は、不動産売買契約の締結後に契約解除をするケースや、契約解除の方法などについて見ていきたいと思います。
・契約解除は簡単ではない
不動産売買における契約は、途中で流れを止めたり、自由に再開できるものではなく、一度きりの重大な契約事となります。大きな金銭がかかわる「取引」であり、宅建法などの法律によって細かくルールが定められていますので、契約内容には必ず従わなくてはなりません。
取引を行う際、契約者は売り主と買い主に明確な売買の意思があることを確認します。契約後には法的な拘束力が発生しますので、一度契約を結んだ後は契約を勝手に解除することはできません。
しかしそれでも、以下のように後から契約を解除するケースもあります。
■特約による解除(住宅ローン特約など):こちらは契約の中に「特約」が盛り込まれている場合、それぞれの内容に準じて解除を進めることができます。
たとえば「住宅ローン特約」の場合、買い主が住宅ローンを受けられない場合は無条件で契約を解除することができます。
■危険負担による解除:地震などの天災によって物件が滅失した場合、契約の目的が達せられない時には、買い主は無条件で契約を解除することができます。
■瑕疵担保責任に基づく解除:買い主が新しく購入した物件に重大な「隠れた瑕疵(欠陥など)」が見つかり、その瑕疵によって契約の目的が達せられない(居住できないなど)場合は、買い主は無条件で契約を解除することができます。
■手付解除:相手方が契約の履行に着手するまでの間、売り主から買い主に交付される金銭である「手付金」を放棄するか、または「倍返し」という方法によって、契約を解除することができます。
■クーリングオフによる解除:売り主が不動産会社(※宅地建物取引業者)であり、かつ一定の条件を満たす場合にのみ、無条件で契約を解除することができます。
■合意による解除:売り手と買い手など、当事者の合意に基づく条件によって契約を解除することができます。
たとえば、「マイホームの買い手が見つかって契約をしたが、契約金額よりもさらに高く買ってくれるという第三者が現れたので契約を解除したい」というケースでは、売り手と買い手の間で定めがなければ、手付は「解約手付」扱いとなります。この解約手付が適用されると、「手付放棄」または「手付倍返し」をして契約の解除をすることができます。
すでに手付金を支払っている段階なら、手付の「倍返し」による契約解除となりますが、契約の履行状況によっては「違約金」を支払って解除をすることになります。
・履行の着手からは手付解除ができなくなる
ちなみに、「履行の着手」という段階を踏んでしまうと、手付の「倍返し」による売買契約の解除はできなくなります。
「履行の着手」とは売り主と買い主の双方がこなす、契約履行の準備行為のことです。たとえば、売り主が売買する物件の一部を引渡したり、物件の引き渡しと所有権移転登記を済ませる、買い主が中間金(内金)を支払っていたり、残代金の支払いを行ったような例です。この「履行の着手」がなされた後には、手付の解除はできなくなります。
基本的に不動産売買契約は、自己都合による契約解除の場合には違約金やペナルティーを負わなくてはなりません。したがって、契約解除は慎重に、「自分の結んだ契約がどの段階まで進んでいるか」も確認してから、段階に合わせた方法で進めていく必要があります。
・違約金によるキャンセル
「履行の着手」がなされた後に契約解除をしたい場合は、契約書で決められている項目にしたがって、「違約金」の支払いをして解約をすることになります。違約金の額は、売買金額の2割(20%)である場合が多いです。
「履行の着手」後に解約をするとなると、契約者である当事者間の合意がなければなりません。この場合も、契約書に記載されている違約金の確認などをしておいて、解約する理由を明らかにしなくてはなりません。
不動産売買は慎重に行うべき契約であり、可能な限り契約を成立させることが理想です。しかし中には止むをえない事情が発生したり、思わぬトラブルに巻き込まれるといったケースもありますから、契約破棄ということになれば、契約書に記載されている通りの取り決めに従って対処をしていくことになります。
・まとめ
いかがでしたか?手付金の倍返しや違約金の支払いなど、不動産売買契約の解除には想定外の出費が求められる場合が多いです。
契約解除の際は、仲介に入っている不動産会社とよく相談しながら、紛争などが発生しないよう慎重に契約解除を進めていくようにしましょう。
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