相続した不動産を売却するときに知っておくべき全知識と売却までの流れ

17-03-03

不動産は、所有しているだけで毎年固定資産税が課税されるため、相続した不動産をそのままにしておくのは危険です。

特にその不動産が遠方にあったり、今後使用する予定が無く放置している、手続きが面倒なので何もしないでいる、などといった場合などは、

毎年固定資産税を延々と払い続ける状態になりがちです。

今回は、不動産を相続する時に損をしない方法と、いざ売却する時の一連の流れについてご紹介したいと思います。

 

不動産を相続した時に知っておくべき全知識

 

【相続した不動産を放置してはならない】

 

相続した不動産が遠方であったり、今後使用する予定もなく、そのままにしている方も多くいるのではと思いますが、

安易に相続不動産を放置してしまう行為は危険です。

なぜかというと、相続した不動産をそのまま放っておくと、自分が知らない間に不動産の権利を失ってしまったり、

周りに意図せず損害を与えてしまうことになり、損害賠償を請求されてしまうケースがあるのです。

 

・知らない間に不動産が他人のものに!?

 

自分の土地や家屋などの不動産を第三者が勝手に使用しているのを放置してしまうと、あなたの所有権が失われ、

勝手に使用している第三者に対象不動産の所有権が移ってしまう可能性があります。

民法では永続した事実状態を保護するため、一定の要件を満たして20年間(または10年間)、

他人の物を占有し続けた人に所有権が移転するのを認めています(民法162条|取得時効)。

 

例を挙げると、あなたが相続した土地AにBさんが勝手に自宅を建て、Bさんが自宅の敷地として土地Aを使用し続けた場合、Bさんが土地Aを自分のものではないと知らない、または知らなかったことに過失がなければ10年間、知っていたとしても20年間で時効が確定して、土地Aの所有権はBさんに移転してしまいます。

 

時効が確定するのを防ぐためには、裁判所に訴えて調停や訴訟といった法的措置を取ることになります(民法147条~156条)。

また、時効が確定した後に土地Aを取り戻すのは至難の業になりますので、所有不動産の放置は非常に危険と言えるでしょう。

 

・自分には落ち度がないのに損害賠償を求められる危険性がある

 

例えばあなたが相続した土地に生えている木が強風で折れて通行人に怪我をさせてしまったり、隣の家のガラスや植木鉢などを破壊してしまった場合などは、

あなたには過失が全くなくても損害賠償責任を負う羽目になってしまうことがあります。

 

民法では、このような場合にはまず、その土地や建物を実際に利用もしくは管理している人(占有者と言います)が責任を負い、

占有者に過失がないもしくは占有者がいない場合は所有者が責任を負う、と規定しています(民法717条)。

この際、占有者の責任は過失がなければ免責されますが、所有者の責任については完全な無過失責任とされており、所有者に何の落ち度がなくても免責されることはありません。

 

つまり、相続した不動産をそのまま放っておくと、自分が知らないうちに損害賠償責任を負ってしまう、というケースが発生する可能性があるのです。

 

・土地の境界線をめぐるトラブル

 

土地に関連して、隣地との境界線をめぐるトラブルもよくあるケースです。

例えば土地の境界が不明確になっているせいで自分の土地がいつの間にか勝手に使用されている、

また隣地の所有者が境界標を勝手に移動したり、破棄してしまうケースといったトラブルが実際に発生しています。

 

土地の境界をめぐってトラブルになった場合も、裁判所に調停を申し出る、訴訟を起こすなど、法的に解決するしか手段はありません。

 

これまで見てきたように、相続不動産を放置してしまうことは非常に危険なことなのです。

 

【遺産分割の方法⇨不動産特有のポイント、注意点】

 

次は遺産分割について詳しく見ていきましょう。

 

例えば相続人が2人いて、遺産の内容が1,000万円の資産価値のある土地と1,000万円の現金預金だとしましょう。

この場合であれば、一方が土地を相続し、もう一方が現金預金を相続する、といった形を取ればそこまで揉めないとは思います。

現実問題としては、不動産よりも現金を好む人が多いと思われるので、そんなにすんなりはいかないかもしれませんが。。

 

次のようなケースはどうでしょう。

相続人が2人いて、6,000万円の資産価値のある土地と1,000万円の現金預金の相続の場合や、相続人が3人いて5,000万円の資産価値の不動産しか相続財産がない場合はどうでしょうか。

このような場合に考えられる遺産分割方法は、下記の3つが一般的です。

 

・換価分割|不動産を売却し、現金化して分割する方法

 

一番シンプルに片付けられるのは、相続した不動産を売却して現金化して、相続人間で均等に分割するという「換価分割」という方法です。

ただし、この方法の場合、不動産の売却による譲渡益が発生する場合には、譲渡所得税を支払わなければなりません。

 

・代償分割|不動産を相続人のうち1人が単独で相続し、残った相続人に対して現金もしくは分割払いで不動産の価値と同額を支払う方法

 

代々受け継いだ田畑で農業を行っていたり、山林を所有して林業を営んでいる、などといった場合など、簡単に土地を処分することができない場合によく用いられる方法が、

特定の相続人が不動産を全部相続する代わりに、他の相続人へは現金や有価証券などを与える「代償分割」です。

 

代償分割の大きな特徴は以下の3つです。

(1)代償分割は現金でなくても大丈夫です。代償分割は、現金が多いですが、相続人間で合意があれば、有価証券や権利でも問題はありません。

(2)遺産分割協議書に、必ず代償分割の内容を記載しましょう。記載が無いと、贈与税の対象となってしまいます。

(3)代償財産が不動産である場合には、不動産取得税や、登録免許税が発生します。

 

・共有|不動産を共有登記する方法

 

この方法の場合は、一旦相続した不動産を共有するけれども近い将来に売却、もしくは賃貸して賃料を分割するなど具体的な計画がないと、問題を先送りにするだけになってしまう危険があります。

下手をすると毎年ムダに固定資産税などの経費を支払うことになりかねないので、将来的に使用する見通しが立っていない場合はさっさと売却してしまった方が賢明でしょう。

 

・相続によって不動産を取得する場合、名義変更が必要になります(相続登記)

 

相続登記をする際には、登記事項証明書代(1物件あたり600円)、戸籍・住民票・評価証明書代の数千円、登録免許税(固定資産税の1000分の4)、その他実費が必要になってきます。

相続した不動産を売却したい場合はもちろんのこと、相続した不動産を担保に融資を受けたい場合など、

不動産の所有権移転や抵当権設定の際には相続登記を済ませておかないと手続きを進めることはできません。

相続登記に法律上定められた期限はありませんが、後々のトラブル防止のためにも、早めに手続きをしておくことをオススメします。

 

【不動産の評価方法⇨相続税上の評価】

 

不動産を相続するとき、時価ではなく固定資産台帳や路線価から算出した評価額が課税対象となります。

土地の相続を例に挙げると、一般的には国税庁が定めた路線価の80%がその土地の評価額となります。

例えば路線価の評価が5,000万円の土地であれば、相続税での評価額は5,000万円×0.8=4,000万円となります。

 

建物の場合は、一般的には固定資産台帳に記載している固定資産評価額に基づいて評価され、建築費用の50~60%が評価額となるケースが多いです。

例えば建築費用が4,000万円の建物であれば、相続税での評価額は4,000万円×0.5=2,000万円となります。

 

そして、賃貸による借家権割合で建物の評価額はさらに30%控除されます。

上記の例で言えば、投資用物件として第三者に賃貸している場合であれば、2,000万円×0.7=1,400万円が相続税の評価額となる計算です。

 

【仲介業者と買取業者の違い】

 

不動産を売却するには「仲介」と「買取」の2種類の方法があることは、皆さん既にご存知のことかと思います。

どちらも不動産業者が対応してくれますが、具体的な売却方法が異なるので、しっかりと理解しておきましょう。

 

・仲介業者とは?

仲介業者を通じて売却するというのは、簡単にいうと「仲介業者」が購入希望者を探し、購入者が見つかり次第に売却するということです。

そのため仲介業者は、広告や不動産流通ネットワークを利用し購入希望者を探します。

仲介業者の場合は、不動産業者が売主の代わりに広告費や人件費をかけて購入希望者を探しますので、成約時には国土交通省の規程内の仲介手数料が発生します。

 

・買取業者とは?

一方、買取業者を通じて売却するというのは、簡単にいうと「不動産業者が直接買取を行ってくれる」ということになります。

仲介業者の場合と違い、購入者が見つかるまで待つ必要がなく、すぐに売却することが可能です。

また、宣伝する手間や直接の売買となるため仲介手数料が不要となるため、売主側の負担がかなり軽減されます。

 

・それぞれのメリットとデメリットについて

上記の例でいうと、手間や費用を考慮すると、一見「買取業者」の方がいいように思えます。

しかし、まだ考えなければならない事があります。

それは、「いくらで買い取ってくれるか」です。仲介業者の場合は、仲介手数料が不動産業者の利益となるため、売却できたとしても相当な額の手数料■を支払う事になります。

一方で「買取業者」の場合は、買取業者が購入した不動産を再度販売し、そこから利益を得る、という構図になっているため「不動産を安く購入したい」という気持ちが表れます。

ただし、購入した後はリフォームや建て替えを行うこともあるため、皆さんが売却するためにこれらの費用を負担せずに済むと考えると、買取業者に依頼をした方が「賢い不動産売却」になるかもしれませんね。

 

・所有不動産をすぐに現金化したい場合は買取業者を推奨

売主が、現時点で現金がどうしても必要な時は、買取業者に依頼することがベストかと思われます。

もしかすると、仲介業者より金額的には低価格になってしまう可能性がありますが、売主としては現金が今すぐ手に入るというメリットがあります。

ただ、ここに関しては「高く売る=賢く売る」ですから、仲介業者に依頼した際に売却までにかかる時間や面倒な手間などといった「見えにくいコスト」のことを考えると、

多少金額が下がっても買取業者に依頼をする方が望ましいかもしれません。

 

 

【弁護士に依頼した方がいいケース】

 

遺産相続の際、親族間でなんらかのトラブルが発生し悩んでいる、といった方も多いと思います。

そんな時は弁護士に相談してみるのも手です。

 

・遺産相続でよく起こる問題

 

・相続財産を誰がどの程度もらうのか決まらない

・相続人の1人が遺産を独り占めしている

・親に借金があったので相続放棄をしたい

・自分の相続分が少ない気がする

・不動産相続の扱いがわからない

・遺言書の内容に不満がある 

 

自分が相続問題に巻き込まれると、それまで考えもしなかった様々な不安が湧いてくるものです。

そんな時は弁護士への相談も有効ですが、なんでもかんでも弁護士に相談すれば解決できる、というわけでもありません。

では、どういったケースで弁護士に相談したらよいのでしょうか。

 

・弁護士への相談が有益になるケース

 

1:すでに親族感でなんらかのトラブルが発生している

2:相続財産を相続人の一人が使い込んでいた

3:遺産分割の割合で揉めている

4:だれが相続人なのかがわからない

5:不動産や土地の相続で誰がどの部分を相続するのか決まらない

6:自分の相続分が明らかに少ない

7:相続放棄を行いたい

 

など、弁護士に相談すべき時は、「相手方と既に何らかのトラブルになっている」、あるいは「これからトラブルになりそう」といったケースがよいでしょう。

逆に、弁護士に相談してもあまり意味がないケースもあります。

例えば、

 

・相続手続きの流れが知りたい

・まだトラブルに発展していない場合

・法律で解決できるような問題ではなさそうな場合

 

などです。

遺産相続の手続きだけなら、弁護士を通さなくても自分たちだけで行うことはできます。

最近は手順などを解説した記事がネット上に多くあるので、まずは自分でリサーチしてみるのがいいでしょう。

※よく似た内容の記事はこちら
万が一のときに備えて知っておきたい不動産の「相続登記」について
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不動産の相続から売却までの流れ

 

売却方法の検討(仲介業者、買取業者)⇨売却の手段

不動産の売却⇨必要な書類、手順

確定申告・納付⇨相続税ではなく、所得税(譲渡所得)に触れる

 

それでは相続した不動産を売却したいと思ったらどうすればよいのでしょうか。

手続き方法や売却時に必要な書類、かかる費用など、相続した不動産売却の流れをまとめました。

相続した不動産を売却するには、以下のような手順で手続きを行っていきます。

 

1 遺産分割協議をする

 

相続した不動産の売却の手順としてはまず、不動産を被相続人(故人)から相続人が取得した後、相続人全員が各自戸籍謄本・印鑑証明書を提出する必要があります。

このとき誰か1人でも賛同しない人がいると手続きを前に進めることはできません。

 

そこで行われるのが遺産分割協議です。ここでは相続人全員が合意したことを証明する「遺産分割協議書」を作成します。

この遺産分割協議書は、相続した不動産を売却する際に提出が求められる書類です。遺産分割を行わないままでいるとその不動産は相続人全員の共有財産となるので、注意しましょう。

 

共有財産となってしまった不動産は共有者のうち誰か1人が勝手に処分することはできなくなるので、

将来使う予定のない不動産はできるだけ早めに遺産分割協議を行い、資産価値が目減りする前に売却してしまいましょう。

 

*補足:遺産分割協議について

 

亡くなった人の遺産をそのままにしておくことはできません。

兄弟が複数いるなどの状況では、どうしてもトラブルが発生しがちです。問題解決の基本は「話し合いで解決する」です。この話し合いを、「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議をまとめるのは、場合によっては大変です。そこで、様々に工夫をして、相続人全員が納得できる結果にもっていく必要があります。

 

遺産が不動産の場合、相続人のひとりがその不動産を取得し、不動産を取得した相続人が残りの相続人に現金や有価証券などで支払うという方法、

遺産の土地を分筆(土地をいくつかに分けること)してそれぞれの相続人が1筆ずつ土地を取得する方法などがあります。

遺産分割協議の内容に特に決まりはありません。最終目的は全員が納得する形の着地点を見つけ出すことなのです。

 

話し合いですべての相続人が納得できたなら、その内容を書面にします。

口頭だけの遺産分割協議は無効、というわけではありませんが、遺産分割協議の内容については、後々問題になることもあるので、

キチンと書面にして残しておくべきです。こうしてできた書面が「遺産分割協議書」となります。

 

故人の遺産の相続手続きをする場合、この遺産分割協議書が非常に重要となります。

預金口座の引継ぎ、不動産の名義変更などの手続きの際には必ず必要となってきます。

 

遺産分割協議書は特に書式の決まりが定められているわけではありません。

ただ、協議書を作成する際には、以下の点に注意するとよいでしょう。

 

・亡くなった方の氏名、最後の住所地、相続発生日(死亡日)、相続が発生した旨を書く

・相続する財産を特定する

・財産を相続する人間を記載する

 

不動産であれば、登記簿謄本に記載されている情報をそのまま書きます。

銀行の預金口座は「○○銀行××支店 普通預金 口座番号*******」のように、きっちりと書きましょう。

 

また協議書には相続人全員の署名・押印をするようにしましょう。記名でも無効とはなりませんが、直筆の署名の方が良いでしょう。

また押印は、実印を使います。とくに不動産の名義変更、銀行の口座の引継ぎでは、実印が必要となるケースが多いです。

あとは協議書と一緒に全員の印鑑証明も忘れずに添付しましょう。

 

・もし遺産分割協議がまとまらなかったら。。?

 

何度も話し合いを重ねたにもかかわらず、遺産分割協議がまとまらない、あるいは話し合いさえできないような場合は、家庭裁判所に遺産分割をお願いすることができます。

これを「遺産分割の申立」と言います。家庭裁判所に申立てをしたとしても、あくまでも基本は話し合いで解決していくことを模索します。

つまり家庭裁判所が間に入って、相続人同士で話し合いを続けるわけです。目指すのは相続人全員の合意です。これを「遺産分割調停」といいます。

遺産分割調停でも相続人間の合意ができなかった場合は、裁判所に判断を下してもらう他ありません。

これが「遺産分割の審判」です。もちろん審判の内容が不服であれば、異議申し立てをすることもできますが、これ以上長引くことは非常に稀なケースでしょう。

 

 

2 名義人を変更する

 

故人名義のまま不動産の売買をすることはできないので、遺産分割協議がまとまったら、不動産の名義を被相続人(故人)から相続人へ変更しましょう。

これを「相続登記」といい、内容としては「誰がどの遺産をどれくらいの割合で相続した」というものを記すための登記になります。

 

よって、法定相続分どおりの相続・遺産分割協議による相続・遺言書による相続または遺贈といったケースでの相続登記をすることで、不動産の取得者が故人から相続人へ変更されます。

この際、相続によって不動産が特定の相続人1人のものになる場合は「所有権移転登記」、共有となる場合は「持分移転登記」も併せて行う必要があります。

 

現在の不動産の名義人確認は必須

 

相続人数名で不動産を共有状態のまま相続したケースで、場合によってはひとまず不動産を誰か1人の名義にしておいて、

売却後にお金を遺産分割協議でまとめた割合のとおりにお金を分配するという方法もよく使われています。

ただし、このときに不動産の現在の名義人を登記済権利証で確認しなければなりません。

 

なぜなら、相続した不動産が亡くなった父名義だと思っていたらとっくの昔に亡くなった祖父の名義のままだった、というケースがよくありますが、

このケースでは祖父の相続手続きをやり直さないと不動産の売却ができなくなってしまうのです。

昔の相続をやり直す場合は、相続人の中で既に亡くなっている人が出ていたり、代襲相続などが発生してとにかく面倒が多くなります。

このような事態を防ぐためにも、相続登記はきちんとしておくのが良いかと思います。

 

相続人が誰なのかを調査する

 

上記のようなケースが発生してしまったら、過去の祖父の相続人にあたる人が誰なのかを調べて、存命の相続人同士で該当不動産に関する遺産分割協議を行い、

その協議がまとまってからでないと、父の財産としての遺産分割はできません。

祖父の相続を片付けてから父の相続としての不動産名義を遺産分割協議で決定した相続人に変更する(=相続登記と所有権移転登記を行う)ことで、ようやくその不動産の売却が可能になります。

 

共有者全員の承諾と印鑑証明書を得る

 

数名で不動産を相続した場合は、きちんと共有名義で登記しなければなりません。共有名義の不動産の全部を売却する場合は共有者全員の承諾と身分証明書・実印・印鑑証明書が必要ですが、

共有不動産の一部を売却したい場合には、他の共有者に自分の持分を現金で買い取ってもらったり、土地を分筆したりする方法があります。

 

*補足:共有名義の不動産の売却方法

 

夫婦や兄弟、親子間で所有している不動産を共有不動産(共有名義の不動産)といいます。

共有名義とは所有者が複数いる不動産のことで、夫婦で住宅ローンを組んだり、親からの相続として兄弟に渡った場合などに発生します。

 

・共有名義の不動産を売却する3つの方法

 

共有名義の不動産を売却するための方法は大きく分けて以下の3つがあります。

 

1、名義人全員の合意を得て売却する

 

共有名義の不動産を売却するには、名義人全員の合意が必要です。名義人が5人いた場合、5人全員の合意がなければ売却はできません。

事前に必要なものや手続きには、

 

・名義人全員の実印、印鑑証明

・名義人全員の登記済権利書もしくは登記識別情報

・名義人全員の直筆サイン

 

などがあります。

 

名義人の人数が少なく、全員が不動産の売却に前向きな場合は、共有不動産の売却はスムーズに行うことが可能ですが、

名義人が大勢いたり、各地に散らばっている、連絡をほとんど取っていない、などの場合は全員から合意を得ることが困難になり、売却が難しくなる可能性が高まります。

 

また名義人の人数が少なくても、例えば共有名義の土地に、名義人の1人が既に家を建てて居住している、といったケースも考えられます。

そういった場合は、その土地を売却するための合意を取り付けることはほとんど不可能と考えていいでしょう。

 

では、それ以外ではどういった方法があるのでしょうか?

 

2、自分の持ち分だけ売却する

 

共有名義の不動産は、自分の持ち分(権利)だけ売却することが可能です。

自身の持ち分を売却する場合は、「共有物の分割協議」という手続きを行い、その結果分割された権利部分を売却する形になります。

しかし、この「共有物の分割協議」にも、名義人全員の合意が必要です。

 

仮に、名義人全員の合意を得ることができ、持ち分を売却できたとしても、

価格は相場よりもかなり低くなってしまうことが一般的です。

 

なぜなら、共有名義の不動産を購入したとしても、それが土地であれば、勝手に建築物を建てたりすることはできませんし、

建物であれば、勝手に取り壊したり、増改築することができないからです。

 

そういった不動産を高い価格で購入する人は、あまりいないでしょう。

 

3、共有名義人に権利を買い取ってもらう

 

自分の持ち分を売却する方法で一般的なものが、他の名義人に自分の持ち分を買い取ってもらう方法です。

具体的な流れとしては、「共有物の分割協議」を経た後、自分の持ち分を他の名義人に売却するというものです。

 

この方法にも名義人の合意が必要となってきますが、「相続した不動産を手放したくない」と考えている他の名義人にとっては一番の妥協ラインであると考えられます。

 

いずれにしても共有名義の不動産の売却では、他の名義人との合意形成がしっかりとなされているか、という部分が重要です。

なかには親戚間の不仲といった、利害を無視したことが原因の場合もあります。

そういった際には、他の名義人との間に信頼できる不動産会社に仲介に入ってもらい、物事をスムーズに運ぶようにしましょう。

売却の方法に関しても、不動産会社から他の名義人に上手く働きかけてもらうことで、全員の合意も取り付けやすくなり、相続不動産を売却することも可能になります。

 

 

 

3 不動産業者に売却を依頼する

 

所有権の移転登記が終われば、その不動産は新しい名義人が自由に使えるようになります(共有名義の場合は処分等に共有者全員の同意が必要です)。

なお、不動産の固定資産税は新しく名義人となった人が支払うことになります(共有名義の場合は各自の持ち分に応じて支払う)。

 

さて、ようやく相続した不動産を売却する段階まできました。まずは信頼できる不動産業者を探しましょう。

この不動産業者の選び方次第で不動産の売却価格が大きく変わる可能性があるので、

複数の業者に見積もりを出してもらったり、インターネット上で口コミや評判などを調べて十分にリサーチしましょう。

 

不動産業者には仲介業者と直接買取会社の2種類が存在するので、両者の良し悪しを知った上で、自分に合っていると思われる業者に依頼しましょう。

注意点としては、不動産の売却を複数の業者に相談した場合、会社によって査定金額にバラツキがあるということです。

中には契約数を伸ばすために通常では考えられない査定額を提示する業者もあるので、一番高いからといってその業者に安易に依頼しないようにしましょう。

複数の業者に相談している場合には、必ず査定価格を比較し、売却予定の不動産の相場価格についてもある程度はリサーチしておきましょう。

 

4 不動産を売却する

 

不動産業者が決まったら、いよいよ相続物件を売り出すことになります。

地方の土地は高値での売却が難しいケースが多いですが、維持費や税金面を考慮するとそのまま持ち続けるよりはさっさと売却してしまった方が得、と考える方が多いようです。

 

*補足:売却に必要な種類を把握しておく

 

ここでは、不動産業者に売却を依頼する際に必要な書類を説明させていただきます。(売却する物件の関連資料を、不動産会社が作成するために必要な書類のことを指します。)

 

<登記簿謄本>

まずは、登記簿謄本です。不動産を法務局に登記することで、登記簿謄本に記載され、登記簿に登記が完了したことを証明する書類の事です。

通常は、不動産のある地域の管轄している法務局に行って取得します。

現在は、オンライン化が進んだこともあり、「登記事項証明書」と呼ばれるようになりました。登記簿謄本と登記事項証明書は同じ意味です。

 

<身分証明書>

運転免許証やパスポートなどの本人を証明できるものを用意する必要があります。不動産に共有者がいる場合は全員分必要です。

 

<印鑑証明書>

引き渡し時点で発行から3ヶ月以内のものを用意する必要があります。不動産に共有者がいる場合は全員分必要です。

 

<実印>

不動産に共有者がいる場合は全員分必要です。

 

<住民票>

引き渡し時点で発行から3ヶ月以内のものを用意する必要があります。現住所と登記上の住所が異なる場合に必要となり、これも不動産に共有者がいる場合は全員分必要です。

 

<銀行口座書類>

売買代金のお振り込み口座として必要です。

 

<ローン残高証明書>

住宅ローンを利用している場合には、ローン残高の証明として必要です。

 

<売買契約書>

必須なものではないのですが、用意しておくと良いでしょう。(不動産購入の際に交わされた契約書)

 

<権利書(登記済証)>

不動産の登記が完了した際に登記所から発行される書面で、物件の所有者を証明するものです。

 

<建築確認通知書/検査済書>

一戸建てや土地の売却に必要。戸建ての建築が適法に建築されたことを証明するものとなります。

 

<耐震診断報告書>

必須の書類ではありませんが、近年、地震への関心が高まっているため、あるに越したことはありません。

築年数が古く、新しい耐震基準導入前に建築された不動産には書類の提出を求められることがありますので、覚えておきましょう。

 

<建築設計図/工事記録書>

一戸建てや土地の売却に必要となるケースがあります。

必須ではないのですが、リフォームやリノベーションなどの際に重要となりますので、用意したほうが望ましいです。

 

<固定資産税納付書/固定資産税評価証明書>

固定資産税の確認をするために必要となる書類です。

 

<土地測量図面や建物の図面>

一戸建てや土地の売買の際に必要です。「どこからどこまで売却するか」を明確にするための書類です。ご近所トラブルを避けるためにも用意したほうが良いでしょう。

 

<管理規約書/使用細則>

マンションの売買の際に必要となります。必須なものではありませんが、どのような管理がされているか、どのような決め事があるかを知る上で重要ですので用意しておいた方が望ましいです。

 

<購入時のパンフレット>

必須なものではありませんが、物件を知る材料となります。これも、用意しておいた方が望ましいでしょう。

 

 

5 確定申告・納税をする

 

相続した不動産の売却、最後のステップは「納税」です。

不動産の売却ができたからといって安心してはいけません。

この売却後の「税金」についておろそかな知識のままだと「高く売却できたのに損をする」という事態が発生します。

 

こちらは長くなるので、次章でより詳しく解説します。

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不動産の売却金額から控除される費用

前章の最後で税金について触れましたが、ここで改めて相続した土地や家を売却したらどのくらい税金がかかるのか、あらかじめ知っておきましょう。

なお、今回は一般的な不動産の売却時における税金のみをまとめました。

それでも税金絡みの計算はややこしくなってしまいますが、最後に事例を使って説明していますので、そちらを先に見て頂くと、より理解しやすいかもしれません。

 

・印紙税:売買契約にかかる税金

 

売買契約書には、記載金額に応じて決まった金額の収入印紙を貼り付ける必要があり、それがそのまま印紙税の納付になります。

1万円未満の取引では非課税ですが、不動産ではまずあり得ないので必ず負担することになります。

不動産の譲渡(売買)では、平成30年3月31日まで印紙税額に軽減措置が設けられています 。

 

売買契約書の記載金額 軽減措置 本則
1万円から10万円まで 200円(軽減なし) 200
10万円を超え50万円まで 200 400
50万円を超え100万円まで 500 1,000
100万円を超え500万円まで 1,000 2,000
500万円を超え1,000万円まで 5,000 10,000
1,000万円を超え5,000万円まで 10,000 20,000
5,000万円を超え1億円まで 30,000 60,000
1億円を超え5億円まで 60,000 100,000
5億円を超え10億円まで 160,000 200,000
10億円を超え50億円まで 320,000 400,000
50億円を超える場合 480,000 600,000

 

ほとんどの相続不動産の案件では売買代金は500万円から1億円の範囲に収まると考えられるので、印紙税は5,000円から30,000円の範囲内で済むでしょう。

 

なお、印紙税は売買契約を成立させる目的で作成されていれば、文書の名称に関係なく対象になり、契約金額を変更するための変更契約書等も対象です。

変更契約書等の印紙税は、記載金額が特殊な扱いを受けるので、国税庁のホームページを参考にしてみてください。

 

契約金額を変更する契約書の記載金額(国税庁)

 

・譲渡所得税:売却差益にかかる税金

 

土地や家の売却で、最も税金が高額になるとすれば、売却差益に対する譲渡所得税です。

厳密には譲渡所得税という税金ではなく、譲渡所得への所得税と住民税の課税を意味します。

 

譲渡所得に課税される所得税と住民税は、給与所得や事業所得によって、毎年納付している所得税や住民税とは同じ扱いを受けません。

譲渡所得は、給与所得や事業所得とは通算できず、独自に課税される分離課税です。

 

・譲渡所得税の考え方と計算式

 

譲渡所得税は相続した不動産を売却して利益がでた時だけ払う、という極めて単純な理屈の税金です。

ただ、不動産は取得するときも譲渡するときもコストが発生するので、それぞれの費用を控除して、純利益に相当する譲渡所得だけに課税はなされます。

 

譲渡所得=譲渡収入-譲渡費用-取得費

課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除額

譲渡所得税額=課税譲渡所得×譲渡所得税率

 

譲渡収入:売却によって得られた収入

譲渡費用:売却によって負担した費用

取得費:取得時の費用と負担した費用

 

譲渡収入、譲渡費用、取得費をそれぞれ計算して、控除額を算出し、残った課税対象額に税率を乗じて譲渡所得税額が求められます。

 

1.譲渡収入の計算

 

譲渡収入に該当するのは、買主から売却代金として受け取った金額に加え、固定資産税と都市計画税の精算金が該当します。

売却代金が、金銭以外(現物、有価証券、権利等)で支払われた場合は金銭に換算します。

また、売却代金が未払いでも、物件の引渡しがあった (もしくは売買契約の効力が発生した) 年の収入として計上します。

 

・固定資産税と都市計画税の精算金が含まれるのはなぜ?

 

譲渡収入に固定資産税と都市計画税(以下、固定資産税等)の精算金を含めると、税金が課税対象になっているようでおかしな感覚になるかもしれません。

 

不動産取引では、慣習的に固定資産税等を日割り精算しますが、所有者が変わっても納付義務は変わらず、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。

つまり、固定資産税等には年の途中で納税義務者が変わるという考え方がなく、精算金があっても売主が納付します。

 

したがって、固定資産税等の精算金は、買主が日割りで税負担をするのではなく、「売買契約に基づく売買条件の1つに過ぎない」と解釈されます。

そのため、精算金も譲渡収入に含めなければ、正しく計算できないことになるのです。

 

2.譲渡費用の計算

 

売却時に直接発生した費用であれば、すべてが譲渡費用として計上できます。

よくある譲渡費用としては、以下のものがあります。

 

・仲介手数料

・登記費用

・印紙税

・測量費用

・立ち退き料(貸家物件)

・解体費用

 

3.取得費の計算

 

取得費に含めることができるものは、大きく分けて2つあります。

 

・取得代金

不動産の購入や物件建築の代金が該当し、不動産を相続した場合は被相続人(故人)が負担した取得代金が該当します。

 

・取得諸費用

仲介手数料、印紙税、登録免許税、不動産取得税、取得から使用するまでの借入金の利子、測量費、土地造成費など、取得時に直接発生した費用です。

また、取得時に発生した、増改築等の改良費や設備費も含めることができます。

この他に、税制上の特例として、相続税の一部を取得費に計上できる場合があります(後述)。

 

・建物は減価償却しなければならない

 

取得代金と取得諸費用の合計額を取得費としますが、建物は売却時までに減価償却で価値が失われているため、減価償却費相当額を差し引かなくてはなりません 。

居住用不動産の減価償却費相当額は、次の計算式で求めることができます。

 

取得費×0.9×耐用年数の1.5倍に対応する償却率×経過年数

 

耐用年数とは、法律で定められた建物が利用に耐えると仮定された年数で、建物の構造によって異なります。

償却率とは、建物を1年利用したときに価値が減少する割合で、経過年数を掛けることにより、経過年数に応じた減価償却率を求めることができます。

 

耐用年数を1.5倍した値と、対応する償却率は次の通りです。

 

建物の構造 耐用年数の1.5倍 償却率
木造 33年 0.031
木骨モルタル造 30年 0.034
金属造(3mm以下) 28年 0.036
金属造(3mm超4mm以下) 40年 0.025
金属造(4mm超) 51年 0.02
れんが造・石造・ブロック造 57年 0.018
SRC造・RC造 70年 0.015

 

※金属造の()内は骨格材の肉厚

※SRC造=鉄筋鉄骨コンクリート造、RC造=鉄筋コンクリート造

 

・取得費が分からないとき

 

相続した土地や家の場合、登録免許税や不動産取得税は自分で負担しているので明確ですが、その他の費用については当時の資料が見つからない場合もあるでしょう。

問題になるのは、当時の資料がなくて取得費がきちんと計算できないケースです。

 

取得費が分からないときは、譲渡収入の5%を取得費にできると定められています。

また、取得費が売却代金の5%に満たない場合も、一律5%にすることができます。

 

・相続財産に対する取得費の特例

 

相続税が課税されていると、相続税額の一部を取得費として加算できる特例があり、土地にも建物にも適用できます。

 

土地の譲渡:相続税額×課税相続財産全体に対する土地の合計価額

建物の譲渡:相続税額×課税相続財産全体に対する譲渡対象の建物の価額

 

土地の場合には一部の譲渡でも、計算が土地全体に及ぶので有利ですが、平成27年1月1日からは制度が変更されています。

土地と建物は同じように扱われ、土地であっても譲渡する部分に対応する相続税額しか取得費に加算できなくなりました。

 

この特例は、元々相続税を支払うために相続財産を譲渡する人に対して設けられていますが、譲渡によって生じた所得の使い道が相続税である必要はありません。

ただし、相続税の納付期限から3年以内に譲渡する必要があり、相続税の納付期限は、相続が発生した翌日から10ヶ月以内なので3年10ヶ月以内の譲渡が対象です。

 

4.特別控除額の控除

 

譲渡収入から譲渡費用と取得費を引いた譲渡所得から、特別控除に該当する場合は対応する控除額を控除します。

 

特別控除は5つありますが、ほとんどは公的な事業による譲渡が対象で、個人へ譲渡する場合の特別控除としては、マイホーム特例と呼ばれる控除しか使えません。

しかし、マイホーム特例は控除額が3,000万円と大きく、田舎の不動産だと譲渡所得が全額控除になるケースも発生します。

 

また、あくまでマイホームが対象であるため、残念ながら土地は対象にならず、住宅であっても住居用に使っていなければ同じく対象外になります。

それでも、住まなくなった日から3年目を迎えた年の年末までに売ると適用になりますし、家を解体してしまった場合でも、次の条件をすべて満たすと適用されます。

 

・解体から1年以内で売買契約が締結された

・住まなくなった日から3年目を迎えた年の年末までに売った

・解体から売買契約まで他の用途に使用していない

 

特に3番目の条件は要注意です。物件を解体して駐車場などに転用してしまうと、マイホーム特例が使えなくなるので注意しましょう。

 

5.譲渡所得税額の計算

 

譲渡所得から特別控除額を控除して得られた課税譲渡所得に対して、2通りの税率で譲渡所得税が計算されます。

 

短期譲渡所得:5年以内の所有、所得税30%、住民税9%

長期譲渡所得:5年を超える所有、所得税15%、住民税5%

 

平成49年までは、所得税額に2.1%の復興特別所得税が加わり、合計税率は短期譲渡所得で39.63%、長期譲渡所得で20.315%と高い税率になっています。

短期譲渡所得が特別高いのは、短期の土地転売(いわゆる土地転がし)に対しての対抗措置と考えられています。

 

一方で長期譲渡所得は、10年を超える所有期間で一定の要件を満たせば、6,000万円までの部分が14.21%に軽減される特例もあって優遇されています。

 

注意したいのは、所有期間の判定が、譲渡した年の1月1日が基準としており、譲渡日(売買契約日や決済日)ではない点です。

実質の所有期間が5年あっても、譲渡した年の1月1日に5年なければ、税率の高い短期譲渡所得として扱われます。

 

短期と長期では19%以上税率が違うので、1,000万円なら約190万円、5,000万円なら約950万円も変わってきます。

所有期間が5年前後の場合は、確実に5年を超えるまで待って長期譲渡所得扱いになるようにして売却した方が賢明です。

 

・譲渡所得の確定申告

 

譲渡所得は、譲渡があった翌年の確定申告で納税しますが、住民税については翌年に市区町村から請求されるので、確定申告で納付するのは所得税です。

 

確定申告では、収入と支出のすべてを細かく計算して、正確な申告をする必要があり、譲渡所得の計算はかなり面倒です。

収入にあたる売却代金は、さすがに申告漏れがないと思いますが、支出について申告漏れがあると、納税額が増えてしまって損をしてしまいます。

 

しかし、税務署は本来の納税額より少ないときに必要な調査をしても、多いときには何も言ってこないので、支出の申告漏れは問題になりません。

自ら申告して納税する制度ですから、支出が実際より少なくて納税額が増えても自己責任になってしまうので、領収書等の保管には注意しましょう。

 

なお、譲渡所得を計算した結果、プラスにならなければ納税の義務はなく申告の必要はありませんが、売却損がある場合で特定の条件を満たすと、他の所得と損益合算できます。

 

こういった処理を自分で行うのは大変な作業になってくるので、場合によっては税理士に相談するのも選択肢に入ってきます。

税理士への報酬を支払ったとしてもそれ以上に納税額を押さえ、手元に多くお金を残せる可能性があるからです。

 

・登録免許税:登記にかかる税金

 

不動産売買では必ず所有権移転登記をしますが、通常は買主が登録免許税を負担します。

もし売主が登録免許税を負担するとしたら、次の2つが考えられます。

 

現住所と登記上の住所が異なる:住所変更登記

住宅ローンが残っている:抵当権抹消登記

 

住所変更登記が必要になるのは、売却時に引っ越した後で、印鑑登録証明書の住所と登記上の住所が異なってしまう場合です。

抵当権抹消登記は、売却時に設定されている抵当権を、住宅ローンの完済によって外すための登記で、住宅ローンが残った物件の売買では必須です。

住所変更登記と抵当権抹消登記は、不動産1つにつき1,000円なので、土地だけなら1,000円、土地と家なら2,000円が必要になります。

 

消費税:仲介手数料にかかる税金

 

土地の売買には消費税がかからず、個人が居住用に所有している建物も、事業目的ではない性質から消費税の課税対象とされていません。

しかし、不動産仲介会社に支払う仲介手数料には、消費税が課税されます。

 

仲介手数料の金額は、売買価格に応じて上限額が次のように決められています。

 

売買価格 仲介手数料 消費税8%
200万円までの部分 5% 5.40%
200万円を超えて400万円までの部分 4% 4.32%
400万円を超える部分 3% 3.24%

 

例:取引価格が500万円の場合(消費税は8%で計算)

200万円までの部分:200万円×5%=10万円、消費税8,000円

400万円までの部分:200万円×4%=8万円、消費税6,400円

500万円までの部分:100万円×3%=3万円、消費税2,400円

仲介手数料合計21万円、消費税合計16,800円

 

仲介手数料には計算式があり、400万円以上ならかんたんに求められます。

 

仲介手数料=売却価格×3%+6万円

 

例で計算すると、500万円×3%+6万円=15万円+6万円=21万円です。

 

計算式による消費税は、消費税率により次の通りです。

 

消費税8%:売却価格×0.24%+4,800円

こちらも例で計算すると、500万円×0.24%+4,800円=16,800円と、正しく計算できることが分かります。

※よく似た内容の記事はこちら
建物や土地は消費税がかかる?不動産の売却で消費税の対象となる費用
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不動産を相続した時に頼れる専門家

 

相続手続きが発生し、遺言書を作成したいと考えたとき、どの専門家に依頼をすればいいのか悩むケースは出てくると思います。

一昔前なら、

「相続が発生したら税理士」

「遺言書は弁護士に頼むもの」

 

との認識が世間一般でしたが、いまではそのような考えも変わってきています。

最後にこの章で『どの専門家に相続手続きや遺言書作成を頼めばいいのか?』を解説したいと思います。

 

・相続専門家のまとめ

 

相続手続きの専門家(国家資格者)には、大きく分類すると司法書士、税理士、弁護士、行政書士の4種類の業種があります。

下記に遺産相続の際に相談できる業務を各専門家ごとにまとめました。

 

項目 \ 相続専門家 司法書士 税理士 弁護士 行政書士
1.相続人の調査(戸籍集め)
2.相続財産の調査
3.遺産分割協議書の作成
4.相続人代理人の法令根拠
5.相続不動産の名義変更登記
6.家裁への遺言検認手続き
7.家裁への特別代理人申立て
8.家裁への相続放棄申立て
9.家裁への遺産調停申立て
10.相続税の申告手続き
11.遺産相続紛争の代理交渉

 

 

1~3についてはどの専門家もかわりはありませんが、相続不動産の名義変更がある場合や相続税申告・家庭裁判所の手続きがある場合は状況が異なります。

遺産相続の中に不動産があれば司法書士、相続税申告が必要であれば税理士、遺産争いがあれば弁護士といったように、自分自身の相続手続きに最も適した専門家を選んでいくことが必要となります。

表を見ていただけるとお分かりいただけるかと思いますが、司法書士と弁護士は相続について大抵のことは任せることができるといえます。

行政書士については、遺産分割協議書の作成まではこなすことができますので、それ以降の手続きは他の専門家へバトンタッチすることになります。

 

それでは、遺産相続についてどの専門家に頼むべきかさらに詳しく解説していきます。

 

・相続は専門性が高い!資格だけで選ぶと失敗する?!

 

「司法書士であれば誰でも一緒だろう」

「税理士なら相続税の申告くらいできて当たり前でしょう」

 

このように考えているとしたら、それは大きな間違いです。

 

例えば、司法書士はそもそも登記手続きの専門家です。相続不動産の名義変更(相続登記)であれば全ての司法書士が問題なく手続きを完了させることができるでしょう。

しかし、相続手続き全体を業務として行っている司法書士はそこまで多くはないのです。

特に年配の司法書士だと相続登記のみの依頼しか受け付けてくれない可能性もあるので注意が必要です。

 

また、相続税申告を依頼する税理士についてはもっと気をつけなければいけません。

なぜなら、日本の税理士は企業向けの税務手続きや税務顧問を主に業としており、相続税の申告をやったことすらない税理士がほとんどなのです。

 

それは弁護士であったとしても同様です。

普段は企業法務がメインで、離婚調停を専門にしている事務所など多種多様です。

 

行政書士についても気をつけなければなりません。行政書士は独立する前に修行を積むことができない特殊な士業です

全く実務経験のない未経験状態(いわゆる「ソクドク」)で現場に立っている行政書士がいるのが事実なのです。

つまり、相続専門をうたっていたとしても、実は相続業務をやったことすらない行政書士が沢山いるのが実情なのです。

 

このように士業の資格をもっているからといって、相続の実務全般について詳しいという保証はどこにもないのです。

 

相続した不動産の名義変更や相続税の申告のみを頼むのであれば、上にあげた士業の事務所に頼んでも同じでしょうが、

相続手続きの全般を頼みたいのであれば遺産相続手続きに特化した・あるいは強みのある事務所に依頼するのが一番いいでしょう。

相続手続きに特化しているのであれば他の士業との連携が取れているはずなのでスムーズに手続きを進めることができるでしょう。

 

(1)「司法書士」に相続手続きを依頼するケース

相続財産の中に不動産が含まれているケースがどれくらいあるのか皆様はご存知でしょうか?

実は相続が発生した中でも、半数以上の割合で相続財産の中に不動産が含まれているのです。

不動産が含まれているということは必然的に司法書士の出番となってきますので、最初から相続手続きに特化した司法書士事務所を選択して依頼すべきという考えになります。

相続手続きに関してはトータル的に考えて、司法書士に依頼するのがベストだと思います。

 

(2)「税理士」に相続手続きを依頼するケース

相続税の非課税枠におさまれば相続税を支払う必要はありませんし、そもそも相続税の申告すら不要です。

相続が発生した中で約4%程度(平成26年度以前の統計)の人しか相続税の申告が必要ないとさえ言われております。

通常のパターンの相続では税理士の出番はまずないと言っていいでしょう。

とはいえ、平成27年1月1日より相続税法が改正され非課税枠が一気に小さくなりましたので相続税申告は1.5~2倍程度は増加すると言われており、

依然として相続手続きにおいて税理士の存在意義は大きいです。

 

(3)「弁護士」に相続手続きを依頼するケース

弁護士は主に争いごとに対して、間に入って調停をしてくれる頼もしい存在です。例えば遺産分割協議がうまくいかず、

トラブルになることが想定されるケースでは当初より弁護士に依頼をしてしまった方が結果的にいいのかもしれません。

ただ、弁護士が相続手続きに関与してしまうと、他の相続人が身構えてしまう可能性が高いので、遺産分割協議の難航が予想されるようなケースを除いて、

相続の手続きでは円満に事を運ぶためにも、わざわざ一番報酬水準の高い弁護士を選ばないほうがいいかもしれません。

 

(4)「行政書士」に相続手続きを依頼するケース

前述した表を見ていただければわかるかと思いますが、行政書士は相続手続きに関して、できる業務の幅がとても狭いです。

相続関係を調査して、戸籍集めと遺産分割協議書の作成まではできますがそれ以上のことになると、別の専門家に委ねることになります。

たとえば、相続財産に不動産があれば司法書士や弁護士の関与が必要になってきますし、家裁への手続きや申立てもできません。

遺産相続の初期段階しかできない行政書士にわざわざ相続を依頼する理由はないと言われることもありますが、

報酬費用が最も安いので不動産の名義変更や相続税申告は自分でやる意気込みがあれば費用を抑えるために依頼するメリットがあります。

 

(5)「銀行・信託会社」に相続手続きを依頼するケース

こちらは番外編ですが、銀行や信託会社へ相続手続きを依頼する方法もあります。

しかし、銀行や信託会社に相続手続きを依頼すると、高額な費用を請求されるケースが多いです。

このケースだと、どちらかといえば一般の方というより、富裕層の方が普段から付き合いのある銀行等へお願いをするイメージになります。

銀行や信託会社では、相続の専門家が行うような業務はできないので当然司法書士や税理士に別途で依頼することとなりますので、報酬水準もかなり割高となります。

 

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まとめ

 

いかがでしたか?相続した不動産の売却にあたり、一連の流れや知っておくべき税金の知識や様々な注意をご紹介しました。

売却はどういった業者を選ぶべきなのか、また相続の際に頼るべき専門家は誰なのか、自分でできることはどれくらいの範囲までなのか、相続の発生から売却、納税までのイメージは掴めたのでは、と思います。

不動産を売却する時に、仲介業者と買取業者で悩まれている方は、ぜひ「自分がどのような結果を求めているのか?」「どちらの方が手元によりお金を残せるのか?」といったことを念頭に判断していくことをお勧めします。

最近の不動産業者には、不動産の買取をしてくれるだけでなく、関連分野の専門家(司法書士・税理士と連携することで、売却後のアフターフォローも充実させる「ワンストップサービス」を提供している業者も増えてきていますので、

まずは一度相談してみるのもいいでしょう。

 

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