あなたは大丈夫?不動産売却で売主が負担する「瑕疵担保責任」と「無過失責任」

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あなたは大丈夫?不動産売却で売主が負担する「瑕疵担保責任」と「無過失責任」

 

売買契約書には、瑕疵担保責任に関する取り決めを明記するのが一般的。そして、売主の瑕疵担保責任を半年間に設定するケースが多いようです。

 

ただし、売主が宅地建物取引業者(不動産会社など)の場合は、2年間以上の瑕疵担保責任が義務づけられています。

 

瑕疵とは、売却した物件の欠陥や不具合のこと言い、その原因が売主にある場合は修繕費や修復の賠償を負う責任(担保責任)が生じるのです。

 

瑕疵担保責任のリスク

 

6ヶ月以内の瑕疵担保責任は、あくまでも一般的な例です。買主によっては1年以内を希望する可能性も考えられます。

 

言うまでもありませんが、瑕疵担保責任の期間が長ければ長いほど売主はリスクが高くなるでしょう。1年以内に起きた瑕疵に対して、保証しなければならないわけですから。

 

反対に売買契約で瑕疵担保責任の期間が短いほどリスクは低くなります。買主は期間が長いほうが安心ですが、売主の立場になると短いほうが“気が楽”というのが本音ですね。

 

購入者も、内覧時に物件を隅々までチェックするのは難しい話。万が一、引き渡したあとに瑕疵が発覚し、「どちらが責任を負うのか?」という問題が生じないように事前に瑕疵担保責任を定めているわけです。

 

たとえば、

  • 建物の構造に問題がある場合
  • 建物の耐用性に欠陥が生じた場合
  • 雨漏りや土地の沈下など物理的な欠陥
  • 給水管や排水管など水回りの欠陥
  • 建物の構造が法律の規制(公法上の制限)を違反している場合
  • 騒音など近隣の問題による精神的な被害を及ぼす欠陥
  • 近隣施設や周辺の環境など生活に悪影響を与える危険が発覚した場合
  • シロアリによる床下被害など

 

売買契約書の瑕疵担保責任

 

サンプルとして、売買契約書には次のような文面が明記されています。

 

第○条 瑕疵担保責任

本物件に隠れた瑕疵があった場合、買主は売主に対して損害賠償を請求できる。明らかに本契約の締結に障害を及ぼすと判断される場合、買主は損害賠償を請求するとともに本契約を解除できるものとする。

(1)損害賠償に加え、本物件の修復や修繕費用も請求できる。

(2)ただし、隠れた瑕疵による損害賠償の請求や修復費用の請求、本契約の解除は引き渡し後2年までを有効とする。

(3)本条項により本契約が解除された場合、売主は手付金など受領済みの代金を無利息で買主に返金するものとする。

 

上記の項目ある「隠れた瑕疵」とは、ざっくり言うと“売主が見落としていた”土地や建物の欠陥。また、精神的な苦痛を強いられる欠陥も隠れた瑕疵に該当するケースがあります。

 

たとえば、土地の欠陥なら、軟弱な地盤・地盤の陥没・液状化など建物に被害を及ぼすおそれがある瑕疵で、ほかにも土の中へ有害物質が混入している場合なども隠れた瑕疵。

 

また、建物の欠陥に関しては、建物が傾いていたり構造上において耐用性に不可欠な部分が腐食、または老朽していたりする場合(基礎・屋根・床下・柱など)も隠れた瑕疵に当たるでしょう。

 

精神的苦痛を強いられる欠陥については、たとえば「近所に悪臭が漂う排水場がある」とか「近くに整備されていない空き家があって子供に悪影響」など、生活環境に好ましくない影響を与える可能性がある瑕疵です。

 

早く売りたいからという理由で、もし瑕疵を買主に告知せず売却したとしても、引き渡し後に発覚してしまえば“隠れた瑕疵”として売主へ責任が追及される可能性が高くなります。

 

隠れた瑕疵でトラブルになると、「しっかり注意すれば気づけたはず」と判断される欠陥は売主の責任になるケースが多く、損害賠償の対象になったりするおそれもあるのです。

 

値下げされたくないとか、話をまとめたいとか、そんな安易な考えで「言わなきゃバレないだろう」なんて瑕疵を隠してしまうと、思わぬトラブルに発展することもあるので要注意。

 

買主のみならず、査定を申し込む際は不動産会社にも物件に関する欠陥や不安な瑕疵については正しく伝えておかなければならないでしょう。

 

瑕疵に該当されないもの

 

しかし、売却した物件に瑕疵が見つかったからといって、なんでもかんでも無条件で瑕疵担保責任を売主に負わせ、費用や損害賠償を請求できるわけではありません。

 

買主が「発覚した瑕疵」に対して「善意無過失」であることが条件です。ここで言う善意とは「知らなかった」という意味で、無過失とは「気をつけていたにも関わらず」という意味があります。

 

つまり、買主は「気をつけていた(注意していた)」にも関わらず「知らなかった(わからなかった)」瑕疵でなければ、売主に瑕疵担保責任を請求できないのです。

 

反対に善意有過失は、「気をつけていなかった(注意していなかった)」ことが原因で「知らなかった(わからなかった)」という意味合いになります。

 

・善意・・・知らなかった

・無過失・・・気をつけていた

・有過失・・・気にしていなかった

 

  • 善意無過失・・・瑕疵担保責任を請求できる
  • 善意有過失・・・瑕疵担保責任を請求できない可能性がある

 

仮に、売買契約の時点で売主が買主に雨漏りするリスクを伝えていた場合、引き渡し後に雨漏りが発覚しても善意無過失には該当せず、瑕疵担保責任を請求できません。

 

無過失責任で賠償しなければならない

 

では、引き渡し後に買主からの申し出により発覚した瑕疵(欠陥)について、その瑕疵を売主が本当に知らなかった場合はどのように対応するのでしょうか。

 

「把握していなかった」「知らなかった」では済まされません。代金をもらって売却している以上、瑕疵担保責任の期間は「無過失責任」のリスクも生じます。

 

売主が善意無過失であっても、買主が善意無過失であるなら、この場合は売買という観点から買主が優先となり、売主は無過失責任を負って瑕疵を修復しなければならないのです(民法)。または、損害賠償で補うことになります。

 

このように、不動産の売買では売ったあとのリスクも覚えておく必要があります。引き渡した物件に欠陥や不具合(瑕疵)が見つかり、トラブルに発展するケースも珍しくありません。

 

知っていたのに売主や仲介業者に告知しなかった、これは「悪意=知っていた」ですから論外です。高い確率でトラブルが待っていると思います。

 

不動産を売却するにあたり、必ず瑕疵の注意点を把握しておきましょう。仲介する不動産会社にも瑕疵について意見を交わし、売却後のトラブルを防ぐことが賢明ですね。



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